おばあちゃんになっても
「いっしょに作ろう」
知り合って間もない頃、パスタが好きだと聞いた私は「作ってあげたいけどお口に合わなかったらどうしよう」と言った。そんな私に中野くんが返した言葉。
一緒に作りながら失敗したーって笑って楽しかったらいいじゃん!みたいな事を言ってくれて、予想外の返しとこの優しさにとても驚いた。(まだその頃中野くんは同棲していなかったから住んでいるアパートで作ろうって事だった)
私が汗臭くてもいいと言う。汗臭いのがいまの私だったら、そのまま汗臭くてもいいという。
生理がちゃんと終わってなくて清潔じゃなくてもそれが私だからいいという。
ずっとこうやって会い続けてほしいと言う中野くんに「おばあちゃんになるからやだ」と言うと、おばあちゃんになった私を見たいという。何年後か、おばあちゃんになった私とセックスをしていたいという。
中野くんのお誕生日が近い時、ケーキを買ってくる事ができなくてしょんぼりしていたら、「いつだっていいよ、一緒に食べれるならいつでも普通のショートケーキでもいい」と言う。もはやお誕生日から日にちが遠くなっても良いと言い、普通のショートケーキを一緒に食べる普通の日になっちゃうけどそれで良いらしい。
セックスが終わると中野くんは汗だくのまま力尽きて寝そうになる。そのまま“寝かしつけよう”と撫でる私に「時間がもったいないから寝たくない」と言い睡魔と闘う。寝顔は微笑ましいので10分でも寝て欲しい私と、寝たくない中野くん。
ピアスが欲しいとおねだりした時は、「いいよ」でも「なんで?」でもなく、「いいよ、一緒に見に行く?」と言う中野くんの事をやっぱり好きだと実感した。
こんな中野くんだから、会うたびに好きな気持ちが増える。少しだけど小さな“好き”が必ず増える。
過去に他の男性との出会いもあったけど、中野くんは彼らとはちょっと違う。この縁は何を意味しているんだろう。親しい友人にも誰にも話して事のない関係だけに、アドバイスや忠告が誰からもない。それが長く続く理由のひとつなのかもしれない。
私がおばあちゃんになる前に中野くんが去っていく事は想像している。おばあちゃんになった私を見たいだなんて喜ばせるような事言っといて先にいなくなるくせに。
それまではこのnoteで私の気持ちや出来事を綴っていこうと思う。