第212回臨時国会 内閣提出法案10号 国立大学法人法の一部を改正する法律案をmgmgしてみる

重要法案(登壇物)

衆議院
国立大学法人法の一部を改正する法律案(212国会閣10)


衆議院
2023/11/07 本会議

「国立大学法人法」趣旨説明・質疑

衆議院
2023/11/08
文部科学委員会

1  大臣所信に対する質疑
2「国立大学法人法」趣旨説明

衆議院
2023/11/10
文部科学委員会

「国立大学法人法」に関する質疑(与党のみ)

衆議院
2023/11/14
文部科学委員会

「国立大学法人法」に関する参考人の意見陳述および質疑

衆議院
2023/11/15
文部科学委員会

「国立大学法人法」に関する質疑(野党から)

衆議院
13:00 本会議

(所要2時間45分程度)

国立大学法人法の一部を改正する法律案、討論、採決

参議院
国立大学法人法の一部を改正する法律案(閣法第一〇号)

参議院
2023/12/01
本会議

(所要約1時間35分)
「国立大学法人法」趣旨説明、質疑

参議院
2023/12/05
文教科学委員会

「国立大学法人法」趣旨説明、参考人からの意見聴取、参考人に対する質疑

文教科学委員会 10:00

「国立大学法人法」に関する質疑(与党のみ)

PolityLink (文字起こしは全て自動作成されており、その正確性を保証することはできません。)


ざっくり雑感

国立大学法人法改正案 と呼ばれているみたい。
東工大と東京医科歯科大統合など
って法案みたい。

2022年に東京工業大学と東京医科歯科大学の2つの国立大学が、統合に向けた協議を開始したいみたい。統合構想の背景には、大学の国際競争力を高めようという大学ファンドが関わっているみたい。

下記の記事から抜粋するね。
『国立大学法人法の一部を改正する法律案では、国立大学法人の管理運営の改善や教育研究体制の整備・充実を図るため、事業規模が特に大きい国立大学法人に運営方針会議の設置、中期計画の決定方法の特例の創設、資金調達方法の対象拡大、資産管理方法の弾力化を講じる。』
とのこと。

稼げる大学を目指すみたい。反対署名があるから末尾に添付するね。

新たな大学の名称を「東京科学大」(略称・科学大)とするみたい。

2023/11/15 東京朝刊で争点となる記事があったのでペタリ

規模の大きい大学を「特定国立大学法人」と位置付け、新たに「運営方針会議」の設置を義務付ける。現在は役員会の審議を経て学長が方針を決めている中期計画や予算・決算をこの会議が決議する。学長選考に関しても意見できるなど、強い権限を持つ。

 学長と3人以上の委員で構成する合議体で、経営の専門家など学外者の参加が想定されている。文部科学相の承認を得た上で学長が委員を任命する。

 外部の知見を取り入れ、大学のガバナンス(組織統治)機能を強化するのが狙いだという。

 しかし、教職員らは、政財界の意向が教育研究の領域を含めて大学運営に影響を及ぼすことを懸念する。東京都内できのう開かれた反対集会で、東京大の本田由紀教授は「大学の自主性、自律性の尊重を定めた教育基本法に抵触する」と批判した。

 盛山正仁文科相は委員の承認について、国会の答弁で「明らかに不適切と客観的に認められる場合などを除き、拒否はできない」と説明した。だが、日本学術会議の場合も、首相による会員の任命は形式的とされていたはずなのに、6人が拒否された。

 合議体の設置は元々、10兆円規模の大学ファンドから助成を受ける「国際卓越研究大」が対象に想定されていた。他の大学への適用拡大は、多くの教職員らにとって「寝耳に水」だった。

 2004年の法人化以降、国立大への運営費交付金は段階的に減らされた上、政府の評価指標に基づいて傾斜配分される枠が拡大された。経営陣が政府の意向をそんたくする傾向が顕著となり、現場への締め付けが強まった。

https://mainichi.jp/articles/20231115/ddm/005/070/101000c



法案情報

内閣法制局情報

主管省庁情報


審議情報

衆議院

審議経過情報

付託委員会趣旨説明
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→衆議院委員会討論


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衆議院本会議委員長報告
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参議院

議案審議情報

付託委員会趣旨説明
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→参議院委員会討論


↓発言URL



参議院本会議委員長報告
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【詳しく】東工大と東京医科歯科大 統合協議へ ねらいや背景は
2022年8月12日
東京工業大学と東京医科歯科大学の2つの国立大学が、統合に向けた協議を開始することになりました。

2つの大学はいずれも、研究力が国内最高水準だとして国が指定している「指定国立大学」で、10の大学しかない「指定国立大学」どうしの統合は、実現すれば初めてになります。

前例がない、大規模な国立大学の統合構想がなぜ持ち上がったのか。

その背景や今後の展望について、教育担当の能州記者が詳しく解説します。


Q:突然の発表 なぜ統合構想が持ち上がったのか
A:統合に向けた協議の開始は、東京工業大学の益一哉学長と、東京医科歯科大学の田中雄二郎学長の間で議論を重ねたうえの判断だったようです。

2つの大学は統合のメリットについて「それぞれの大学の重点分野・戦略分野を強化することに加え、自然科学の様々な分野を自由な発想で掛け合わせ、新たな学術分野を生み出せる」としています。

2つの大学のねらいは研究力を高めることにあり、それぞれが専門性を磨いてきた理学や工学、それに医療や歯学などの研究領域が組み合わさり、幅広い研究が行われるようになることが考えられます。

関係者への取材では、早ければ2024年にも統合が実現する可能性があるということです。

Q:大学の統合 どんな形があるのか

A:主に2つ、あるようです。

(1)大学と運営法人の両方を統合させ、新たな1つの大学になる

(2)2つの大学は残し、運営する法人のみ統合する

関係者によりますと、今回の統合では、(1)のように新たな名前の大学となることも含めて検討が進められているようです。

(1)の場合、新たな大学が生まれるということで周囲に与えるインパクトが大きく、統合の相乗効果も生まれやすくなると考えられます。

2つの大学のうちの1つに、いわば吸収合併のように統合する方法や、2つの大学を廃止して新たに1つの大学をつくる方法があり、法改正や、大学の設置に関わる国のさまざまな手続きが必要になります。

(2)は、2019年の法改正以降に可能となりました。

「アンブレラ方式」とも呼ばれ、他の大学での実績も複数あります。

どちらの大学も、統合するかどうかも含めて「最終的な決定は今後の両法人における協議に委ねられている」としています。

Q:2つの大学はどんな特徴があるのか
A:どちらも研究力が国内最高水準だとして国から「指定国立大学」の指定を受けています。

東京工業大学は都内や横浜市に3つのキャンパスがあり、大学生や大学院生は合わせて1万人余りです。

現在は、学部と大学院を統一し、理学や工学など6つの「学院」があり、大学生の9割が大学院に進学する国内有数の理工系の大学で、140年余りの歴史があります。

研究成果に対する国際的な評価も高く、体の細胞の中で要らないたんぱく質などを分解して、再びエネルギーとして使う、「オートファジー」という仕組みを解明した大隅良典栄誉教授は、2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

一方、東京医科歯科大学は都内や千葉県市川市国府台にキャンパスがあり、学生数は大学生や大学院生を合わせて3000人余りです。

「東京高等歯科医学校」として1928年に設置されたのが始まりで、こちらも歴史ある大学です。

新型コロナの重症患者を大学病院で受け入れるなど、臨床の現場で中心的な役割を担っているほか、オミクロン株など新たな変異ウイルスの研究でも成果を出しています。

どちらも理系トップクラスの大学というところに今回の大きな特徴があります。

これまでの大学の統合では、少子化が進む中、経営面での課題を改善するために行われるケースが多くありました。

今回は実績十分の大学どうしが一つになるかもしれないということで、関係者の間でも驚きの声が上がっていました。

こうした統合構想の背景には、大学の国際競争力を高めようという、国のプロジェクトが関わっているとみられています。

Q:国のプロジェクトとは
A:国が設立した「大学ファンド」です。

財政投融資などで確保した10兆円規模の資金を運用し、年間3000億円を目標とする運用益を大学の支援に充てるものです。

支援を受けられるのは「国際卓越研究大学」に認定される数校に絞られ、国際的に優れた研究成果を出すことや、年3%の事業規模の成長などが認定の要件とされています。

この「国際卓越研究大学」の公募が、年内に始まるのです。

選ばれれば、年間数百億円の支援を長期間受けることとなり、腰を据えた、質の高い研究をすることが可能になります。

2つの大学は統合構想を進めるとともに、公募を視野に入れて理工学や医学、歯学などの分野で研究力をさらに高めるねらいがあるとみられます。

Q:これまでの大学統合はどのようなものがあったのか
A:国立大学は、国の組織から切り離されて法人化された2004年の前後に統合が加速しました。


2003年には東京商船大学と東京水産大学が統合して東京海洋大学になったほか、2007年には、大阪大学と大阪外国語大学が大阪大学になるなど、2002年から7年までの6年間で29の大学が14の大学に統合されました。

2019年からは1つの法人で複数の大学を運営することが可能となり(アンブレラ方式)、大学は残したまま法人のみ統合するケースも相次いでいます。

2020年には名古屋大学と岐阜大学、2022年春には小樽商科大学と帯広畜産大学、それに北見工業大学の3つの大学、また、奈良女子大学と奈良教育大学がそれぞれ1つの法人に統合されています。

一方、私立大学では2008年に慶應義塾大学が共立薬科大学と合併して慶應義塾大学薬学部を設置し、現在は、東京歯科大学と統合の協議を進めています。

Q:国際的な研究力の低下 日本の大学の現在地は
A:ここ数年は「海外の大学に後れをとっている」という指摘が出ています。


イギリスの専門誌、「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が研究内容や論文の引用回数などの指標をもとにまとめた世界の大学のランキングでは、
▽東京大学が35位、
▽京都大学が61位と日本からは100位以内の大学は2校にとどまっています。

▽201位から250位までに東北大学、
▽301位から350位までに大阪大学と東京工業大学、
▽501位から600位までに東京医科歯科大学などとなっています。

一方、▽1位は、イギリスのオックスフォード大学で、
▽2位は、アメリカのカリフォルニア工科大学と
▽アメリカのハーバード大学など13位までアメリカとイギリスの大学が占めています。

今月9日に公表された文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の調査結果では、他の論文に多く引用され、注目度のより高い論文を示す指標「Top1%補正論文数」で中国が米国を抜いて初めて1位となり、日本は10位で過去最低になりました。

Q:研究力低下はどうして起きているのか

A:筑波大学大学研究センターの金子元久特命教授は次のように話しています。

「理由の1つは、研究費が足りていないことが大きくあり、改善すべき点の1つです。アメリカは政府が研究費の資金を積極的に投じるほか、大学が民間企業などに研究成果を売る仕組みもできていて、大学自体がお金を稼ぐシステムもあります。中国は経済成長し、大学への投資に資金を回しているので、その成果も明確に表れています。アメリカと中国から引き離されて、日本は相対的に低くなっている状況で、予算や投資を増やさないと解決できません。日本で行われる『大学ファンド』は財政投融資によって競争的資金を生み出すという、ある意味、苦肉の策ですが、そこまで追い込まれているのだと思います。また、大学という組織は閉鎖的な部分があり、若い優秀な研究者に良いポストと給料を出すことが難しい状況もあります。海外の研究者とのネットワークを築きにくいことも課題になっています」。

Q:今回の大学構想はこうした状況に一石を投じることはできるのか
A:金子特命教授は、「形として統合すれば何かできる、ということではなく、具体的なプランや何ができるようになるのかということに注目したい」と話していました。

「大学ファンド」を巡っては国内の大学間の競争が予想されますが、今回の統合構想でさらに激しさを増すことも考えられます。

統合構想がどのように具体化し、2つの大学にとってプラスとなるのか、またほかの大学にどのような影響を与えるのか、注視していきたいですね。

東工大と東京医科歯科大が統合へ 両学長が統合の効果など語る
2022年10月15日 5時25分

東京工業大学と東京医科歯科大学の2つの国立大学が、2年後をめどに統合して新しい大学になることで基本合意しました。
両大学の学長がNHKのインタビューに応じ、医学と工学の連携など統合による効果への期待を語りました。

東京工業大学と東京医科歯科大学は、ことし8月から統合に向けた協議を進めてきました。

それぞれの大学を残して運営法人のみを統合する案も検討しましたが、14日、新しい1つの大学になるという基本合意書を締結しました。

新しい大学の名前はまだ決まっていませんが、国立大学の統合に必要な法改正を経て2年後の2024年度をめどに統合することを目指します。

また、統合を前提に、国が年内に公募することにしている10兆円規模の「大学ファンド」の運用益の配分を受けられる「国際卓越研究大学」への認定を申請することも検討しています。

新たな大学について、東京工業大学の益一哉学長は「この30年、日本から新しい産業が生まれなかった。社会に直接、接点を持つ病院があり、人と直接関わる医科歯科大学と一緒になれば、知の創造だけではなく、新しい産業を生み出すことができるのではないか」と期待を語りました。
東京医科歯科大学の田中雄二郎学長は、それぞれが得意とする医学と工学の連携を積極的に展開するとしたうえで「特に大学院の改革を行い、世界標準になるものにして、日本人だけではなく世界から応募があるようにしたい」と述べました。

2つの大学はいずれも、研究力が国内最高水準だとして国が指定している「指定国立大学」となっていて、田中学長は日本の研究力の低下が指摘される中、研究をサポートする環境を整えていく考えも示しました。

統合後の新名称「東京科学大」 東工大・医科歯科大が発表
2023/1/19 15:18

令和6年度中の統合を目指す東京工業大と東京医科歯科大は19日、新たな大学の名称を「東京科学大」(略称・科学大)とすると発表した。大学設置・学校法人審議会での手続き後、文部科学省に変更を提出。国立大学法人法改正を経て正式に新名称が決定する。

両校は昨年10月、大学の統合で合意。理工系分野と医療系分野の融合を狙い「新大学の目指す姿にふさわしい名称」にしたいとして、案を公募していた。昨年11月末からの2週間で6千件以上の提案があり、名称検討ワーキンググループや両校の役員会などでの検討を経て決定した。

新名称について両校は「これからの科学の発展を担い、社会と共に活力ある未来を切り拓いていくという、強い意志を名称に表現した」と強調。統合による国際的地位の向上を視野に入れており、新名称の英語表記「Institute of Science Tokyo」も決め手になったとみられる。

両校は政府が創設した10兆円規模の基金から年間数百億円の支援を受ける「国際卓越研究大学」の認定を目指している。両校とも世界最高水準の教育研究活動が見込まれる「指定国立大」になっており、指定国立大同士の統合は初。

統合当初の授業などはあまり変更せず、移行期間を10年3月まで設定。両大学の特徴を生かした大幅な組織改変を目指している。また、都内に新キャンパスを設置する構想も明かしている。

3年度の国からの運営費交付金は東工大が218億円、東京医科歯科大が138億円で、新大学は北海道大や筑波大と同規模になる。国立大が統合して新たな名称になるのは平成15年に東京商船大と東京水産大が統合した東京海洋大以来となる。

東京科学大、英語名は「Institute…」 東工大と医歯大統合
山本知佳2023年1月19日 16時33分

合意書を手にする東京医科歯科大の田中雄二郎学長(右)と東京工業大の益一哉学長=2022年10月14日午後、東京都中央区、山本知佳撮影

 2024年度中に一つの大学に統合することを発表している、いずれも国立大の東京医科歯科大と東京工業大は19日、新大学の名称を「東京科学大学」とすると発表した。今後、文部科学省に届け出て、法改正などを経て正式に決定する。

 発表によると、略称は「科学大」。英語表記は「Institute of Science Tokyo」にするという。「科学大」とした理由について両大学は文書で、「新大学がこれからの『科学』の発展を担い、社会と共に活力ある未来を切り拓(ひら)いていくという、強い意志を表現したいと考えた」と説明した。

 新大学の名称は昨年11~12月に両大学のホームページで募集した。学内外から6千件超の応募があったという。集まった名称を参考に、両大学で作った名称検討ワーキンググループで検討するなどして決まった。

 政府は昨年、大学の国際競争力の強化を狙い、10兆円規模の大学ファンド(基金)で支援する制度を創設。その対象となる「国際卓越研究大学」の公募を始めており、両大学は統合によって研究力を強化することで認定を目指す。

 両大学は昨年10月、「新たな研究教育、人材創出などの統合効果が上がる」などとして、統合を発表していた。東工大は学部生と大学院生計約1万人が学ぶ。医歯大は約3千人が在籍する。国立大同士の統合は、07年の大阪大と大阪外国語大以来となる。(山本知佳)

医科歯科大と東工大の統合、来年10月1日の見込み 本部は大岡山に
山本知佳2023年10月31日 18時28分

 東京医科歯科大と東京工業大が来年10月1日に統合する見通しとなった。政府が10月31日、両大学の統合を盛り込んだ国立大学法人法改正案を閣議決定した。

 新しい大学名は「東京科学大」。東京医科歯科大によると、本部は当面の間、東工大の大岡山キャンパス(東京・目黒)に置く。両大学は昨年10月、2024年度中の統合を発表していた。国立大学同士の統合は、07年の大阪大と大阪外国語大以来となる。

 改正案には、国際卓越研究大学で求められている合議制の機関の設置を、特定の国立大学法人に求めることも盛り込まれた。(山本知佳)

大規模国立大、合議体を必須に 学外者と運営方針協議
教育
2023年10月31日 20:06

政府は31日、大規模な国立大学法人に運営方針を決める合議体の設置を義務付ける国立大学法人法改正案を閣議決定した。学外の有識者を想定する3人以上の委員と学長で構成し、予算・決算に関する事項などを決定する。

現在は役員会の審議を経て学長が方針を決めることになっており、外部の知見を取り入れてガバナンスの強化を図るとしている。

合議体の名称は「運営方針会議」で、6年間の中期計画や予算・決算を決議し、決議内容に基づいて運営されていない場合には学長に改善措置を要求可能とする。学長選考に関しても学長選考・監察会議に意見を述べることができる。

理事が7人以上の国立大学法人のうち、収入・支出額や学生数などが特に大きい法人を「特定国立大学法人」に指定し、運営方針会議の設置を義務付ける。東北大、東京大、東海国立大学機構、京都大、大阪大が対象となる見込み。

この5法人以外でも、文部科学相の承認を受けて運営方針会議を設置できる。

国が10兆円規模の基金を活用し、世界最高の研究水準を目指す大学を支援する「国際卓越研究大学」制度ではガバナンス改革が求められており、それに対応するための法改正。東北大が初の認定候補に選ばれている。

改正案には、東京工業大と東京医科歯科大を統合して来年10月1日に「東京科学大」とすることも盛り込んだ。〔共同〕

大規模国立大に「運営方針会議」設置義務 文科省が法改正案公表 卓越大議論踏まえガバナンス強化
2023/10/31 09:16

文部科学省は31日、国立大学法人法の改正案を公表した。規模の大きな国立大に対し中期計画や予算などを決める「運営方針会議」の設置を義務付けるのが柱。学外の有識者を想定する3人以上の委員と学長で構成する。現在は役員会の審議を経て学長が方針を決めるが、研究基盤強化や事業規模の成長を見据えて国立大のガバナンス(組織統治)を充実させる。

運営方針会議の設置は、東北大が認定第1号に内定している国際卓越研究大学を巡る議論で浮上。国際卓越研究大学認定には、重要事項の決定機関として学外者が多数を占める合議体を設置することが要件とされたが、こうした合議体は私大に関しては私立学校法上設置が可能な一方、国立大学法人法では根拠規定がなく法改正が必要となっていた。

運営方針会議は6年間の中期計画や予算・決算を決議し、決議内容に基づいて運営されていない場合には学長への改善措置が要求可能。学長選考に関しても意見を述べることができる。

文科省は国際卓越研究大学に限らず各大学のガバナンス充実を求めていて、改正法成立後は一定規模以上の国立大を「特定国立大学法人」に指定、運営方針会議設置を義務付ける。東北大に加え東京大、名古屋大と岐阜大を運営する東海国立大学機構、京都大、大阪大の5法人が対象になる予定で、他の国立大も必要に応じて設置できる。

文科省は現在開会中の臨時国会に法案を提出し、令和6年10月の施行を目指す。改正案には、東京工業大と東京医科歯科大を統合して同年10月1日に「東京科学大」とすることも盛り込んだ。

大規模国立大に運営方針会議…改正案を閣議決定
 政府は2023年10月31日、「国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。事業規模が大きい国立大学法人に運営方針会議の設置などを義務付ける。改正案では、東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し、新大学「東京科学大学」となることも決めた。
教育行政 文部科学省2023.11.1 Wed 15:20

 政府は2023年10月31日、「国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。事業規模が大きい国立大学法人に運営方針会議の設置などを義務付ける。改正案では、東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し、新大学「東京科学大学」となることも決めた。

 国立大学法人法の一部を改正する法律案では、国立大学法人の管理運営の改善や教育研究体制の整備・充実を図るため、事業規模が特に大きい国立大学法人に運営方針会議の設置、中期計画の決定方法の特例の創設、資金調達方法の対象拡大、資産管理方法の弾力化を講じる。

 運営方針会議は、決議した内容に基づいて運営が行われていない場合に学長へ改善措置を要求することができ、運営方針委員3人以上と学長で組織。学長選考の基準や選考事項について、学長選考・監察会議に意見を述べることができる。運営方針委員は、学長選考・監察会議との協議を経て、文部科学大臣の承認を得たうえで学長が任命する。

 改正案要綱にはこのほか、「国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人東京工業大学を統合し、国立大学法人東京科学大学とすること」と明記されている。

 両大学は、2022年8月に統合へ向けた協議を開始し、10月に1法人1大学に移行する基本合意書を締結。新大学の名称を公募し、2023年1月には大学名称を「東京科学大学(英語表記:Institute of Science Tokyo)」、略称を「科学大」とすることを発表している。

☆法案の理解を深めるために、反対署名の記事を引用していますが、草食動物が賛同するものではありません。法案の賛否はそれぞれの有権者の判断です。

大学の自治に死刑を宣告する国立大学法人法「改正」案の廃案を求めます ―「稼げる大学」への変質を求める大学政策の根本的転換を!
開始日
2023年10月31日
署名の宛先
岸田文雄殿 (内閣総理大臣)と2人の別の宛先

この署名で変えたいこと

署名の発信者
「稼げる大学」法の廃止を求める 大学横断ネットワーク
大学の自治に死刑を宣告する国立大学法人法「改正」案の廃案を求めます
 ―「稼げる大学」への変質を求める大学政策の根本的転換を!

 日本における「大学の自治」はいまや瀕死の状態です。この11月に臨時国会にかけられる国立大学法人法の改正案(詳細は後半の【法案解説】をご参照ください)が、この瀕死の「自治」に最後のトドメをさそうとしています。わたしたちは、この法案の廃案を求めるとともに、国の大学政策を「選択と集中」から「大学で学び研究する権利の保障」へと抜本的に転換することを求めます。

【法案の背景】

国立大学の「失われた20年」

 今年は国立大学を法人化する法律が制定されてから20年目にあたります。大学の自律性を高めるための「改革」なのだという表向きの説明とは裏腹に、法人化後、国立大学の自治と自律性は段階を踏みながら破壊されてきました。

 第1段階として、国は、大学運営にかかわる基盤的経費(運営費交付金)を10年近くかけて1割以上カットしました。第2段階として、国立大学のトップである学長の選考について、政財界の意向が及びやすい仕組みをつくりました。第3段階として、「選択と集中」の名の下に国が一方的に定める評価指標の達成度に応じて、基盤的経費を増減することにしました。多くの学長は、予算を少しでも増やすために文科省の意向を忖度するようになりました。第4段階として、大学が株式市場やベンチャー企業に投資することを奨励する一方、企業から投資を受けて「稼げる大学」に変身することを求めました。

 この20年間をふり返ってみると、政財界のねらいは、つまるところバブル崩壊後の産業界の国際競争力を立て直すために大学を「活用」することにあったといえます。経済がクローバル化する中で、多国籍化した企業にビジネスチャンスを与えることが重視されてきました。たとえば2017年には国立大学法人に土地の貸し付けを認める通知がなされ、今回の改正案ではさらに、これまで文科大臣の認可が必要であった貸し付けを届け出により可能にすると規定しています。土地の貸し付けによって国立大学法人が利益をあげ、これを利用した企業がその「有効利用」によって利潤をあげるという点ではウィンーウィンの関係もありうることでしょう。ですが、そこでは学生にとって、運動場や寄宿舎、学生食堂、保健管理センターなどのキャンパス空間が、どれほどに重要なのかは無視されます。学生たちがリーズナブルで安全安心な生活をおくれることを優先していたら、「稼げない」からです。

 土地の貸し付けに限られたことではありません。大学を「稼げる大学」に変えようとする力は、学生は授業料の額に応じてサービスを受けるべきカスタマー(顧客)、教職員はコストカットに協力すべき従業員へと変質させてきました。大多数の国立大学で学長を投票により選出する権利が剥奪されたことは、その象徴です。今回の改正案は、「運営方針会議」なる合議体を設置して、大学の運営・研究・教育にかかわる方針(中期目標・中期計画)や資源配分のあり方(予算・決算)を決定する権限を与えると定めています。しかも、「運営方針会議」の委員の任命にあたっては文科大臣の「承認」を必要とするとしています。

 この法改正は、学生や教職員と、文科大臣の意向に忠実に「経営判断」をおこなう少数者(運営方針会議委員、学長、学長選考・監察会議委員)を決定的に分離した上で、学生や教職員の意見を無視ないし否定できる制度を完成させようとするものであり、「大学の自治」への死刑宣告にも等しい内容です。
(略)
【法案解説】

 政府は、10月20日に招集した臨時国会において、「国立大学法人法の一部を改正する法律案」を提出した。

 この法案によりつくられる体制は、政府が「運営方針会議」と称する新たな合議体を通じて学長=大学を支配するというものである。新しいガバナンスの体制は、もともと国際卓越研究大学に限定して立案されてきたにもかかわらず、一定規模以上の国立大学法人には無条件で導入を求めるほか、他の国立大学法人も選択的に実施できるようにする、としている。さらに将来的には一定規模以上の公立大学・私立大学に対しても定款の改定により同様の体制構築を求める姿勢を明らかにしている。

 大学のガバナンスのあり方は本来、学術の中心としての大学の役割に即して検討すべきことがらである。ところが、法案は、国際卓越研究大学の認定基準を根拠にして国立大学法人法を改正し、さらに、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)が推進してきた「稼げる大学」の体制を全大学に及ぼそうとするものとなっている。こうした法案の策定の経緯は本末転倒したものであり、法案策定の前提となる立法事実も不明といわなければならない。

 このように、「国立大学法人法の一部を改正する法律案」は、内容・手続きの両面に関して重大な瑕疵がある。わたしたちは法案に反対し、徹底審議の上、廃案にすることを求める。
運営方針会議による学長=大学の支配

 この法案は、国立大学法人に新たに「運営方針会議」を設け、以下三つの権限を持たせている。①中期目標・中期計画及び予算・決算に関する事項(運営方針事項)の決議・決定、②決議した内容に基づいて運営が行われていない場合に学長へ改善措置を要求できる、③学長選考の基準その他の学長の選考に関する事項について、学長選考・監察会議に意見を述べることができる。

 現行の国立大学法人法においては、中期目標についての意見に関する事項、予算の作成及び執行並びに決算に関する事項は、役員会の議を経て学長が決定することとされている(国立大学法人法11条3項1号、同3号)、さらに、中期目標についての意見に関する事項、中期計画に関する事項は、経営協議会(経営に関する部分に限る)ならびに教育研究評議会の審議事項とされている。

 このように、国立大学法人法が中期目標・中期計画に関して、大学の研究・教育組織の代表者らにより構成される教育研究評議会等による審議を経て決定することとしているのは、文部科学大臣が有する中期目標の決定権、中期計画の認可権が研究・教育のあり方を枠づけるなど、大学の「学問の自由」を侵害することのないようにするための措置である。これらの措置により「学問の自由」が十分に擁護されたといえるかは検証しなければならないが、制度の趣旨は正しいものであり、政府・国立大学法人にはこの趣旨に則した運用の努力を続けるべきである。

 改正により、教育研究評議会による中期目標・中期計画に関する審議権はなお存続するものの、運営方針会議の決定によりくつがえされる可能性がある。さらに、運営方針会議が学長に対する改善要求権、および実質的な解任権を持つことから、学長は大学の組織運営に関して、学内の組織よりも運営方針会議の意向を優先しなければならなくなる。運営方針会議が学内において審議されてきたものとまったく対立する方針を決議しても、学長は決議の方に従わなければならない事態が生じる。それは学内の構成員が、今後の大学のあり方や大学内部の資源配分について発言する権限を実質的に奪われるということでもある。

委員の任命を通した政府による支配

 この法案では、運営方針委員は、学長選考・監察会議との協議を経て、文部科学大臣の承認を得た上で、学長が任命・解任することとされている。運営方針委員の任命・解任プロセスへの学内者の関与は、「選考」ではなく「協議」という間接的なものにとどめられた。文部科学大臣の承認は「特定国立大学法人の申出に基づく」、すなわち法的に拘束されることになるが、日本学術会議の会員任命拒否事件のように、政府が無法な拒否権を行使するのではないかという懸念は払拭されていない。

 現行の国立大学法人法において、学長は学長選考・監察会議の選考結果に基づき文部科学大臣が任命することとされている。これは、大臣の任命権を形式化することにより大学の自治を保障する趣旨であるとされる。同様の趣旨から、CSTIの「世界と伍する研究大学の在り方について 最終まとめ」(2022年2月1日)では、合議体のメンバーについても、法人内の組織が選考し文部科学大臣が任命することが適当としていた(「合議体の構成員は学内外同数の者による選考組織において行い、合議体の構成員の相当程度(例えば過半数、半数以上等)は学外者とすることが適当。」)。

 ところが、改正法案では、運営方針委員の人選は制度上も政府の意向を意識せざるを得ないものとなっている。政府の意向が運営方針会議の決定に反映することは避けられない。これまで政府は財政的誘導を通じて大学を統制してきたが、いまや承認人事を通じて直接的な支配に乗りだそうとしているといえる。

「稼げる大学」体制の拡大

 この法案は、①理事7人以上の国立大学法人のうち事業の規模が特に大きいものとして政令で指定するもの(「特定国立大学法人」)は運営方針会議を必置とする。それとともに、②特定国立大学法人以外の国立大学法人は、文部科学大臣の承認を受けて、運営方針会議を設置することができるとしている。政府が国際卓越研究大学として認定する方向で準備を進めている東北大学だけでなく、他の複数の国立大学法人(9月7日のCSTI「有識者議員懇談会」において、文部科学省国立大学法人支援課長は「5校」と述べている)にも運営方針会議を置くというのである。さらに、「特定国立大学法人」以外の大学も運営方針会議を選択的に置くことができるようになる。

 法案はまた、長期借入金や債券発行できる費用の範囲、土地等の第三者への貸付けに関しても、制度改正を行い、対象事業の拡大や実施要件の緩和をおこなっている。これらのうち、土地等の貸付けに関する改正(あらかじめ文部科学大臣の認可を受けた貸付計画に基づいて土地等の貸付けをおこなう場合にあっては、現行制度上個別の貸付けごとに必要となる文部科学大臣の認可を要せず、届出によっておこなうことができることを可能とする)は、CSTI「最終まとめ」では、国際卓越研究大学を実施可能とするために必要とされていた事項であった。

 ガバナンス改革についても同様である。「国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード)における審査の状況について」(9月1日公表)では、合議体(東北大学総合戦略会議)を設置し、学長の選任や重要事項の決定をおこなうことにするなど、卓越大が備えるべきガバナンス体制をなぞる形での構想を示した東北大学を最終候補とする一方、落選した大学に対しては共通して、全学規模での改革の断行を求めている。この有識者会議の審査も、あくまで国際卓越研究大学の認定に関するものである。

 にもかかわらず、法案は、CSTIが国際卓越研究大学=「稼げる大学」の体制整備のために求めていた事項を国際卓越研究大学とかかわりなく国立大学法人全体に及ぼすものとなっている。国際卓越研究大学=「稼げる大学」の体制自体、大きな問題をはらむものであるが、法案はこの体制を国立大学法人全体に拡大し、さらに将来的に公立大学・私立大学にまで拡大することを見すえたものである。断じて容認することはできない。

以上

運営方針会議設置など国立大学法人法の改正案 国会で審議入り
2023年11月7日 19時32分

運営方針会議設置など国立大学法人法の改正案 国会で審議入り
大規模な国立大学法人に学長と3人以上の委員でつくる「運営方針会議」の設置を義務づけ、中期計画や予算・決算を決定する権限を与えることなどを盛りこんだ国立大学法人法の改正案が、国会で審議入りしました。
政府は世界トップレベルの研究成果が期待される大学を「国際卓越研究大学」として認定し、来年度から10兆円規模の基金を活用して重点的に支援することにしています。

これに関連して、事業規模の大きい国立大学法人について、管理運営や研究体制の充実を図るための国立大学法人法の改正案が、7日の衆議院本会議で審議入りしました。

それによりますと、国立大学法人のうち、学生や教職員の数、収入・支出の額などが特に大きい法人を「特定国立大学法人」に指定し「運営方針会議」の設置を義務づけるとしています。

「運営方針会議」は学長のほか、3人以上の委員で構成され、中期計画や予算・決算を決定し、その内容に基づいて運営が行われていない場合は学長に改善を求めることができるとしています。

一方、改正案には、東京工業大学と東京医科歯科大学を統合して、来年10月1日に「東京科学大学」を発足させることも盛り込まれています。

7日の質疑で
▽立憲民主党の菊田真紀子氏は「運営方針会議の委員は文部科学大臣の承認を得たうえで学長が任命するとされている。これでは時の政権と主義主張が異なる人物は文部科学大臣が承認しないのではないか」と指摘しました。

これに対し
▽盛山文部科学大臣は「明らかに不適切と客観的に認められる場合などを除き、承認を拒否することはできないという趣旨を明らかにするため、承認は特定国立大学法人の申し出に基づいて行うものとする」と述べました。

学問の自由脅かす…国立大法改正案に反対集会 15日委員会採決か

2023/11/14 17:36

 強力な権限を持つ合議体の設置を大規模国立大に義務付ける国立大学法人法改正案に反対する大学教員らは14日、東京都千代田区の衆院議員会館で集会を開いた。野党国会議員を含む約100人が参加し、「大学の自主性を脅かす」「権力から自由であるのが学問だ」などと廃案を求めた。改正案は同日、衆院文部科学委員会で参考人招致があり、15日にも採決される可能性がある。

 政府が今国会で成立を目指す改正案は、学生数や収入などが一定規模以上の国立大を「特定国立大学法人」と定め、新たに合議体「運営方針会議」の設置を義務付ける。運営方針会議は大学の中期計画や予算・決算を決議する権限を持つ他、学長に運営改善を要求したり、学長の選考・解任に関して意見を述べたりすることができる。

 運営方針会議は学長と3人以上の委員で構成する。委員には学外者の参加も想定され、文部科学相の承認を経て学長が任命する。当面は、東北大▽東京大▽京都大▽大阪大▽名古屋大と岐阜大を運営する東海国立大学機構――の5法人が対象となる見込み。

 集会で登壇した大学教員らは「改正案が通ってしまったら、文科相による学長の任命拒否や運営方針会議委員の承認拒否など『第二の(日本)学術会議問題』が次々と起こるだろう。火を消し止めるなら今だ」と強い懸念を表明した。

 合議体の義務付け対象は当初、国の大学ファンドで支援する「国際卓越研究大学」のガバナンス(組織統治)強化の目的で政府内で議論されていたが、突然対象が広がった経緯がある。集会に参加したれいわ新選組の舩後靖彦氏は「だましうちだ」と指摘。立憲民主党の柚木道義氏は「恣意(しい)的に運用されて自由な研究・教育が脅かされる」と廃案を訴えた。【松本光樹】

社説

国立大法人法の改正案 現場の声踏まえ再検討を
注目の連載
2023/11/15 東京朝刊

 現場の理解を得ないまま、組織のあり方を大きく変えるのは無理がある。政府が国会に提出した国立大学法人法改正案に教職員らが反発している。

 規模の大きい大学を「特定国立大学法人」と位置付け、新たに「運営方針会議」の設置を義務付ける。現在は役員会の審議を経て学長が方針を決めている中期計画や予算・決算をこの会議が決議する。学長選考に関しても意見できるなど、強い権限を持つ。

 学長と3人以上の委員で構成する合議体で、経営の専門家など学外者の参加が想定されている。文部科学相の承認を得た上で学長が委員を任命する。

 外部の知見を取り入れ、大学のガバナンス(組織統治)機能を強化するのが狙いだという。

 しかし、教職員らは、政財界の意向が教育研究の領域を含めて大学運営に影響を及ぼすことを懸念する。東京都内できのう開かれた反対集会で、東京大の本田由紀教授は「大学の自主性、自律性の尊重を定めた教育基本法に抵触する」と批判した。

 盛山正仁文科相は委員の承認について、国会の答弁で「明らかに不適切と客観的に認められる場合などを除き、拒否はできない」と説明した。だが、日本学術会議の場合も、首相による会員の任命は形式的とされていたはずなのに、6人が拒否された。

 合議体の設置は元々、10兆円規模の大学ファンドから助成を受ける「国際卓越研究大」が対象に想定されていた。他の大学への適用拡大は、多くの教職員らにとって「寝耳に水」だった。

 2004年の法人化以降、国立大への運営費交付金は段階的に減らされた上、政府の評価指標に基づいて傾斜配分される枠が拡大された。経営陣が政府の意向をそんたくする傾向が顕著となり、現場への締め付けが強まった。

 大学組織が閉塞(へいそく)的にならないよう、外部の意見を聞くことは大事だ。だが、法人化後の経緯を踏まえれば、今回の動きが政府の新たな介入を招くと警戒されるのは当然だろう。

 現場をないがしろにして、大学の研究力や教育力を高めることはできない。本当に必要な法改正なのか、一から再検討すべきだ。