12_インタビュー調査との格闘 【山の日本語学校物語】
これは、とある町に開校した「山の日本語学校(仮名)」の物語です。ITエンジニアの専門日本語教育、プロジェクト型のカリキュラム、地域との連携などなど、新たな言語教育の実践とその可能性について、当時の記録をもとに綴っていきます。最後までお付き合いください。
この連載を始めるに至った経緯については、「00_はじめに」をお読みください。
前回(11)は、「ふれあいまつり」の振り返りを通して考えたことについてまとめました。様々な経験を通して多くを学んだと感じたイベントだったのですが、振り返りでは、「日本語を勉強しなければならない」という点に帰結してしまったことを書きました。
1stプロジェクトの第2ステージでは、「ふれあいまつり」へ出店した事業者に対するインタビュー調査を発展させ、興味を持った事業者に対し、追加インタビューを行うことを考えていました。しかし、インタビュー調査を予想以上に難しく捉えてしまったため、このまま追加インタビューを行っても、「日本語ができない」という事実だけがフォーカスされ、プロジェクトへのモチベーションが失われてしまうのではないかということを懸念し、追加インタビューを断念することにしました。
そこで、プロジェクトは、第1ステージで行った調査活動をどう活かしていくかという方向で考えることにしました。第1ステージで行った調査活動というのは、
1. 「ふれあいまつり」出店事業者への「インタビュー調査」
2. 「山の日本語学校」のブース内で行った「アンケート調査」
の2点です。この2つの調査は、学生の主体性という観点から考えると、非常に対照的な調査になりました。まず、「インタビュー調査」は、教師が発案したものであり、1stプロジェクトに初めから組み込まれていました。プロジェクトの中で「やるべきこと」として実行された調査です。一方、「アンケート調査」は、1stプロジェクトのコンセプトやゴールに基づいて、学生自ら考え、実行された調査です。この2つの調査が、どのように展開したのかを、今回(12)と次回(13)の2回に分けて追ってみたいと思います。
第2ステージの目標の変更
先に説明したように、追加インタビューを断念することにしたため、このままでは、ITを使ったサービスを考えるとしても、十分な情報が得られず、何が課題となっているのかを見出すことが難しいのではないかと感じました。そこで、せっかく「ふれあいまつり」で得られたつながりをもっと深めることができないかと考え、「調査発表会」という場を設けることを思いつきました。しかし、これは、当初の予定になかったことであり、私が勝手に押し付けることはできません。
共感していただけてうれしいです。未来の言語教育のために、何ができるかを考え、行動していきたいと思います。ありがとうございます!