今聴きたいNovelCore
#BMSGの2021年はコアが締めます
こんなタグと共にBMSGでの初アルバム、そしてRANをダンサーに起用したTHANKS, ALL MY TEARSが放たれた。
いよいよBMSGの長男が動き出した。
このnoteでは
①NovelCoreを作った過去と今
②HIPHOP的スタンス
③ここのリリックに注目!
④NovelCoreというジャンル
について書いていきます。
読み終わる頃にはNovelCoreの曲が聴きたくなって、音楽との距離が縮まって、このnoteを読んだことがほんのちょっとは一日のプラスになると思います。
それではLet's COre!
いきなり自分語りだけれど、自分は1996年前後からJapaneseHIPHOPを聴くようになって、音源、BEEF(対抗、対立関係)、フリースタイルバトルと、日本国内シーンにおいての7割くらいは追ってこれていると自負している。
(他ジャンルで言い換えると、少年隊〜なにわ男子までの人物、出来事の7割フォローしてる感じ?合ってるのか?この例え)
NovelCoreもご多分に漏れず、世に出始めた頃はチェックしていた。
当時15歳にしてそのスキルは無視できないものがあって、それについては▼こちらの #あの日のNovelCore をご一読ください。
この当時、フリースタイルバトルでここまでのスキルが伴った16歳以下のラッパーをLick-GとNovelCore以外に知らない。
要するに、長年カルチャーに浸って、数々の大会に出場し経験値が多い先輩ラッパーを一目置かせる存在の登場だった。
でも出る杭打たれまくったのだ。
高校生ラップ選手権では優勝候補本命であることで、対策され、それに加えて頭も回る、ラップも上手い、更にビッグマウスだった(ラッパーとしては正常)NovelCoreは、構図としてヒールに位置付けられ始めていたように思う。
よくラッパーは『一度吐いた唾は飲みこまない』と、自分の言葉を、信念を貫くスタンスを口にするんだけれど、心の成長(芯を保つとか、全てを受け止めず受け流すマインドとか)が伴っていなかったこの頃のNovelCoreにはその反動が蓄積され、後のトラウマになっていたのかと推察する。
(…うーん、でもこれも違うかもだし、こういう憶測こそよくないのかな…)
NovelCoreを大雑把にいくつかの時代に分けると
①高校生ラップ選手権時代
②Zeebraの事務所所属時代
③BMSG所属時代
になるかと思う。
正直言うと①の後半から③の前半までNovelCoreを追っていなかった。このポッカリと空いている期間を今になってふり返って、『今からでも遅くない』『今だから聴きたい』と思わされた。
自分は好きなものの幅は広いほうだと思う。
まず見た目だけで言っても、タトゥーバチバチで年少の独房を経験したラッパーや、慶應を卒業して紅白にも出場するラッパーまで愛聴している。
あえて『見た目』と言ったけど、さらに大切なのは数多くいるラッパー一人ひとりのバックボーンや生き様、信念や、誇っていることがぶっ刺さるのだ。
後述するけど『自分が自分でいること』をとても大切にしているカルチャーに魅せられている。
これはひとえに悪いわけじゃなくて、しょうがなくて、『YoYo言ってる』『感謝伝えがち』『悪そう』というステレオタイプな理由で、HIPHOPを聞いていない、向き合っていないという人は、SKY-HIが客演参加したりコラボしているラッパーを入り口に数珠繋ぎで、よければ知ってもらいたい。
最近HIPHOP愛、BMSGへの愛の展開で有名なタワレコ吉祥寺店の担当ハマーさんによる、NovelCoreについてのフリーペーパーがすごい刺さって、共感した。
特に冒頭のZORNの言葉を挙げての、ラッパーやアーティストそれぞれのアイデンティティ、在り方について。
2枚目の盲目的に全てを好きになるわけではなく、『かっこいいラッパーかどうか』で応援するかどうかというところ。このスタンスに大共感した。
HIPHOP村って良くも悪くも『マジHIPHOPだよな』と、他と区別して誇る側面と、『あれはHIPHOPじゃねぇ』と区別して排他する側面とがある。こうした議論はよく考えさせられる。
個人的には、世の中で騒がれていても自分に引っかからなかったら自分のその時の気持ちには忖度ないし、その逆で『こんなにヤバいのに評価されてないな』と思う場面もある。
でも、出会いと感性の変化にはリテラシーとかタイミングとかいろんなことが関わっているから深い。
それにアーティストの『背景』を知ることでこの深さはより価値が高くなる。
だから、NovelCoreのリリックを、SKY-HIの発言を、BMSGのスタンスを聞くと『自分が自分でいることを誇る』そのことの強さを感じて止まない。
上で言う『タイミング』を与えてくれたのはイノフェスでのTHANKS, ALL MY TEARSだった。もちろん他の曲も耳に入れていたし、こうしたテイストよりDOGみたいなテイストの方が好みだった。
このときのパフォーマンスと耳残りが印象的で、いよいよTHANKS, ALL MY TEARSのリリースやMV公開となったとき、このリリックが出てくる背景だったり、自分の好きなラッパーのリリックで『どの口が何言うかが肝心』というのがあるんだけど、ここに興味が注がれたのだった。
ここから追っていなかった期間の曲をいろいろ聴いていると、確実に、着実に耳に、胸に刺してくるリリックがたくさんあった。
これまでのNovelCoreの活動で、聴いていない期間があったり、知ったばかりの人は『今こそ』聴くタイミングだと思っている。
今回のA GREAT FOOLで初めに聞いたのがAK69を客演に迎えたWIN。
この曲のリリックで『横にAK 金じゃ買えないトロフィー』とあるけどこれが過去曲の伏線回収だと知る。
それはMessageのこのライン。
まだBMSGに所属する前にSKY-HIの名が挙げられている。
『セルアウト』というのはメジャーきっかけに売れ線意識して大衆に迎合されるスタンスを取るラッパーに対して、アングラ側がよく言うワードである。
このラインからNovelCoreは『彼らはそうじゃない』とリスペクトを送っていることが読み取れるだろう。
そして今作のWINのオファーではインスタDMを通じて熱意をぶつけたことにより実現したと本人から語られている。
憧れていたラッパーの会社で、憧れていたラッパーと一緒に曲がやれて、WINというワードを体現するにあまりある堂々さだ。
次に刺さったのはSAGA
SAGAの歌詞がまるまるBMSG理念を歌っていて、運命を感じる。
鳥肌じゃないだろうか。
あるインタビューで『NovelCoreはSKY-HIを継承しているか』と聞かれたSKY-HIは、継承するんじゃなくて元々考えの近いものが集まっていると答えている。
ここまでとは知らなかった。
NovelCoreが抱えて、葛藤していることをSKY-HIも同じ思いでいたのである。
そしてちょっと思い出してほしい。
THEFIRST合宿時に、RUIの将来を見据えた独断の契約スカウト劇場を。あの熱意と愛と責任感を。
NovelCoreはオーディションじゃなく、スタートアップの第一歩目を一緒に歩むと決め声をかけた唯一無二のラッパーなのだ。
他にもBe Youという曲では
君は君のままでいい、色とりどり一人のストーリー、ありのままで輝いていること、を讃えている。
まるでShining Oneのような、まるでBMSGの理念のようなリリックである。
NovelCoreはかつてラッパーZORNに救われたタイミングがったと語っている。
https://youtu.be/IGG32Tdgfzw
こうした経験から、『歌が届くタイミング』の重要性、
『急を要する人がいる』という現実を、よくわかっている『NovelCoreがTHANKS, ALL MY TEARSという曲を作った』ことに必然性が生まれる。(どの口が何言うかが肝心)
THANKS, ALL MY TEARSは曲調や、端々のリリック、MVから悲壮な雰囲気が多少漂うが、サビにある通り、絶望や退屈という逆境が人生を輝かせるのに必要であると、ポジティブに転換していることが主題である。そう、スリルすらスパイスと誰かが歌っているように。
ZORNは緊急事態宣言真っ只中の武道館でこう言った。
『HIPHOPは逆境に立ち向かう音楽、こちらとしては平常運転』
自分を誇ること、逆境にも立ち向かう、このHIPHOPマインドはどんな人にも力強く勇気を与えるものだと思う。
THANKS, ALL MY TEARSでも人生を映画に例えているけど、こちらのMetafictionでも人生を映画と歌い痛快にぶっ飛ばしてくれてる。
https://petitlyrics.com/lyrics/2789862
A GREAT FOOLでも“ちゃちゃ入れるなMY STORY”とあるように、これからのNovelCoreは強く、邁進していくだろう。
人生が映画なら
宇宙がエンドロール飲む前に一発あげたいどでかいHANABI
(別のラッパーだけど好きなリリック)
最後に
このnoteを書くに至った、強い刺激を与えてくださった、タワレコ吉祥寺店のハマーさんにHIPHOP愛と感謝とリスペクトを捧げます。
最後まで読んでいただいた方ありがとうございました。
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