🇮🇳インドの洗礼-19歳バックパッカー童貞が行く!!インド旅の幕開けは詐欺から始まる①
※この記録は2016年夏に敢行したインド旅の回顧録です
はじめに
大学のゼミで海外旅行の魅力を知り、家族を説得して単身インド渡航を決心する筆者。バックパッカー界隈で有名な国は数多くあれど、インドほど日本人バックパッカーに神聖視され、他方で多数の詐欺被害者を出している国もないだろう。
最悪な衛生環境や都市整備が崩壊している排気ガスで充満した空気。牛やジプシー、リキシャーやタクシーが道を塞ぐする道路。加えて、大都市を中心として、外国人をターゲットにした詐欺も横行していると聞いていた。
インド行きの了承を母から得るのは大変だったが、筆者も自分自身を変えたいという強い意志があったので、こちらも一歩も譲らなかった。
最終的には母も「寝るカズキがそこまで言うなら、自分で責任をとって楽しんできなさい」と筆者を後押ししてくれた。
出発前日、何を思ったのか3mm坊主にして、インド行きに向けた決心を固める。
「いよいよ待ちに待ったインドが目の前にある!」と思うと、なかなか寝つけず、寝不足の状態で成田空港に向かったことを、昨日のことのように覚えている。
エアインディアですでにインドを感じる
エアインディアで対応してくれた搭乗員はインド人の小太りのおばさん、ボリウッド俳優ばりのイケメンお兄さんの二人組だった。
乗客の8割が日本人で、何となくバックパッカー風の人もちらほら見かけた。
エアインディアの機内食は本格的なインドカレーとビリヤニが選べ、なんと出来立てホカホカ。
到着前にインドを感じられるような満足度が高い機内食だった。
ちなみに、他にも聖地インドの息吹を感じる部分があった。それが、搭乗員のやる気のないサービス態度だ。
とはいっても全員が全員やる気がないわけではなく、お兄さんは爽やかな笑顔で気持ちの良い対応をしてくれる。問題は小太りのおばさんの方だった。
その当時の僕の英語力が最低だったこともあるだろうが、とにかく不機嫌だった。
こちらが何か言うたびに「よくわからないけど、これでいい?はい(ポイッ)」みたいな感じで飲み物や食べ物を渡してくる。
「インド人のおばさん、嫌いだな〜」と感じながら、自分の何を言っているのかわからない英語のせいかもとも思った。
もっと英語を頑張らないと外国人にナメられるんだなと感じた19歳の夏。
まあ、他の乗客に対してもそんな感じだったので、ただ単に仕事がめんどくさかった説は否定できないが。うん、日本の航空会社勤務であれば速攻クビだろう。
「国営の航空会社で勤めている添乗員のサービスでこのレベルなのだから、現地ではさぞ感動するレベルのサービス?を受けられるのだろう」とワクワクした。
そういえば、ゼミの教授が「エアインディアはシェフが機内食を監修しているから、ウマいぞ〜。とにかくおばさんがウザイけど」と言ってたっけ。
さすが旅のプロフェッショナルである。聞いた話が実際に自分の目の前で繰り広げられているのを見て感動すら覚えた。
西インドの大都市ムンバイに到着する
東京発インド行きの航空券をとるなら、ニューデリー着が圧倒的に安い。その当時で直行便で5万円くらいだったと記憶している。
ただし、ニューデリーはとくに詐欺やスリ、睡眠強盗などの危ない話をゼミの先輩方からしょっちゅう聞いていたので、できれば避けたかった。
経験値ゼロバックパッカーがニューデリーから旅を始めるのは、詐欺師たちに数十万円のお布施をしにわざわざインドを巡礼するようなものだ。
あいにく、敬虔なヒンドゥー教徒でもなければ、熱心な仏教徒でもない筆者は、そんなリスクの高い選択肢を取ることはしなかった。
※あくまで筆者の主観的な意見です笑。
筆者だって、詐欺師たちにお布施しに行くために、ビックカメラで数ヶ月間雑用をして、せっせと旅行資金を貯めた訳じゃないんだから!!
そのため、まずは西インドの大都市であるムンバイ行きの航空券をとった。
南インドに近くなればなるほど、人が優しく、詐欺被害が少ないという算段だった。
しかし、インドはそこまで甘くなかったことをすぐに後悔するのである。
ムンバイ空港で夜を明かす
ムンバイに到着したのは夜中の2時だった。飛行機から降りてターミナルまでの移動バスに乗ると、鼻をつんざくようなインド人の汗とスパイスの香りに気づく。
「おお、あのインドにようやく来たのか!」という感動を覚える。
しかし、同時に表現しようがない恐怖感を抱いたこともたしかだった。
ほぼ初めての海外旅行。インドで1人、夜のインドを乗り越えなければならないという現実。
そのすべてが恐ろしくもあり、また楽しみでもあった。
ただし、夜中に街を出歩く勇気はなかったし、夜中に街を出歩くのはあまり推奨されることでもない。
というのも、リキシャやタクシーの運転手深夜料金でボッタくられたり、犯罪に遭遇したりするリスクが段違いに上がるからだ。
そんなこんなで、空港内で朝まで時間を潰すことにした。
朝になってムンバイ市街までの交通手段を探す
朝7時くらいの起床し、空港から出ようとすると、リキシャやタクシーの運転手が窓ガラスに張り付いて、こちらをじーっとのぞいていることに気づく。
「え、何?こっわ!!!」
これ以上に当時の恐怖を表現する言葉があるだろうか。いやないだろう。
とくに年齢19歳、一人旅童貞、身長186cmのウブな日本人の男の子にとっては、目の前の光景がひたすら恐怖だった。
とりあえず恐怖感がなくなるまで、小一時間ベンチに座っていた。
しかし、いつまで怯えていてもしょうがないので、意を決して空港外に出ると、ここぞとばかりに奴らが群がってくる。
「どこまで行くんだ?
俺なら最短ルートを知ってるぞ!」
「おい兄弟、こっちの方が早いし安いぞ!
乗れ!!」
「ここだけの話。奴らは詐欺師。
俺は君のフレンドだ!来い!!」
情報量が多すぎて吐き気がしてきた。
とりあえず、一番安そうなリキシャーに声をかけて、乗車してみた。
インド人のタクシー運転手、豹変す
リキシャは日本でいうところの人力車で、地元民にとっての手頃な交通手段となっている。
しかし、時代の移り変わりでオートリキシャーにとって変わられつつあるようだった。
2022年の今インドを訪れたら、タクシーが主流になっているかもしれない。。。
近場の橋でタクシーに乗り換えて、そこから目当てのホテルに向かった。
タクシーの車内では色々な話をした。日本についてはあまり知らないらしく、食や文化について聞いてきた。
謎だったのはハワイ人だと間違われたことだが、今考えてもなぜハワイから来たと思われたのかはわからない。
「英語のアクセントがそっちの人っぽいよ?」と言われたが、筆者は今の今までハワイを訪れたことがないので、真偽のほどは定かではない。
こうして、和気あいあいと車内で過ごしていたが、ムンバイ市内に差し掛かると表情が一変して、「これ以上先に行くなら倍の金額を払え」と告げられる。
運転手の急変ぶりにも驚いたが、インドに来たからには詐欺には徹底抗戦する構えでいた筆者は、もちろん「それ以上は払えない」と要求を突っぱねた。
すると「それなら、これ以上は運転できない」と言われ、よくわからないムンバイの街の外れで降ろされた。
いきなり市街で降ろされたので気が動転して、予約していたホテルまでタクシーか徒歩で行こうかと迷った。
しかし、またタクシー運転手と対戦するのも嫌だったので、徒歩でホテルへ向かうことにした。
バックパックを背負った外国人が1人で道を歩いているとかなり浮く。案の定、ホテルやタクシーの勧誘がひっきりなしにやってくる。
その当時の筆者は、「早くホテルで寝たい」という気持ちと「もう少し頑張って騙されずにホテルまで行きたい」という気持ちの狭間で戦っていたが、ついに限界が来て、予約していたホテルではなく、勧誘されたホテルで宿泊することにした。
しかし、このホテルが失敗で、一泊1,500円もする割に、ホットシャワーが出ないわ、WiFiも弱いわで散々だった。
ホテルの人はホットシャワーが出ると言っていたが、あれはインドの外気温でちょっと温かくなっただけの冷水だ。絶対だ!!
そんなこんなでタクシーと宿でトラブルに遭いつつ、ムンバイ滞在初日を終えたのだった。
でも、その時の寝るカズキはまだ知らなかったんだ。インド人詐欺師たちの本気というやつを。。。
Part2に続く
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