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【英語教育】外国語における探求の授業

 先日、英語授業研究学会の秋季大会で、大阪城南女子短期大学の菅先生のご講演を聞いてきました。毎年通信制の学校への入学者が増えてきており、ある学校の関係者が「教科書を売るだけで儲かる」と言っていたのを聞いて「大丈夫か」とこの国を心配したそうな。「生きるために学力をつけさせることが大切で、先生はその学力をどのようにしてつけさせるのかを考え無いとダメ。学校は楽しいところで、学びの楽しさを教えられるのは学校のみである」というところから、話は始まりました。

探求とは?

高校では探求に関する教科があり、「古典探求」「地理探求」「日本史探求」「世界史探求」などがある。当該科目の理解を深めるための、教科の系統性に乗っ取った内容項目に応じた課題に対する深い学びを求めるものである。他にも「理数探求基礎」「理数探求」といったものもあり、さまざまな事象に関わり、数学的な見方・考え方や理科の見方・考え方を組みああwせて、課題を解決することが目指される。つまり、自分なりに考え、課題を見つけて、それをクリアする力(思考・判断・表現できる力)を子どもに身につけさせることを目指したものである。「総合的な探求の時間」は物事の本質を自己との関わりから探り見極めようとする一連の知的な営みの授業であり、おそらく中学校の「総合的な学習の時間」も、自分たちで課題を見つけるような探求の時間になるだろうと話されていた。

外国語における「探求」の授業

菅先生のお考えで、外国語に探求というものが位置付けられたのであれば・・・という過程のもと、お話しされていた。もし「英語探求基礎」みたいな教科ができたとすれば、おそらくその目標や3つの資質能力は以下のように設定されるのではないか?という話。

外国語における探求の目標
 英語をツールとして使用しながら、探求の4つのステップ(サイクル)を通して、統合的に英語運用能力の向上を図る。

英語探求基礎

 日常的話題や社会的な話題について、英語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ、言語活動を通してよりよく課題を発見し、解決していくために必要な基本的な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  1.  日常的な話題や社会的な話題について、探求するために必要な基本的な英語の知識や技能を身につけるようにする。(知識・技能)

  2.  日常的な話題や社会的な話題についての課題を捉え、英語を通して課題を解決するために、情報や考え、気持ちなどを伝え合ったりできるようにする。(思考・判断・表現)

  3.  日常的な話題や社会的な話題についての課題に知的好奇心をもって向き合い、粘り強く考え、課題の解決に向けて挑戦しようとする態度を養い、より良い社会を実現するために自己の在り方生き方を考える態度を養う。(主体的に学習に取り組む態度)

探求のステップ

課題の設定 ⇨  情報の収集 ⇨  整理・分析 ⇨ まとめ・発表

 今の子どもは質問は答えられるけど、質問を作ることができない。だからこそ、自分たちで課題を探し、見つけて設定する力が必要である。クリティカルシンキングする力も使いながら、統合的に考える力の育成を目指す。
 次に、情報収集する力も必要である。今では旅客機に乗るときに的確に情報を掴めば安く乗ることができるのに、情報収集に長けていない人は、そのままの料金で乗ることになっている現状がある。自分にとって必要な情報を手に入れる力を育む必要がある。
 そして、情報を整理・分析する力に移るのだが、この力は指導者側ができなくてはならない。どのように情報を整理しまとめるのか、その手立てや方法について、勉強する必要がある。
 最後にまとめをし、発表する流れで探求の授業を指導する。

授業の展開例

①授業で取り上げて日常的な話題についてプレゼンテーション動画を視聴し、題材を確認する。「平和学習」がテーマとすれば、先輩たちのビデオ動画を見せるなどすると良いだろう。【題材の確認】
②①の内容に関して教師からの質問に答えるなどして、概要を捉える。また、自分の発表に活用できる表現や効果的な発表の仕方などについて、クラス全体で確認する。新しいことのインプットではなくて、自分の発表に活用できることを意識させて情報収集させることが大切である。【課題の設定、情報の収集】
③②で学習したことを参考にしながら①と同様の話題について、自分の発表のアウトラインやメモなどを作成させる。【整理・分析】
④ペアでもメモをもとに話し合ったりまとめたりすることも大切。【まとめ・表現】
⑤違いに発表した内容に関して質問しあう。「それ合っているの?」「それ本当?調べたら違うかったよ?」など、発表に対してやり取りさせる。【整理・分析】
⑥パートナーを変えて、④や⑤を行う。【まとめ・表現、整理・分析】

①から⑥を指導するには先生のスキルが大切となってくるとのこと。今回のお話を聞いて、これからますます学び続けなければならないと改めて感じました。中学校にいるため「探求」に関してはあまり考えてこなかったのですが、これからの勉強のテーマとして考えようと思いました。若干理解が追いつかず、うろ覚えな部分も掲載してしまったので、もし間違っている部分があれば教えてください。