なぜアイアンクラッドは廃棄軸が強いのか その1
アイアンクラッドは難しい! そんな壁にぶつかった筆者が考えたことの話。
Slay the spireにおいて、カードを2種類に分ける考え方がある。
アイアンクラッドの勝ち筋の中でわかりやすいものといえば、
・筋力(リミットブレイク+ヘヴィブレード等)
・高ブロック(バリケード+ボディスラム等)
少し慣れてきた人向けのものでいえば、
・無限ループ(ドロップキック×2等)
等が挙げられる。
問題は、どの勝ち筋を選ぶべきかは、拾えるカードに左右されるということ。
つまり、最初から「今回は筋力軸でいこう」と決めても、必要なカードが拾えず、うまくいかないことが多い。
臨機応変なピックが求められるわけだが、この臨機応変が難しい。
バリケード等の重要カードが拾えていない状態で勝ち筋の方向性を決めると、最後まで重要カードが拾えずに失敗するし、
かと言って、何もピックしないとデッキが強くならず、道中でやられるし……。
そんな壁にぶつかった筆者が、どのようにしたら勝率を安定させられるかを調べたところ、どうやら上級者は、勝ち筋が定まっていない段階から、廃棄に関するシナジーを持ったカードを集めているらしい。
なぜアイアンクラッドは廃棄シナジーが強いのか?
実際に廃棄軸で回してみて気づいたことをまとめてみる。
①廃棄(=デッキ圧縮)は、どの勝ち筋とも相性が良い。
カードを廃棄するということは、その戦闘中において、デッキの枚数が減っていくということ。
つまり、長期戦になるほどデッキが薄くなり、特定のカードを高頻度で回せるようになる。
これがとても強力で、例えば筋力軸ならリミットブレイクを、ブロック軸ならボディスラムを毎ターン手札に持って来るようなことが簡単にできる。(1ターンに2回使えることもしばしば)
デッキを薄くするので、当たり前だが無限ループ軸とも相性が良い。
一方で廃棄シナジーを採用していないと、何ターンかに1回、序盤で拾った火力用カード等が手札を占め、ろくに身動きがとれないようなターンがある。
1ターン耐えられるかどうかが命とりとなるラスボス戦では、この差は大きい。
このように、勝ち筋の中に廃棄シナジーを組み込むことで、ラスボス戦等、長期戦で安定した立ち回りができるようになる。
②廃棄を利用した、地味だけど揃えやすい勝ち筋がある。
筋力やバリケードに比べれば地味だが、例えば1ターンにやせ我慢+、セカンドウィンド+、ボディスラム+を使えば、2コストで34ブロック、34ダメージが叩きだせる。
この数値は、ラスボス戦では心もとないものの、3層を突破するには十分な数値。廃棄デッキなら、デッキを薄くして毎ターンこの3枚を回せるようにすることは簡単なので、長期戦の安定感を保証してくれる組み合わせと言える。
それに加えて、無痛やバリケード、2枚目のやせ我慢等の、何かしらのプラス要素があればさらに数値は伸び、ラスボス戦も突破し得る数値になる。
この「やせ我慢+セカンドウィンド+ボディスラム」の形は、レアカード無しで揃えられるにも関わらず、勝ち筋と言えるくらいの馬力があり、個人的にはアイアンクラッドの基本形だと考える。
この基本形に、立ち上がりを安定させるための「闇の抱擁, 無痛」、セカンドウィンドで燃やせないアタックカードを廃棄するための「不屈の闘志, 焦熱の契約」等を加えたものが、典型的な廃棄軸のデッキだと考える。
③キーカードが揃わなくても、他の勝ち筋に移行しやすい。
上記②の基本形が最も揃えやすい勝ち筋だと考えるが、どうしても基本形が揃わなかった時に、他の勝ち筋に移行できるのもこの形の強み。
例えばやせ我慢が拾えなくても、バリケードを拾えればブロック面を補えるし、
ボディスラムが拾えなければ、悪魔化と筋力乗りの良いアタックカード1枚を探せば、攻撃面を補える。
悪魔化が拾えなくても、セカンドウィンドと無痛が揃っていれば、ジャガーノートが勝ち筋のラストピースになる場面もあるし、
どうしてもそれらが集まりそうになくても、廃棄シナジーの土台さえ揃っていれば、ドロップキックを拾って無限ループに持ち込めるという場面も多い。
このように、基本形が揃わなかったとしても他の勝ち筋に切り替えられるのが廃棄軸なのである。
④立ち上がりに強いカードが豊富。
立ち上がりの強さとは、被ダメージを抑えながらデッキを1周させる力のこと。
アイアンクラッドは、悪魔化やバリケード等、使えれば強力なパワーが多いものの、ドローやエナジー供給のカードが少ないため、それらのパワーを使うまでに多く被弾することがありがち。
廃棄軸には、そんなアイアンクラッドの弱点を補うカードがいくつか揃っている。
①闇の抱擁は強力なパワーで、セカンドウィンドや不屈の闘志、焦熱の契約等と相性が良いのはもちろん、供物、激昂、不動、衝撃波、雄叫びあたりにも1ドローがつくようになるので、デッキが1周するまでのスピードがとにかく速くなる。
②堕落は癖が強いカードだが、1ターンに使えるカードの量が増えるので立ち上がりに貢献してくれる。闇の抱擁も加われば、猛スピードでデッキが回る。
③無痛やセカンドウィンドは、闇の抱擁や堕落と組み合わせることで、立ち上がりを進めながら馬鹿にならないブロック値を稼いでくれる。
これらのカードが立ち上がりを安定させてくれる上に、
デッキが1周するころには余分なカードが廃棄されており、重要なカードを使い回せる安定した状態になっているというわけである。
以上のような点が、アイアンクラッドは廃棄軸が強いと言われる理由だと考える。
次回は、より廃棄軸のカードピックのイメージが浮かぶよう、具体的に廃棄シナジーで使うカードそれぞれについて見ていく。