見出し画像

地方自動車学校を救う!BtoCマーケティング成功の法則

イントロダクション

地方の自動車学校は、人口減少や競争激化の中で厳しい経営環境に置かれています。私自身も自動車学校の経営者としては厳しい経営環境の中で四苦八苦しています。しかし、様々な取組をしているなかで、的確なマーケティング戦略を実行することで、まだまだ地方の自動車学校も、成長する可能性が十分にあるということも感じています。といいますのも、一応、自動車学校の経営者に就任して以来、それなりに売上を伸ばすことができているからです。
私は2つの自動車学校を経営しています。1つは、過疎地で右肩下がりだった入校生数を、代表取締役就任から5年程度で30%増加させました。もう1つは、破綻していた自動車学校を買収し、3年ほどで、売上を買収時から2倍以上に伸ばすことに成功しました。
これらの自動車学校で、マーケティングの形が徐々にできつつあるので、成功のエッセンスとして他社での活用できる部分は、新しく設立した株式会社リ・クリエにてソリューションとして展開する準備を進めています。
この記事では、リ・クリエのソリューションと関連して自動車学校マーケティングのとても基本的なところを少し解説していきます。


1. 自動車学校の販促あるある

正直言って、自動車学校のマーケティングはとても特殊で、業界を熟知している人も少なく、様々な落とし穴に落ちがちです。自動車学校がやりがちなマーケティングあるあるをまずはいくつか紹介します。

パターン1:値下げ競争に頼りがち
基本的に法律に定められた内容を提供する自動車学校は、差別化が難しいので、価格だけで勝負をやりがちです。酷い場合、地方においては需要がピークとなる12月にも関わらず、値下げ競争を行っています。1社が値下げを仕掛けると他社も対抗策を打つので、業界そのものの価格が落ちてしまい、今日のようなインフレ環境下でも価格を上げることができなくなってしまいます。(私も破綻した自動車学校を立て直す際のは一時的な劇薬と思ってやってみましたが、競争環境が厳しくなって現在も苦労をしています。)
本来、繁忙期は価格を上げられる機会であるにも関わらず、このような状況に陥るのは、消費者や見込み客のニーズを十分に理解していないまま施策を打っていることに起因する場合が多くあります。競争環境下で値下げへの対抗策を打たざる得ない場合もありますが、そうであれば、値引きと合わせてニーズを反映した付加価値商品を企画するなどの工夫もして、値下げスパイラルから抜ける努力も必要でしょう。
消費者や見込み客が求めるのは単なる「安さ」だけではありません。たとえば、親(顧客)は「安心感」や「お得感」を重視する一方、教習生(ユーザー)は「快適さ」や「楽しさ」、教習の質を重視します。これらの視点を欠いた商品企画では、価格競争から抜け出せないのは当然と言えるでしょう。

パターン2:商品開発や品質改善をせず、広告だけ打っている
商品の中身や教習の品質に手を加えず、広告を増やすことで解決しようとする例も少なくありません。たとえば、口コミで「教習が雑」と指摘されているにも関わらず、問題を放置して広告を増やし、見込み客を集めるという施策が取られることがあります。
これは一時的に見込み客や顧客を増やすことはできても、ユーザーである教習生の体験が悪ければ評判が悪化し、長期的にはリピーターや口コミによる紹介が減少する結果を招きます。マーケティングは広告だけでなく、商品の価値を高める努力とセットで行うことが重要です。

パターン3:広告がカン頼り
広告活動がすべて担当者の「勘」や「経験」に頼りにしている、というよりも何も考えずに打たれているケースもよくあります。単純にはやりに乗っかるだけのケースもあるでしょう。たとえば、チラシや広告の使いまわしや、広告代理店に丸投げにしているだけだったり、発信する媒体も行き当たりばったりにしていたり。これでは広告にお金をかけても期待通りの成果がでる可能性は低く、効果があったとしても再現性はないでしょう。
こうした手法では、消費者や見込み客にアプローチする効果が不明確であり、改善点を特定することが難しく、広告活動のコストパフォーマンスが下がります。

2. マーケティングの基礎にある3つの重要ポイント

前述のあるあるに当てはまっている場合、あなたの自動車学校は重要な視点が欠落している可能性があります。そこでB to Cマーケティングに欠かせない基本的な視点を次に説明します。

① ユーザー視点(体験がすべての基盤)
自動車学校のユーザーは教習生そのものです。ユーザー体験を磨くことが、自動車学校のマーケティングの最も重要な基盤となります。サービス内容に大差がない中で、ユーザー体験の良し悪しが口コミや評価に大きく影響し、それが広がることで次の見込み客獲得ににつながります。この見込み客は時期によっては、一定のボリュームが規定できる上に、非常に高いCV率が期待できます。
ユーザー体験を向上させるための特効薬はありません。日々の教習の質やスタッフの対応力を磨くといった基本的な取り組みが不可欠です。この領域は経営者が最も関心を持ち、継続的に注力しなければならない部分です。

② 顧客・見込み客の視点(顧客ニーズの把握)
顧客とは、実際に商品・サービスの利用を決定し購入をする人です。自動車学校の場合、教習生本人である場合もあれば、高校生の場合は親のケースも多くあります。時には企業から派遣されるケースもあります。そして、それぞれの顧客層が求めるニーズは異なります。
教習生本人が顧客となっている場合、体験だけでなくアルバイトのスケジュールの折り合いや価格との折り合いが重要なケースが多いものの、中には親にお金だしてもらうから金額は気にしていないが、キャッシュバックの特典は気になるといった現金な人もいるでしょう。
顧客が親の場合は、金額を気にするケースも一定数ありますが、就職や進学のスケジュールに間に合うかを本人以上に気にかけられている場合もあります。
一方、企業の場合でも価格を気にされる場合もありますが、事業のスケジュールと一致するのか、企業の信頼に傷がつかないようにしっかり教育してもらえるかを気にする場合もあるでしょう。
これらのニーズを的確に把握して、それに応じた提案を行うことが、見込み客からのCV率向上の鍵となります。個別のニーズを深く理解し、具体的な価値提案ができる学校が選ばれる傾向があります。

③ 消費者の視点(認知獲得)
見込み客をしっかり集めるためには、まず消費者(マス)に自校の存在を知ってもらう必要があります。消費者は自動車学校と距離があり、興味関心を持つきっかけがなければコンタクトを取ることすらありません。この興味関心を持つきっかけの役割を果たすのが広告です。
広告で重要なことは、どの様なターゲット層に対してどのような認知を作り、どう反応してもらうかをしっかり設計したメッセージ作りです。このメッセージは、自社商品やブランドイメージと一致したメッセージをマーケットに届けることも重要です。例えば、地域で安心感のある学校というブランドイメージを持つなら、その信頼性を前面に出す広告を作るべきです。
発信のやり方や内容が見込み客数に直結するため、戦略的なコミュニケーションが求められます。

3. 戦略的な広告宣伝活動

私の印象では、自動車学校の広告には戦略性がない場合が多いと感じています。広告はマーケティング活動で最も重要なものであるにもかかわらず、深い考えなしになっている場合も多くあります。そうした場合、高価な広告宣伝費が無駄になってしまいます。こういったことを防ぐためのコツを次に紹介していきます。

データに基づく判断の重要性
消費者(マス)や見込み客(具体的にコンタクトが取れている層)を理解するには、データに基づいた判断が欠かせません。広告のクリック率や反応、顧客アンケート結果、入校時のヒアリング情報などを収集し、ターゲットの関心や行動を具体的に把握することが出発点です。

デジタルマーケティングの活用
データを効果的に集める手段の1つがデジタルマーケティングです。Google広告やSNS広告では、どのターゲット層がクリックしているのか、どの内容に反応が良いのかといった詳細なデータを取得できます。これにより、消費者(マス)の認知拡大、見込み客への具体的なアプローチが可能になります。

アジャイルアプローチの導入
データを活用して効果的に消費者ニーズに対応するためには、「アジャイルアプローチ」を取り入れることが有効です。アジャイルとは「素早い」「柔軟な」という意味で、計画を固めすぎず、小さな単位で実行と改善を繰り返す方法論です。
たとえば、新しい商品企画をテスト的にリリースし、その反応を見て改善する。こうしたサイクルを迅速に繰り返すことで、消費者の声をダイレクトに商品や広告に反映させることができます。

仮説思考によるアジャイルアプローチの加速
アジャイルアプローチを成功させるには、「仮説思考」が必要です。なぜなら、データが重要といっても、必要なデータがすべて揃うことは現実的ではありません。すべてを揃えようとすると時間がかかり、機会を逃すリスクもあります。
そのため、仮説を基に動き出し、結果を検証することで、動きながら新たなデータを得るというプロセスが重要になります。この方法は、特に自動車学校のように季節変動が大きい業界では効果的です。短い繁忙期の間に仮説検証を繰り返し、施策を改善していくことで、迅速な対応が可能になります。

4. 商品企画があってこその広告宣伝

広告や宣伝活動は、商品企画がしっかり設計されて初めて効果を発揮します。自動車学校のマーケティングにおいても、広告は単なる「露出」や「話題作り」で終わるのではなく、具体的な商品企画を顧客や見込み客に伝える手段であることを意識する必要があります。
商品企画は、顧客やユーザーのニーズを的確に捉え、それを満たす形でサービスやプランを設計するプロセスです。一方で、広告はその商品企画の魅力を適切に伝え、ターゲット層に「これなら選びたい」と思わせるための活動です。この両者がしっかり連動していなければ、広告は効果を発揮せず、商品自体もターゲットに「伝わらない」という結果に陥ります。
広告は、商品企画という「中身」を魅力的に見せるための「包装」に過ぎません。どれだけ美しい包装を施しても、中身が伴わなければ、顧客を引きつけ続けることはできません。一方で、魅力的な商品企画がしっかりしていれば、広告はその価値を正確に伝えるだけで十分な効果を発揮します。
自動車学校のマーケティングでは、広告予算を増やす前に、自校のサービスやプランを根本から見直すことが成功への第一歩です。商品企画を広告の土台として捉え、その精度を高めることで、マーケティング全体の成果を大きく向上させることができるでしょう。

5. ブランドイメージが広告効果を高める

広告活動を成功させるには、ブランドイメージが一貫しており、顧客やユーザーから信頼されるものであることが不可欠です。どれほど優れた広告を制作しても、そのメッセージがブランドイメージと矛盾していれば、ターゲット層には響きません。

ブランドイメージとは
ブランドイメージとは、顧客やユーザーがその企業やサービスに対して抱く「一貫した印象」のことです。自動車学校の場合、「安心して任せられる」「丁寧な指導」「コストパフォーマンスが良い」といった要素がブランドイメージを構成します。これらの印象は、広告や口コミ、実際のサービス体験を通じて徐々に形成されていきます。
ブランドイメージが強固であれば、広告のメッセージも信頼されやすくなり、効果が高まります。一方で、ブランドイメージが曖昧だったり、矛盾がある場合、広告のメッセージはターゲット層に響きにくくなります。

顧客との「約束」を守ることが信頼につながる
広告やブランドメッセージは、顧客に対する「約束」です。たとえば、「短期間で免許を取れる」「手厚いサポートが受けられる」といったメッセージを広告で発信する場合、実際のサービスがその期待を裏切らないものである必要があります。
もしこの約束が守られなければ、顧客は失望し、ブランドへの信頼が損なわれる可能性があります。それだけでなく、口コミやレビューを通じてネガティブな評価が広がるリスクもあります。そのため、広告で訴求する内容と、実際に提供するユーザー体験を一致させる努力が不可欠です。

一貫性が生む信頼感
マーケットへのメッセージが一貫していることも重要です。広告やSNS投稿、ウェブサイトのデザイン、スタッフの対応といった顧客接点すべてで、同じ価値観やスタイルを伝えることで、「ブレない」印象を与えられます。
たとえば、「アットホームな雰囲気」をブランドイメージとして掲げる場合、広告では親しみやすさを強調し、教習所ではスタッフが丁寧で親切な対応を行うことが求められます。このような一貫性が、顧客やユーザーに強い信頼感を生み出します。

矛盾が生むダメージ
一方で、広告メッセージが現実と矛盾している場合、ブランドイメージに深刻なダメージを与えます。たとえば、「最短で免許取得可能」と広告で伝えているのに、予約が取りにくく教習がスムーズに進まない場合や、「安心して任せられる」と訴求しているのに、教習の質が低いと感じさせる体験を提供してしまう場合です。こうしたギャップは、ブランド全体の信頼性を損ない、長期的な集客に悪影響を与えます。

整合性を確認することの重要性
広告メッセージは、ユーザー体験や顧客が受ける印象と矛盾しないことが大切です。そのため、広告制作の段階で、サービス内容や提供プロセスとの整合性を十分に確認する必要があります。これにより、顧客が期待する体験を確実に提供し、ブランドへの信頼を高めることができます。

6. テレビ広告と共同マーケティングの可能性

SNSやデジタルマーケティングが普及した現代においても、消費者向けのマーケティング媒体として依然として最強なのは「テレビ」です。私たちの顧客アンケートの結果でも、最もリーチが多く取れているのはローカル局のテレビCMでした。特に地方では、テレビの影響力が依然として大きく、多くの視聴者に訴求できる媒体としての価値は非常に高いといえます。
しかし、テレビを使ったマスマーケティングには大きなコストが伴います。そのため、地方の自動車学校が単独でマスマーケティングを実施するのは現実的に難しい場合が多いでしょう。
そこで、株式会社リ・クリエ では、複数の企業が協力して広告費を分担する「共同マーケティング」の仕組みをソリューションとして提供できないか検討しています。この仕組みを活用することで、個々の学校では難しかったテレビやラジオといったマス広告も実現可能になります。
例えば、地域内の複数の自動車学校が連携し、共通のテーマやメッセージで広告を作成すれば、広告費を削減できるだけでなく、地域全体の知名度や信頼感を高めることが期待できます。こうした取り組みは、単独では困難だった広範囲な認知拡大を可能にし、地域全体の競争力を高める新しい道を切り開くでしょう。


まとめ

自動車学校のマーケティングでは、ユーザー体験の向上顧客ニーズの的確な把握、そして消費者への戦略的な発信が基盤となります。それぞれのターゲット層に応じた施策を展開することで、成果を最大化することができます。
さらに、マーケティングの精度を高めるには、データに基づいた判断アジャイルアプローチの活用が不可欠です。迅速に仮説を立て、検証し、改善を繰り返すことで、競争力を高めることが可能になります。
また、地域で広範な認知を得るためには、テレビやラジオなどのマスマーケティングにも挑戦する必要があります。これを実現するには、共同マーケティングという発想が効果的です。複数の自動車学校が連携することで、個々では実現が難しい規模の広告展開を可能にし、地方の自動車学校が持続可能な成長を遂げる新しい道を切り開くことができるでしょう。
ぜひ、本記事を参考に、自校のマーケティング力を強化し、新たな成功をつかんでください。

私が設立した 株式会社リ・クリエ では、これまで取り組んだマーケティング活動の中で他社展開が可能な成功事例を、ソリューションとしてパッケージ化する準備を進めています。これらの取組の詳細や最新情報は、随時 リ・クリエのX(旧Twitter)アカウント にて発信しております。ぜひフォローして、最新の情報をチェックしてください!
▶ リ・クリエのXアカウント:
https://x.com/recrea_solv


いいなと思ったら応援しよう!