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自分のために #朝のルーティン 書いてみた

将来、娘との何気ない日常を振り返れたらいいなと思って、
朝の風景を書いてみました。

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朝起きると、顔洗ってうがいして…キッチンへ行く。
出来たての味噌汁、おかず、ごはんをセルフでよそう。
海苔とかキムチとかラッキョウとか黒胡麻とか…
その辺のトッピングアイテムはすでに食卓にスタンバイされている。

まだ子供用の背の高い椅子に座った娘が先に食べている。
で、その後ろで妻が娘の髪を結っている。
娘は小2だ。
「きょうはどんな髪型がいいの?ヘアゴムはどれにしたいの?」
「…ってかボーッとしてないで早く食べて。遅刻するよ」
毎朝この会話を繰り返している。
娘は食べ終わるのがおそい。とにかく窓の外をボーッと眺めている。
スズメとか、トンボとかずっと見てる。
なかなか進まぬ食事に私も妻も少しイラついたりするのだけど、
ボーッとしてるのは何か想像が働いている証拠と言い聞かせ、こらえる。

湯呑みを覗くといつものやつが入っている。
梅醤と粉生姜だ。そこに自分で番茶を注ぐ。
朝は必ず梅醤番茶を飲むことにしている。朝の梅は難逃れ。そんなふうに言われているらしい。調べたことないけど。
義母に良いと勧められてから、疑いもなく毎朝飲んでいる。
あとは必ず、味噌汁、おかず、ごはんの順で食べる。
そのほうが太りにくいとのことなのだけど、noteに入って8キロ太ったぞ。

娘がソワソワし始める。8時が近づいているからだ。
「…やばい、遅刻する!」顔にわかりやすくそう書いてある。
毎日それである。

タイムリミットすれすれ。帳尻合わせでごはんをかきこんで、
検温→ipadで結果を学校に連絡→歯磨きを3分で済ませる。
自分の体重より重たいのでは?と思うような水色のランドセルと
水筒を提げて玄関へ。

「きょうも元気で頑張るぞ!おー!」と、家族3人で声を出して言う。
去年観た「アイの歌声を聴かせて」というタイトルの映画で
主人公のステキ女子がやっていたのを真似している。
最初は観た翌日に冗談でやったのだけど、声に出して頑張るぞ!と言うのは意外にいい。ちょっとだけ頑張れる感じがする。ちょっとだけ自分で自分の背中を押すというか…そんな感じ。

で、そのまま徒歩5分の小学校へ一緒に行く。
ママの朝は忙しいので、たいていパパとふたり。
「きょう何の授業あるの?」
「国語、図工、漢字…」
「え?国語と漢字の授業別にあるの?」
「…ある。パパそれ前も言った」
「…ごめんなさい」

昨日はものすごく横に長い雲が空にあって、
こういうのを「たなびく」と言うんだよと教えた。
すると、娘が「知っている」と答えた。
「え?よく知ってるね!」
「百人一首にあった。
 秋風に たなびく雲の絶え間より もれ出づる月の影のさやけさ」
ちょうど昨日の朝は、たなびく雲の上空に月も見えていた。
句とちょっと違うけど「こんな感じのことかなぁ」と娘が言った。

娘は百人一首にハマっている。
ちはやふるの影響だ。
将来は主人公・ちはやのようにかるたクイーンになると言っている。
頑張って100首ぜんぶ覚えて、地域のかるた会にも入れてもらった。

いつもおはようと言ってくれる庭仕事をしているおばあちゃんが
その日も「おはよう」と言ってくれた。
その何倍も大きな声で娘が「おっっっはよーーーー!!」と返す。
おばあちゃんは笑ってくれる。

校門が近づいてくる。
「楽しんで」いつもそれだけ声を掛ける。
「うん、行ってきます!」
娘はそう言うと繋いでいた手をパッと離して、
振り返らずに駆け足で学校に入って行く。
お気に入りのオレンジのヘアゴム。
朝日に反射して、きれいだった。

「…さ、コーヒー飲んで仕事始めるか」
ようやく自分の時間が始まる。




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