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【英語教育】inputとoutputの割合

英語には4技能5領域があります。Speakingには「やり取り」「発表」の領域がありますが、今回は4つの技能で考えてみます。

「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能があります。この習得の順番については、以前書かせていただきましたので、よければご参考までに。


授業内で生徒にとって適切な英語のバランス

これら4技能は、「受信技能」「発信技能」に分けられ、「聞く」「読む」が受信、「話す」「書く」が発信となります。いわゆる、inputとoutputです。授業でこの二つの割合を考えたときに、どのバランスが一番良いと思いますか?3択にしてみました。

受信技能と発信技能のバランス

①は同じくらいの割合を目指す、②はinputの方が多めの指導、③はoutputが多めの指導です。生徒を中心に考えてみてください。彼らにとっては、どの割合で学ぶ方が、英語が身につくのでしょうか。

いろんな考え方があるかもしれませんが、私はinputの方が多い②を正解としたいと思います。なぜなら、outputはinputしたものを発信するわけですよね。しかし、inputしたものを100%、outputすることは不可能です。イメージとしては100% inputしたうちのいくらかがoutputできれば良い方ではないでしょうか。そうなると、生徒に言語活動をさせる前には、たくさんのinputが必要ということになります。ただし、気をつけたいのは「理解できる範囲での豊富なinput」を目指すわけであって、意味の分からないものをひたすらに聞かせるだけでは意味がありません。BBCニュースを1日9時間聞き続けても、生徒の力にはなりません。教師はジェスチャーを用いたりスライドなどを提示しながら、理解しやすいように工夫する必要があります。

指導の仕方

「聞くこと」と「話すこと」を軸とした指導が大切だと思います。特に、今でも中学校の授業ではいきなり教科書を開き、文字(「読むこと」)からの指導が見られますが、やはり初めは「聞くこと」「話すこと」から入っていく必要があると思います。そこで、オーラルによる導入ややり取りを通して、指導していくと良いでしょう。

学びの順番で言えば、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」ですが、これはあくまでネイティブが習得する順番です。日本人であっても、赤ちゃんから日本語に触れ、この順番で日本語を習得してきたのと同じです。ただし、学校現場ではこの順番を意識しつつも、指導としては受信技能と発信技能で分けて指導する方が、語学としては良いでしょう。CEFRの評価基準について書かれたものがありますが、CEFRの順番も、「受信」「発信」で分けられています。きっとこれも意図的な順番で書かれたものかなと思います。

CEFRのアセスメント表(画像ファイル)です。
https://1.bp.blogspot.com/-iifITh_xmnI/X7KBtdDtvVI/AAAAAAAAJAg/5n6_P8RWGj0wHbT4FRN8TWsSlDle_83UgCPcBGAYYCw/s1467/CEFR-Grid.png

「話すこと」の力を測るには、どうやって測る?

もちろん、生徒に「英語を話させる」です。これは当たり前ですよね、話す力を見たいなら話させる、書く力なら書かせる。ですが、「話させる」ことをテストとして測るのに、先生が英語を話さないと、一体どこで生徒は話すイメージを持つのでしょう。授業の中では英単語を見せて日本語を言わせる練習をしているのに、テストでは日本語から英語を書かせるようになっている例に似ています。そのような単語テストをすると、生徒からは「そんなの聞いていない!」となるわけですよね。要するに、指導と評価を一体的に見取るには、指導計画や指導手順・方法が大きく影響するということです。先生が日本語と雑談を要として授業を展開したとすれば、きっと英語を聞いたり話したりできるようにはなかなかならないでしょう。「英語は英語で指導する」というのは何も難しい英語を先生が使い続けるというわけではなくて、生徒が英語を聞いたり話したりする機会の担保であり、日本という社会において日常に聞くことがない「英語」というものに唯一触れさせてあげられる時間が「学校の授業」であるということの強調でしょうか。文法指導の説明は日本語ですれば良いと思いますが、まずは教師の姿勢として、inputをどのようにさせてあげられるかという視点で授業は考えていく必要があると思います。

おすすめ著書

私がSLAに初めて触れた時、この本で学びました。現代の考え方では少し違うかな?と思うような部分もありますし全てが日本の教育にマッチするかというとそうではありませんが、大変参考になると思います。単語を入れ替えて自分のメッセージに変えてみたり、並べ換えたりするアクティビティは、output活動です。inputの部分をどのように授業で構成するのか、そういう視点を授業づくりをするときに大切にしています。

もちろん、うまくいかない時の方が多いのですが・・・。笑

さいごに

授業はinput多めで始まりますが、単元で見たときに、単元の後半はoutputが多くなっていると思います。少しずつinputが減り、outputが多くなっていくイメージです。しかし、outputさせるにはinputが必要なわけですから、日本語でずっと授業していたり、ワークやアクティビティーだけをしているだけでは、コミュニケーションを図ることができる英語力にはなかなか繋がっていかないのかなと思います。

授業づくりって、奥深いですよね。