応用情報技術者試験に3ヶ月の独学で合格するための教材と勉強方法【2023年春期試験】
ITの資格を調べていて、応用情報技術者が気になった
実際の勉強方法などを知りたい
試験を受けたときの「気づき」とかも知りたい
2023年4月16日に受験した「応用情報技術者試験(以下、応用情報)」の結果が、2023年6月29日にようやく判明しました。 結果としては見事合格でした。
午後試験についてはギリギリで、正直なところ「ギリギリで落ちたのでは」という思いを合格発表までの約2ヶ月間抱えておりました。
午後試験は記述式であったこともあり、採点まで時間がかかるにしてもちょっと長すぎますね。
今回は、「応用情報」に合格するために行った勉強内容と、本番時の取り組み方、試験後から合格発表までの心理を共有したいと思います。
応用情報に少しでも興味ある方の参考になれば幸いです。
応用情報に使用した教材と勉強方法(午前)
★受験時のステータス
IT企業に6年在籍し、現在も所属
基本情報技術者試験(以下、基本情報)を6年前に受験し、不合格(アルゴリズムは敵)
Oracle Master Silverを取得(ほぼ役に立たない)
自作PCを趣味にしていたので、ハードウェアの知識は多少ある
現職がシステムエンジニアということもあり、ある程度のIT知識がある前提がありましたので、学習を始めた時点で「過去問道場」にて演習をしていきました。
しかし、仕事で取得していった知識・技術というものは所属する会社のルールでいかようにも捻じ曲げられるものです。
仕事をしながら自己流で身に着けた知識はお世辞にも「正確な知識」とは言えず、試しに1年分の過去問を解いてみたところ、正答率半分未満の散々な結果と相成りました。
そのため、基本的な知識の定着を図るため、以下の動画で知識をインプットしていきました。
定番の『キタミ式』等の参考書でのインプットも考えましたが、仕事で捻じ曲がった知識は紙の参考書では矯正できないと考え、動画講座にてインプットをする作戦に出ました。
前半の「基礎理論」の部分で挫折することも懸念した結果です。
参考書ではまず「二進数」や「基数変換」で心を折りにきますので。
動画講座と並行して過去問道場を「平成28年春期」から「令和3年秋期」の、直近2回分を除いた過去5年分それぞれを8~9割正解できるまでひたすら繰り返しました。
また、応用情報の過去問道場に加えて、基本情報の過去問道場も3年分(6回分)を解きました。『ゆっくりで学ぶ基本情報~』の動画で見たことのある問題が、応用情報の過去問に出題されていることが分かったからです。
実際、本番でも数問見かけたので、余力があれば基本情報の過去問も取り組んでおくと「あと1点」を回収できるかもしれません。
午前試験の勉強は試験の3ヶ月前から開始しました。
応用情報に使用した教材と勉強方法(午後)
試験の2ヶ月前からは午前試験の対策に加えて午後試験の対策を行いました。
午前試験は過去問の流用がおよそ4割、類似問題が2割出題される傾向にありますので、「過去問道場」を覚えるまでひたすら繰り返しておけば約5割は得点できます。
また、応用情報は範囲がとても広いですがその中でも「得意分野」を作っておき、その分野で残り1割を勝ち取れば午前試験はパスできるといった次第です。
ただし、午後試験は過去問の流用はなく、午前試験の勉強で得た知識を「応用」して得点していくこととなります。
そのため、午前試験の勉強よりも午後試験の勉強のウェイトを置くほうが効率的に試験対策ができます。
使用した教材はITEC社の『重点対策』です。
応用情報の合格体験談を読んでいると、必ず紹介されているといっても過言ではない本書。
はじめはどうも使い方がわからず手をこまねいておりましたが、試しに1つ目の演習問題を解いてみたことでようやく使い方のイメージができました。
★『重点対策』の使い方
まずは事前知識と付随する練習問題を解きます。
次に、必須問題の「情報セキュリティ」の演習問題を解きますが、この時は問題文を眺めてすぐに解答解説を見てしまいます。
解答解説を見たうえで、もう一度問題文に戻って再度眺めます。
選択問題は最初の1問を解いてみて、いけそうなら候補とし、肌に合わなければ捨てる
上記を繰り返すことで、「午後問題に慣れる」ことが本書の目的だと考えました。
上記のステップを踏むことで「解答の根拠は問題文中にある」ことと「知識を問われるとしても午前問題のレベル」であることが分析できました。
特に、「解答の根拠は問題文中にある」というのは高校の現代文の問題と似通っています。
試験である以上、正答の基準がないと好き勝手な回答をされて採点が難しくなりますからね。
2つ目以降の問題からは、まずは問題文を眺めて解けそうなら解き、どうしても解答にたどり着けなさそうなときは解答解説を見てしまうという方針で進めていきました。
これを繰り返し、徐々に解答解説を読まなくてもおおよそ合致した解答を導き出せるようになりました。
次に、選択問題の選定に移ります。応用情報の午後試験では必須の情報セキュリティに加えて10項目のうち4項目を選択して回答する必要があります。
★以下の10項目から4項目を選択
経営戦略
システムアーキテクチャ
プログラミング
ネットワーク
データベース
組込みシステム開発
情報システム開発
プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント
システム監査
『重点対策』の演習問題を各項目1問ずつ解いてみて、肌に合う項目を4~5つピックアップし、それ以外は完全に捨ててしまいます。
私の場合は、「システムアーキテクチャ、ネットワーク、データベース、システム監査」を選定して勉強していきました。
基本的にはこの4項目のみを取り組んだのですが、「経営戦略」も少し触れています。
理由としては、IT会社での社会人経験がそれなりにあったことと、日商簿記2級の資格を有していたので切り札になるかなと思ったからです。
後述しますが、本番では「データベース」が想定よりも難しかったため急遽「経営戦略」を選択しておりますので、この選択は正しかったと思っています。
このように、選定した項目が本番では手も足も出ないほど難しい、あるいはこれまで演習してきた問題とは傾向の異なる問われ方をすることがありますので、4項目に絞るよりは保険として5項目勉強しておくと安心です。
試験本番レビュー
試験当日はこの日においても正答率が半々な過去問を「過去問道場」で解いておき、本試験で同様の問題が出た場合は瞬時に解けるようにしておきました。
また、受験票の写真の貼り忘れがないか、筆記用具の準備は問題ないかなどを出発前に再度確認しておきます。特に、前日に急遽筆記用具を買い足すと思わぬトラブルが起きることがありますので事前に使用して慣らしておきました。
本番:午前試験
午前試験は動画でインプットした基本知識と、過去問道場で覚えた解答を駆使して順調に解いていくことができました。
基本情報の過去問が1問出題されましたので、やっておいて良かったと改めて痛感しました。
たかが1問、されど1問です。
少なくとも7割は正答できているという確信を得ましたので、途中退室可能時間から20分後に退室しました。
退室後昼食と休憩をとり、午後試験に備えました。
当日は、大変晴れておりました。
本番:午後試験
午後試験についてはまず必答の「情報セキュリティ」を回答し、続けて選定していた4項目を順番に解いていくこととしました。
こうすることで、残り4問に集中すればよいという状況を作り出せるので、精神的に安定します。
しかし、「データベース」の問題がどうにも解きづらく、このまま時間を取ってしまうと他の問題について十分な回答ができないと判断し、項目の見直しを行いました。
・システムアーキテクチャ
→取り組み始めは取っ掛かりづらく思えましたが、じっくり問題文を読んでいくと意外と解けそう
・ネットワーク
→とりあえず答案用紙は埋められましたが、根拠のある回答ができたかは半々
・データベース
→結局諦め、別の項目を解くことにした
・システム監査
→問題文から根拠のある解答を導くことができた
・経営戦略
→問題文を読んでいくと、抜き出して解答に供せそうと判断できたので、こちらをデータベースの代わりに選択することとした
「経営戦略」の選択前に「プロジェクトマネジメント」と「サービスマネジメント」もちょっと解けそうだと考えましたが、「経営戦略」の解きやすさには適いませんでした。
ここで改めて感じたのは、選択問題として4項目に完全にしぼってしまうのは危険であるということです。
仕事でも、バッファをもたせずにプロジェクトを進めてしまうと不測の事態に陥ったときにどうしようもなくなることがあります。
「万が一」を考えて計画を立てるのは仕事でも勉強でも同じなんだなと強く感じました。
午後試験については途中退室はせず、時間いっぱいまで回答と見直しを続けました。
試験後から合格発表までの心構え
試験が終わってから合格発表までの期間は「2ヶ月と10日程度」となり、非常に長いです。
この間にやっておいたことと、後悔していたことをメモしておきます。
午前試験の自己採点
午前試験が不合格ですと、午後試験はいくら頑張っても採点すらされません。
そのため、少しでも不安を払拭するために、午前試験の自己採点だけはやっておきました。
この時点で合格が分かれば、あとは午後試験の採点結果を祈るだけです。
逆に、午前試験の自己採点にて不合格だったとしたら、次の試験に向けて準備をしていたでしょう。
回答だけでなく、問題番号も見直しておくべきだった
試験後1週間ほど経過したときに、ふと頭によぎったのは
問題の選択番号、ちゃんと回答した番号にしただろうか?
といったことでした。
本番では「データベース」から「経営戦略」に変更したのですが、当時必死だったので問題の選択番号をちゃんと変更したかが曖昧でした。
結果としては問題なかったのですが、もし忘れていたらと思うと・・考えたくもありません。
選択予定だった番号を本番時に切り替えたときは、最後にもう一度見直しをしましょう。
まとめ
★応用情報の対策
午前試験は、仕事で基礎知識がついていればいきなり「過去問道場」で演習していく。そこで知識不足や理解の相違があれば動画講座やテキストで学びなおす
午後試験は、『重点対策』で学習し、「解答の根拠は問題文中にある」という感覚をつかむ。また、こちらの問題集を通して選択問題の選定を行う
応用情報は基本情報の知識があるとより学習しやすいと感じております。
※当方、基本情報は所有しておらずいきなり応用情報を受験しております。
理由としては、基本情報はアルゴリズム・プログラミングが必須なのですが、こちらの分野がすこぶる苦手で、実際、過去に当該試験に不合格となっております。
特に、応用情報はマネジメント系の知識をより多く問うような傾向がありますので、IT会社に勤めている方であれば、基本情報よりもオススメできます。
応用情報の学習を通じて基本情報の知識もインプットしてはいきましたが、どうにもこの分野は肌に合わないようです。
応用情報は広く浅くITの知識を学んでいきますので、「自分はこの分野が苦手で、この分野が得意または好きなんだな」というのがわかってきます。
私は応用情報技術者試験を通して、セキュリティに興味が出てきたので、次は「情報処理安全確保支援士」を狙ってみようと思います。
今回の受験を通して、今後のキャリアプランの一助になったのはうれしい誤算でした。
以上です。