見出し画像

【質問箱】独占欲への向き合い方

お題:今まで人に対して独占欲を抱かれたことはありますか?また、その時にどのようにご自身の欲と向き合われていますか?

質問箱からお題をくださった方、ありがとうございます。

いつも長くなってしまうので結論から言うと、「独占欲は強いが、独占欲と思っているものは実際には様々な感情や欲求(寂しさ/支配欲/見捨てられ不安/関係性における期待)の集合体なので、その中で一番大きなものの解消を目指す、あるいは自分の中で納得する」です。

私は中学生くらいまで、かなり独占欲が強かったと思います。友人には私以外の人とあんまり仲良くして欲しくなかったし、親友が他の友人とお揃いのヘアピンをつけているのを見た時は、ぬるくて濁ったモヤモヤとした感情の塊が喉までせりあがって来て吐きそうになったのを覚えています。

昔から基本的に、何か壁にぶち当たったりした時にとる方法が「分解・比較・深掘り/何故か?を自分に問いかける」(余談ですが、トヨタ生産方式の本を読んでいて「なぜなぜ分析」を知った時、うわトヨタにパクられた!と咄嗟に思いました。そんな訳ないし自意識過剰すぎる)なのですが、これは自分の独占欲について思いを巡らせている時から始まったような気がします。

ある時ふと、この濁った感情の塊を私は"独占欲"と捉えているが、こいつの正体は一体なんなのか?と考えて、すぐには答えが出せなかったのですが、そんな時にたまたま行った美術館でモネの『散歩・日傘を差す女』に出会いました。

クロード・モネ 「散歩、日傘をさす女性」

私はこの絵に魅了されました。広い会場の中で、絵の中の彼女が私だけを見つめていると何故か感じたんですね。それと、昔とても良くしてくれていたのに結婚して引っ越して行って疎遠になってしまった近所のお姉さんと一緒に歩いていて、彼女が振り返って私がついて来ているかを確認するときの姿に重なったんだと思います。それで、この絵と印象派について調べて始めて「視覚混合/筆触分割」について知りました。当時調べた時の記述を正確に覚えていないのと、私は絵に詳しいわけではないので、現代美術用語辞典から引用しますが、視覚混合/筆触分割とはこういったものらしいです。

となりあわせに置かれた二つ以上の色彩が、遠くから見ると混じり合ってひとつの色に見える光学現象。色彩の鮮やかさを重視したクロード・モネをはじめとする印象主義の画家たちによって、絵画に応用された。カンヴァス上に並置した鮮やかな色と色が、「眼のなかで溶けあう」ことで生まれる色は、パレット上で絵の具同士を混ぜ合わせてできる色より輝いて見える。ここから、例えば灰色を塗りたいときでも鮮やかな黄緑と赤紫の小さな筆触を並置するという「筆触分割」の方法が生まれ、これはさらに、新印象主義の点描あるいは「分割主義」へとつながってゆく。

現代美術用語辞典 1.0「視覚混合」の項目より

この筆触分割を知って、ああ、私の感情もこうかもしれないと思いました。遠目で眺めていると灰色に見えるけど、実際には鮮やかな色の感情の筆触が集まっているのかもしれないと。そこで、自分の灰色の独占欲は、実際にはどんな感情の色から構成されているのかを観察してみることにしました。

親友が他の友人とお揃いのヘアピンをつけているのを見た時の例でいうと、

  • こちらは親友だと思っているのに、相手は他の子と仲良くしていて裏切られたような怒り

  • 彼女の全てを知りたいのに、私の知らないところでの交友関係があるのを見せつけられたような不快感

  • 私とはヘアピンをお揃いにしてないのに、もしかして私とはしたくないのかという不安

という感じです。これらの構成色に対してそれぞれの理由と対処法を下記のように少し深掘りして考えます。

こちらは親友だと思っているのに、相手は他の子と仲良くしていて裏切られたような怒り
私は(当時は)1番に固執する傾向があり、親友というのはお互い1番なのに…と思って裏切りと感じた。しかしお揃いのものを持つ友人というのは親友とは競合しないし、彼女は休憩時間になれば真っ先に私の元へ来てくれるのでそれで充分のはず。裏切りと感じるのは私の性格の苛烈さからくるだけ。

彼女の全てを知りたいのに、私の知らないところでの交友関係があるのを見せつけられたような不快感
他に交友関係があるのは当然なのに何故不快になるのか。私がいないところで悪口とか言われてないかな?と疑う気持ちがあるような気がする。これは私が物事をネガティブの捉える傾向があるせいで、親友はそんな人間ではないということを私は知っているし、彼女の潔癖な性格がとても好きだ。私の暗さを勝手に投影しているに過ぎない。

私とはヘアピンをお揃いにしてないのに、もしかして私とはしたくないのかという不安
自己肯定感があまり高くないが故にこういう不安がある。しかし、おそらく彼女は私がアクセサリーの類に興味がないのを知っているからこういった事に私を誘わないだけだ。私だって彼女が興味ないのを知っているから漫画の貸し借りは他の友人としている。それでも、アクセサリーには興味がないが彼女とお揃いというのはしてみたいのに…。

総括すると、不快感や不安は私の過去の経験や性格からくるものなので今回の件に持ち込まず、親友に思い切って「私とも何かアクセサリーをお揃いにしない?」と誘ってみよう。そこで断られたりしたらまた考えれば良い、という事になります。明確に答えが出なかったり、具体的な対処法が浮かばないということもありますが、大体はこんな風にして自分の中の独占欲と決着をつけます。

質問をくださった方はご自身の独占欲への向き合い方に悩んでいるのでしょうか?私は(論理だっているかはさておき)割と理屈っぽいのでこういう風に向き合っていますが、独占欲は自分がとても好かれているという安心感で解消されることも多いので、私の好きなところ言ってよ〜!とか、私との楽しかった思い出の話して!と甘えてみても良いのかなと思います(関係性と頻度にもよりますが…、私は意外にこういうことを普通に言ったりする人間です)。参考になれば幸いです。ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?