猫色の日々7~面会

家族全員が眠りの浅い一夜を過ごした

シューは静かな猫なので
今朝はとても静かで
顔面パンチをもらうこともなく
ぐっすり眠れた
二度寝、三度寝までした

いいんだか悪いんだか

誰にも邪魔されず、朝ごはんを食べる
エルは誰かがキッチンに立つと
何か出てくると思うようで
いつもキッチンでアピールする


普段はと思うと、気持ちが「ないもの」に
フォーカスされて堪らない
なるべく考えないようにするが
指定席にいない猫を思うと
目頭がジュワッとなる

テレビをつけて
いつも通りにボーッとMLBを観ながら
朝ごはん

昨日のワールドシリーズの
ドジャース、フリーマン選手の
逆転満塁サヨナラホームランを見る
歓喜に湧くスタジアム
最高の見せ場で最高のパフォーマンス
あの小さな玉を細い棒に当てるのも
すごいと思うのに
ホームラン打てたら爽快だろうな


今日は山本由伸投手が先発だとか
昨年までのオリックス優勝の立役者
上々のすべり出し、らしい
オータニ選手もすごいけど
野球選手はオータニ選手だけではない
活躍してくれるのは嬉しい

黙々と食べて
国民の義務を果たしたのち
面会に行った

面会に行ったのは、オットと私

いつもとは違うドアから案内されると
手術室の隣の部屋にコインロッカーのように
小さなケージが積み上がっていた
その一番手前の中断に、エルはいた

エルは昨夜からの点滴が
そろそろ終わるとのことだった

青いエリザベスカラーをしたエルは
いつもの警戒モードでケージのすみっこに
ちんまりといて
黒目が丸々とかわいらしかった

排尿があり、食事もそこそこしたそうで
先生も少しほっとしているようだった
あとは腎臓のスコアなのだが
こればかりは測らないと分からないので
検査は明日、退院前に、ということになった

先生の許可を得て、エルに触った
エルの前では泣かないと決めていたけれど
いつもの滑らかな毛に触れたら
涙が出てしまった

ご飯を食べられたことを褒めて
明日おうちに帰ろうね、と声をかけた

今後については明日の
血液検査次第なのだが
ドクターの口ぶりと
エルとの24時間ぶりの再会に
昨日から落ちこんでいた
オットもホッとしたようだった

エルのいないうちに、と
お昼は回転寿司を食べて
夕飯には秋刀魚を焼いた

どうなるかわからない
何ができるか分からない
でも
あの子は帰ってくるんだ

全ては明日

シューのおしり