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メモ報道関係

同志国に防衛装備品提供の枠組み 名称「OSA」 実施方針決定へ
2023年4月5日 6時15分

政府は同志国との安全保障協力を深めるため、防衛装備品の提供などを行う新たな枠組みを設ける考えです。名称をOSA=政府安全保障能力強化支援とし、具体的な運用のあり方を盛り込んだ実施方針を決めることにしています。

政府は、去年12月に改定した国家安全保障戦略に、法の支配などの価値観を共有する同志国との安全保障協力を深めるため、ODA=政府開発援助とは別に、防衛装備品や関連物資の提供などを行う新たな枠組みを設けることを明記しました。

そして、枠組みの名称をOSA=政府安全保障能力強化支援とし、5日にもNSC=国家安全保障会議を開いて具体的な運用のあり方を盛り込んだ実施方針を決めることにしています。

政府は、この枠組みを「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みの柱の1つとして各国に浸透を図りたい考えで、まずはフィリピンやマレーシア、バングラデシュ、それにフィジーの4か国の軍などを対象にすることを検討しています。

背景には、覇権主義的な行動を強める中国も念頭に、同志国の防衛体制の強化を後押しすることで、地域の抑止力を高めるねらいがあるものとみられます。

同志国の軍支援へ 新制度「OSA」フィリピンなど4カ国に
2023/4/5 19:46
政府は5日、国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合を持ち回りで開催し、日本が同志国の軍などへ防衛装備品を提供し、安保能力の強化を後押しする無償資金協力の新制度「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を創設したと発表した。昨年改定した国家安保戦略に基づく措置。今年度の対象国はフィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーの4カ国となる。

松野博一官房長官は5日の記者会見で、「わが国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、わが国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の抑止力を向上させることが不可欠だ」と述べた。

外務省によると、OSAは非軍事分野に限定してきた政府開発援助(ODA)とは別枠となる。具体的には、①防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の範囲内での支援②国際紛争に直接、関わらない分野に限定③国連憲章との整合性の確保-などを運用方針とする。

対象となる4カ国には海洋安保分野での支援ニーズがあり、通信衛星システムや無線システム、警戒監視レーダーなどの資機材の供与を想定している。

今後、相手国政府や軍との協議のほか、現地調査などを行い、早ければ秋ごろには具体的な支援内容が固まる見通し。来年3月までに、相手国政府との契約締結を目指す。

政府は令和5年度予算で、同志国の安保能力強化のための「非ODA予算」として20億円を計上した。

日本の平和外交は変質するのか…途上国の軍を支援するOSAの展望と課題
2023/04/13 10:00

 IPEFやらTPPやらFOIP(※)やら、外交、通商、安全保障の枠組みで氾濫気味のアルファベットの略語に、鳴り物入りで新たな仲間が加わった。2022年末に改定された「国家安全保障戦略」の中で既にアイデアが示されていた、途上国の軍とかかわる事業に、日本政府の予算を使って、無償の支援を行う対外援助の枠組みだ。23年度予算の中で具体化されるにあたり、OSA(Official Security Assistance)の名前が与えられた。

 政府が示した日本語表記は「政府安全保障能力強化支援」。軍事にかかわる案件には使えなかったODA(Official Development Assistance=政府開発援助)と「パラレル」(外務省幹部)と位置づけられた。政府・与党が「日本の対外援助がより柔軟に行える」と期待する一方、ODA事業に携わってきた民間企業からは、「OSAにはODA事業と通じる部分も多いはずで、民間企業のノウハウを利用した方がいい。OSAの発表までの間に、そうした取り組みがあったようには見えなかった」と不満も漏れる。日本の「平和外交」「非軍事の対外支援」の伝統を根底から変えると警戒する声もある。多くの課題を抱えながら、岸田文雄政権が得意とする「とりあえずやってみる」方式には、準備不足の懸念もある中、新たな枠組みが動き始めた。

(※) IPEF (Indo-Pacific Economic Framework)=インド太平洋経済枠組み
    TPP (Trans-Pacific Partnership)=環太平洋経済連携協定
    FOIP (Free and Open Indo-Pacific)=自由で開かれたインド太平洋

「何も知らなかった」ゼネコン幹部のぼやき
 政府は2023年4月5日にOSAの創設を正式決定し、第1弾の対象国としてフィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーの4か国を選定したと発表した。

 このニュースを目にした大手総合建設会社(ゼネコン)幹部は、「発表の直前、マリコン(港湾施設の建設などに携わる海洋関係の業者)から『4か国が選定された話を知っているか』と連絡をもらうまで、業界はほとんど何も知らなかった」と驚きの表情を見せた。

 4か国が支援を要望しているとされる内容は、全て海洋に関係するもので、まだ何をどのように支援するのかについては、漠然とした部分が多い。

 フィリピンは「海洋状況把握強化のための装備調達」。

 マレーシアは「広大な海域をカバーするための情報収集・警戒監視・偵察能力強化に資する機材などの支援」。

 バングラデシュは「東南アジアとインド大陸を結ぶ要衝で、自由で安全なシーレーン(通商や軍事面で重要な海峡、沿岸航路などの海上交通路)を確保するための海洋安全保障能力の向上に資する機材などの支援」。

 そして300を超える島で構成され、「広大な排他的経済水域(EEZ)を有する地域の安全保障にとって重要な存在」のフィジーも、「海洋安全保障能力向上に資する機材などの支援」。

 武器自体ではなく、軍が使う飛行場の滑走路、港湾施設の建設、宿舎の造営などにOSAを使う場合は、ODA同様、民間企業の出番となる。
 
 相手国の要望を具体化するには、さらなる現地での調査も必要だ。

 東南アジアを中心にODA事業を請け負ってきたゼネコン幹部は「OSAはODAとは別のものであるという以上、ODAを担うJICA(国際協力機構)に調べさせて具体的案件を詰めるわけにはいかないのではないか」として、4か国への漠然とした支援の方針を発表する前に、民間企業も巻き込み、今後の進め方のメドをつけておくべきだったのではないかと指摘する。

 外務省幹部はOSAの具体的成果が出てくる時期について「現実問題としては、来年度(24年度)になるのではないかと思う」との見通しを示している。

 4か国に何を供与するかについては「中身はほぼ確定している」と言うが、「秋頃の公表、年度内の国際約束の署名、必要な額の供与という流れになる」と、日程感は比較的ゆっくりだ。その後、具体的な施設や装備の調達が始まるので、24年度に具体的な成果が目に見える形で表れると計算している。

 細部を詰めずに、まず構想を打ち出すのは、岸田政権でしばしばみられるやり方だ。「国家安全保障戦略」など戦略3文書の策定も、防衛費の大幅増も、国民の理解を十分に得る作業は後回しにして、「とりあえずやってみる」方式をとった。

 不思議なことに、この政権は「とりあえずやってみる」方式で、重要政策がいくつも前に進んでいる。背景には、野党が与党の政策にブレーキをかけたり、再検討を迫ったりする力が不足していることがあるだろう。「方向性が正しければ、理解してもらえる」(首相周辺)のだとしても、事前に中身を詰めず、有権者への説明も後回しにする手法には、危うさもつきまとう。

 少なくとも、23年の通常国会での論戦で、岸田政権が防衛費増額の具体的な中身を深掘りしたり、国民が理解できるような説明を尽くしたりしたかといえば、十分とは言い難い。

 OSA創設も、これまでの日本の安全保障政策の根幹を変える要素があるだけに、いいかげんに進めてしまうと、先細りになるか、無原則の軍事支援になりかねない。民間の知恵も借りながら、軌道に乗せていく必要がありそうだ。

単独よりネットワークで脅威に対抗
中国外相(当時、左)のソロモン諸島訪問=AP、2022年撮影
 OSAのアイデアを示した2022年12月の「国家安全保障戦略」には、次のように書かれている。

 「同志国との安全保障上の協力を深化させるために、開発途上国の経済社会開発等を目的としたODAとは別に、同志国の安全保障上の能力・抑止力の向上を目的として、同志国に対して、装備品・物資の提供やインフラの整備等を行う、軍等が 裨益ひえき 者となる新たな協力の枠組みを設ける。これは、総合的な防衛体制の強化のための取り組みの一つである」

 「同志国」は、「民主化の定着、法の支配、基本的人権の尊重」を前提とする国だと、外務省は説明する。支援のやり方は、ODAでの「無償資金協力」と同じで、相手国から事業費用の返済を求めない。「同志国」であっても、発展途上国でなければOSAは提供しないゆえに、「ODAとパラレルのイメージ」(外務省幹部)なのだという。

 対象国のニーズを基本にしながら、日本の安全保障にとっても大切だと思われる環境づくりにつながるような支援を想定しているというのが、外務省の説明だ。
 これは、OSA創設を決めた日と同じ23年4月5日に公表された、8年ぶりの改定となるODAの基本方針「開発協力大綱」の原案に、相手国の要請ではなく、日本側からメニューを示す「オファー型協力」を始めることが盛り込まれたことにも通じている。

 中国がアジアや太平洋の 島嶼とうしょ 国などで資金援助やインフラの開発支援を通じて存在感と影響力を強める中で、日本の通商や国土の安全を日本だけで守ろうとするのは効率的ではない。

 フィリピン、マレーシア、バングラデシュの周辺海域の安全を維持することは、日本にとっても重要なシーレーンを守ることと同義にもなる。

 22年にソロモン諸島と中国が安全保障協定を締結し、米国、豪州、日本などを慌てさせたように、深刻な米中対立の状況が続く中で、太平洋の島嶼国の「争奪戦」も熱を帯びている。

 日本を含む先進民主主義国陣営は、島嶼国やシーレーンの沿岸国について、陣営の「味方」として引き込めればよし、そうでなくても、最低でも米中の間での中立、等距離を保たせることが大切だと考えている。

 島嶼国は広大なEEZを持っているだけに、米中の「海の覇権争い」にも直結するからだ。

 比較的厳しい対中姿勢をとってきたフィジーをOSA第1弾の対象国候補にしたのも、そうした経緯をふまえてのことだろう。

 OSAが「日本の安全保障に資する」という目的を遂げるには、「要請主義」だけでは限界がある。脅威に対するネットワークを複数の国で築きあげていくには、新たなODA方針と同様、日本から提案する場面が増えていく可能性もあるのだろう。

「平和主義は維持」と外務省
マレーシアの沿岸警備組織にODAを使って供与された日本の巡視船。ODAは軍の傘下にある沿岸警備組織には使えない
 これまで厳密に禁じていた外国の軍に対する支援の解禁は、日本の「平和主義外交」を覆すとの批判に対して、外務省幹部は「OSAは日本の平和主義外交の原則を崩すものではない」と強調する。

 OSAによる支援が第三国に移転されたり、国際紛争と関連する可能性のある分野を除外したりするとしているのは、その姿勢を示すためだ。

 23年度当初予算に計上されたOSAの額が、ODA予算と比べれば極めて小さな20億円に過ぎない点も、目を引く。

 自民党国防族からは「せっかくOSAを創設したのに、財務省との予算交渉では、従来のODA予算規模の枠の中からOSAを捻出しようとする姿勢が顕著で、キックオフが20億円では話にならない」と嘆く声も出ている。

 だが、「20億円から始め、実績を積めば、予算が増え、もっと大きなことができるようになる」(外務省幹部)というのは、「平和主義外交の転換」という声を意識した面もあるのだろう。「小さく産んで大きく育てる」ことで、少しずつ国民の理解を得ていく狙いもあるようだ。

 もっとも、20億円では、軍が海洋警備を担う国に巡視船1隻を供与したら、それだけで予算は底をつくレベルだ。「同志国」の軍に対し、高価な装備品を無償提供するというよりも、軍も使う空港や港湾の建設、補修などを想定した方が、OSAによって可能な事業のイメージに近いようにも思える。

 その意味でも、当面のOSAで活躍が期待されるのは、民間企業なのだろう。

 前出のゼネコン幹部は「かつて東南アジアで、ODA資金でプレハブを建設した際、そこが一時、軍の宿舎に使われて厳しい批判を浴びたことがある。あまりにも厳密に使途を制限すると、支援を受けた側も使いづらく、こちらもやりにくかった」と打ち明ける。

 OSA創設には、そうした「グレーゾーン」の心配を解消する効用もありそうだ。

 例えばODAで建設した滑走路を軍民共用にするわけにはいかないが、戦闘機が使える強度を持つ滑走路をOSAで建設した場合、軍民共用で使う道は開かれる。

 そうであればなおさら、グレーゾーンに悩まされてきた民間企業の知見を、OSAの展開に採り入れていくことが大切になる。

ODAでの軍営病院の支援
 軍が行う「非軍事分野」の活動が多いことも、銘記しておく必要がある。

 災害対処、捜索救難・救命、医療、援助物資の輸送などだ。

 新たな「開発協力大綱」によって上書きされる2015年版の「開発協力大綱」に、「他国の軍隊でも、非軍事分野には支援する」方針が明記されていたのも、そうした軍による「非軍事分野」の活動の重要性を想定していたからだ。

 それ以前にも、西アフリカのセネガルの軍営病院の産科棟をODAで改修した事例がある。軍以外の民間人も利用していたこと、西アフリカで最大規模の医療機関であることが勘案され、軍営だからといってODAを使えないようだと、地域の公衆衛生、母子の健康などに与えるデメリットが大きいと判断されたからだ。

 一方で、途上国の沿岸警備に使うため、海上保安庁の中古の巡視船をODAによって供与するケースを見ると、沿岸警備を行う警察組織が軍と切り離されていれば供与可能と判断し、警察組織が軍の傘下にあるなど、実質的に軍が沿岸警備を行っている場合は、供与を見送ってきた。

 日本から大型巡視船の供与を受けたかったベトナムが、軍の傘下にあった沿岸警備組織を独立させ、軍から切り離した逸話は有名だ。

 多くの国では、大型巡視船が搭載する銃砲類は軍隊並みで、ミサイルを積んだ巡視船もある。

 実態としては「軍事」に近いのに、組織の形式だけに着目して供与の是非を判断してきたやり方にも、矛盾が生じていたとも言える。

<Q&A>政府が創設した「OSA」って? ODAとの違いは? 相手国や援助額は?
2023年4月21日 06時00分
 政府は今月、民主主義や法の支配といった価値観を共有する途上国の軍に対し、防衛装備品などを無償提供する新たな軍事支援の枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を創設しました。途上国支援には、70年近い歴史を持つ政府開発援助(ODA)がありますが、分野を軍事面に広げようとしています。(川田篤志)
 Q OSAとは。
 A 民主主義などの価値観を共有する途上国を「同志国」と位置づけ、軍に装備品の提供やインフラ整備を無償で行う枠組みです。海洋進出を強める中国を念頭に、関係強化が期待できるアジアや太平洋島しょ国への支援を想定しています。政府は、日本にとって望ましい安全保障環境をつくるのが目的だと説明しています。
 Q ODAとの違いは。
 A ODAは「平和国家の道を歩む日本に最もふさわしい国際貢献」を掲げ、非軍事的な協力に徹してきました。政府関係者は「安保分野の支援は日本の国際協力の空白地帯だった」とOSAの意義を強調しており、平和国家の歩みと一線を画す軍事面に特化した取り組みになります。
Q 具体的にはどんな支援を考えているの。
 A 2023年度予算に20億円を計上し、フィリピンやマレーシアに警戒監視レーダーなどを提供する見通しです。自民党内では「小さく産んで大きく育てる」と、将来的な大幅増を望む声も上がっています。
 Q ミサイルなどの攻撃的な武器を提供する可能性は。
 A 装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の枠内で行うため、殺傷能力のある武器は原則提供できず、レーダーのような警戒監視目的などに限られます。ただ25日に自民、公明両党が三原則見直しの議論を始めます。殺傷能力のある武器の輸出解禁にかじを切れば、OSAにも準用されるので、日本の武器が途上国に拡散する可能性が生じます。
 Q 日本の装備品が紛争を助長する恐れは。
 A 政府は、平和国家の理念との整合性を図るため「国際紛争との直接の関連が想像しがたい」分野に支援を限定し、目的外使用や第三者移転を防ぐことを相手国に義務付けるとしています。ただ、渡してしまえば相手次第なので、実効性は不透明です。「同志国」の定義も曖昧で、支援先が拡大していけば、日本が意図しない使われ方をする懸念も強まります。
 Q 最近までOSAという名称を聞かなかった。
 A 政府は昨年末に閣議決定した国家安保戦略の中で大枠の方針を示しましたが、OSAの名称と具体的な内容を決めたのは今月5日に正式に創設した時です。他国への軍事支援という重大な決定にもかかわらず、国会の関与がほとんどなく、野党から「決定過程が極めて不透明だ」(共産党の山添拓参院議員)との批判が出ています。