#16:立場と配役と成長
こんにちは。生きていく中でパートナーとの出会い、結婚を経て夫婦となります。そして、子どもに恵まれた場合は、その子が自立して独り立ちすれば、また夫婦だけに戻ります。今回は、夫婦2人に戻るときに向けて大切にしてきたことについてお話したいと思います。
子どもが生まれれば、その時期は視点が子供に向かいがちなときです。この期間に意識することが大切だと思ってきた考えがあります。パートナーは自分にとってもともとは他人。血が繋がっていない分、繋がることに気を配っていないと、夫婦だけに戻ったときに、初めての2人の間には無かった溝ができてしまっていることもあるだろう。夫婦だけに戻ったときにも、夫婦として楽しんで生活を送りたいと思っていたので、そうならないように、家族の形をいびつにしないようにしたいと常々考えていました。
人にはそれぞれ大切にしていることがあります。夫婦であっても、その人が大切にしている価値を壊すようなことをしてはなりません。だからこそ、逆にその人が大切にしていることも大切にしてあげられると、お互いの関係も上手くいくように思います。
私たち夫婦もそうです。なので、お互いに相手の活動領域を尊重することが上手くできていて、仲良い関係性を維持できているコツの1つだと思います。もちろん、お互いに歩み寄って互いの領域の面積を小さくしたり、形を変えたりすることも素敵だと思います。これが成り立つように大事にすべきことは、ここでもやはりコミュニケーションだといえます。コミュニケーションあってこそです。
私たち夫婦の子ども三人のうち二番目の子が自閉症だったという話を以前書きました。主人への伝え方に悩み、長い間「自閉症」だということを伝えられずにいました。そして、小学校入学が近づいたことをきっかけに打ち明けました。
打ち明けた後は、夫婦で試行錯誤しながら子育てにのぞむ日々でした。二番目の子が小学三年生のころ、しばらくの間主人が離れた他県に単身で住むことになったことがありました。その時、主人は二番目の子に「お母さんを頼むね」と言って、二番目の息子に家族を守るよう託して単身赴任しました。
その様子は今でもしっかり覚えています。私が一人で子育てに向き合うことに不安があって涙もろくなっていた時期でもありました。いつもは傍に主人がいてくれて、何とか頑張って子育てできていた想いだったのでとても心細くなったのを覚えています。
二番目の子はこんな状況を把握しているのかどうかわかりませんでしたが、振り返るとその時期から友達ができたり、頼もしくなったのも事実でした。
主人が一番上の娘ではなく、あえて二番目の息子に託したのも、今となってはなるほどと思えます。
そしてもう一つこの時期に思い出深く残っている言葉に、お世話になっていた塾の先生の言葉があります。主人が単身赴任することを伝えたときに、先生から意外な言葉をいただきました。それは、「お父さんが常に居ないのは不安でしょう。でも、決してお父さんの代わりはしないでお願いします。お母さんはお母さんでいいのです」と言われました。私はこれから主人の分までお父さん役も頑張ろうと思っていたので、拍子抜けしてしまいました。その先生の言葉が無かったら、当時の私は必至で父親の役割も果たそうとして、お父さんが居なくてもよい家族を作り上げてしまっていたかもしれないと思います。先生には、私にとってとても意味のある大切な言葉をプレゼントしてもらえたと感謝しています。その言葉が無かったら、今の家族の形や夫婦は継続できていなかったかもしれません。強くそう思うのは、私は変に行動的な一面もあって、マイナスに傾いたらそのまま…ということにもなりかねない気の短い性格も持ち合わせていたので。時間が経過した今だからこそ、一層感謝の気持ちがわいてきます。いずれにしても距離は離れていても家族の引力は強かったように思います。
離れていればいろいろありましたが、ここでもやはりコミュニケーションでした。コミュニケーションを取るということは、簡単なようで難しい場面にもたくさん出くわすと思います。コミュニケーションのヒントになることもこの場所を活用して伝えていけたらと思います。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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