【質問箱】親友や好きな人の好きなところ

お題：親友、好きな人について読みたいです。その方のどんな所が好きですか。

質問箱からお題をくださった方、ありがとうございます。
親友や好きな人の好きなところ、これはかなり難しいですね。現在進行形で付き合いのある特定個人の詳細を書くのは良くないので、好きな人たちの好きなところ、好きになるきっかけについて書いてみようと思います。

吉本ばなな『キッチン』の中で主人公が、知り合いが泣くところを見て「今の涙の美しさはちょっと忘れがたい。人の心には宝石があると思わせる。」と考えるシーンがとても好きです。人の心には宝石がある。本当にその通りです。でも誰かの美点って、他の誰かからすると欠点ということもよくあって、私はこの子の色んなことを考えていて繊細なところが好きだなぁと思っていても、他の人に「あの子って考えすぎでうじうじしててウザイよね」とか言われて驚くことがあります。人の美点って大体はその人の欠点と表裏一体というかトレードオフなんですよね。ただ、全ての人間は誰かから見た時の美点を備えている。私の中でこの真実は揺るがないです。

なら私が考える美点を持っている人のことを好きになるのかというと、それも違います。同じ特性でもこの人だと好ましく思うけど、他の人だと特に心に刺さらないということは結構よくあります。例えば、親友や好きな人のご飯をいっぱい食べるところが好き！と思っても、じゃあ大食いの人全員好きなんか？と考えるとそんな訳ないし、ただ好きな人がご飯をいっぱい食べて幸せそうなところを見るのが嬉しいというだけで、結局あばたもえくぼというか、好きになった人の特性は好ましく思ってしまうというだけな気がします。Twitterにも書いたんですけど、『青野くんに触りたいから死にたい』という漫画の中で、青野くんと付き合ってる優里ちゃんが、藤本くんという男の子に「青野のどこがそんなに好きなの」と問われて、こう答えるんです。

青野くんって⋯ 
なんか悲しい時に笑うの 
何でもないって顔するの
それで多分嬉しい時に苦い顔をするの
それがあべこべで
それを見てると胸が締め付けられて
あぁ 愛しいなぁって思うの

椎名うみ『青野くんに触りたいから死にたい』第5巻

これを聞いて藤本くんは「それは好きなところじゃない。好きだからそう思うところだ」と返すんですけど、これが全てだと思っています。好きだという感情はとてもシンプルなのに、なぜ好きかというのはあまりにも複雑です。

誰かを好きになるきっかけでいうと、私がその人の些細な特徴に気づく瞬間に愛おしさを感じます。学生の頃、可愛くて穏やかで皆に優しい女の子がいて、私はわりと変わってる女性が好きなので、特に思うところもなく「良い子だよなー」くらいだったんですけど、たまたま授業中にその子が窓から外を眺めてる姿が目に入って、その時に、瞬きが遅いなって気づいたんたんですね。黒くて長い睫毛がゆったりと上下するのが優雅で、それに目を奪われました。その後なんとなくその子を目で追うようになって、すると、授業で当てられて朗読する時は瞬き速いな、緊張してるのかな？とか気にするようになって声をかけて、その後仲良くなってどんどん好きなところが増えました。あと、お調子者で自信家の子が「他の人と比べられたら嫌だし…」と情けなさそうに笑っているのを見た時に、そんな風に思うことあるんだ、そういう顔をすると目尻が垂れて人懐っこい犬みたいと可愛くて、そこから親しくなったりしました。その人の特徴とか美点に自分が気づくって、自分で名付けた動物に愛着が湧くみたいな感じだなぁと思っていて、街に猫ってたくさんいるけど、その猫の存在に気づいて自分の中で呼ぶ名前があると、その猫は他の見かけただけの猫たちとは違ってちょっと特別になるじゃないですか。そういう気づきの瞬間があると、他のところも知りたいと思うようになります。

仲良くしてくれる人たちの好きなところの共通点として、漫画や本をよく読んでいて話が合う、他人にそこまで興味がなくて自分のやるべきことに集中している、荷物が少なくて身軽な格好をしている、こだわりが強かったり特定分野に詳しい、などがあります。でも、だから好き！という訳でもないです。たまたまきっかけがあってほとんど天災のように好きだという感情が発生し、それで仲良くなって、今考える好きなところは後付けでしかないような気がします。

誰かの好きなところを挙げると、じゃあそれがなくなったら好きじゃないのか？とか考え込んでしまって、難しいですね。私は前置きも長いしシンプルな結論を出すのが下手です。友人たちのピンポイントで好きなところを思いついたらまた書くようにしますね。お題をくださった方はどうでしょうか？私は誰かが好きなもの/人について語っているのを聞くのがとても好きなので、是非教えて欲しいです。ありがとうございました。