さようなら。私。


そんな、ちっぽけな譲れないことで戦ってどうするのかしら。

反抗は甘え。私の目の前はもう、大変なことになっていた。でも、気持ちは全然高揚なんかしなくて、なぜだか今までの出来事が馬鹿ばかしくなっていた。なんのために、私はこの世界で順応し生きてきたのか。

しらずしらずに、足並みを揃えていたのだ。女子高生というものは恋愛で花を咲かせるし、人間が収まっているこの校内で光り輝いてみえる異端なもの。それが好きな人だと。私は嬉しくなって、特別になった気分だった。その異端なものと私は特別なんだ。

そりゃ、もうこの世界はそこまで華やかではないから

それなりに高揚することを探す。器用に生きるすべをいつのまにか覚えて、いい感じに生きていると思っていただけだった。それが憧れであり、幻想。

現実をつきつけられると、人は本性が見える。

「ペペ。早く止めなきゃ」

ブローチをにぎる手が、まっしろになる。

「そろそろ、ここに来る。きっと」


目の前が、大きな爆破音とともに真っ暗になる。学校のまわりにある建物は崩れ、叫びながら走っている人もそれに飲み込まれていた。叫び声だけがただただ広いグラウンドに反響していた。

「来た。」

全身真っ白な服を着て、真っ白い帽子をかぶったしたり顔。

この人生、この世界すべてに捧げたい気持ちだ。

私の人生は、私が決める。決めていい。それで誰かが困ろうが不幸になろうが関係ない。もう全て誰かが決めた世界なのであれば、次は私の番だ。


ブローチは完全復活。

黒い煙の中でいっそうに光った。あのときのように。

これは私の小さなコミュニティ。図書室を邪魔されたから。

あなたを許さないわ。

先輩。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?