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dzs13sho
2015年10月5日 09:27
兄上。私には双子の兄上がいる。名前はない。誰も彼を呼ぶことがないからだ。私も話をしたことはないが、たまに見に行く。寝ている姿を。黒く染められた絹糸のような長い髪。尖った耳には白金の小さいリングが1つ。一糸まとわぬその肢体は白く淡く光る。その背中には漆黒の翼が生えている。目があうことはないので、さだかではないが、瞳は夜の月明かりで出来る影のようだと聞く。彼が寝ている間は私が起きていて、私が寝
2015年10月5日 09:39
暗い森が続く。風もないのにざわざわと木々が揺れているようだ。ただ、音はしない。静かな、静かな森のなかの一筋の道を、長であるオーディンにしたがって進んでいく3人。前方が明るくなってきた。長は迷わずその光に向かって歩みを進める。近づくにつれ光は増していき、長がその歩みを止めた頃には、辺は光に照らされて眩いほどだった。そこは、湖か、海か、わからないが、4人は水際に立っていた。光はその水の向こうから発せら
2015年10月5日 09:33
その日はやってきた。朝からそわそわしていたサムに、ゼフィーは落ち着くように言った。契約の儀は夜なのだ。今からせわしなくうろうろされても目障りだ。と。そこに長が入ってきた。「夜はこれを着て出るように。守護士の門出の日はこの制服と決まっている」そう言うと3人に服を与えた。濃い青紫の詰襟の制服。白金の縁取りが美しい。肩から斜め掛けにした布には「主の意志に従い守る」と古い魔法語の護符が白金の糸で刺繍されて
2015年10月31日 22:43
「それでは、契約の儀を執り行うとしましょうか」長はそう言うと広間の奥の大扉を開けた。そこには直径10mほどの魔法陣が床に刻まれていた。ディーンは忠告した。「3人とも許容範囲を超えないように注意してくださいね。無理だと思ったら私から離れるように」自分の許容範囲を超えると守護士が崩壊してしまうからだ。「では、サムからでよろしいですか?」長はディーンにたずねた。ディーンは頷くと魔法陣の中心のサークル