アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』
西加奈子さんの『i』に取り上げられていた『テヘランでロリータを読む』がどうしても気になり手に取りました。『i』でこの作品は、次のように紹介されていました。
読んでみると、作者と教え子(女性7人)との読書会だけではなく、イスラーム革命からの十八年間の、激動のイランで暮らした経験が、禁じられた西洋文学と共に綴られた作品でした。ですから、『ロリータ』だけでなく、『グレート・ギャツビー』を裁判にかける講義をメインにした章や、イラクとの戦争下での講義の章など、読書会以前の大学やイランの情勢なども分かるような構成となっていました。
とにかく、作者の小説を教えることへの強い情熱に支えられた一冊で、高校で文学作品を扱っている私自身としても、ただただ共感と共に読み進めていきました。
重いチャドルやコート、スカーフを脱ぎ、カラフルな洋服で自由に語り合う彼女たち。小説が与える開かれた空間に解放される時間を持とうとした女性達の記録です。厳しい道徳や規律を強制される圧政下にあって、自由への欲求がもたらす豊かさがありました。
読みたい作品を読めるのが当たり前になってしまっている私にとって、文学と触れ合える喜びに立ち返らせてもった一冊となりました。