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ふたり


「痛っ」

足下をみると、真っ黒にはれて血がでていた。

よくみると、黒い点が床に落ちている。

目をやると、あの本が落ちていた。


色。


遠い昔、この世界には色があったみたい。

華々しくってキラキラしていて

いまよりもずっと、眩しい世界だった。


本を何度も読んでイメージをする。

昔の資料で

絵の具とか、お花とか、虹とかが写真でのってるんだけど

濃淡でしか、私たちの目では捉えられない。

説明をみると、それは濃淡ではなく全く別ものなんだって。


色は、人になにを齎してきたのかしら。

見えないだけで、本当は色があるのかしら。


みんなが、見えなてないだけだったら

すごくもったいない。


ブローチが光ったとき

みたことない…感じたことのない…気持ちだった。

夢がまじったような。

すこし、懐かしいような…


私は、混ざり合う。

混ざり合って変わりゆく。


図書室の鍵をしめて、校舎をでると

あのヤンキーがいた。


今日の夕日は、ぼんやりしたグレー。

ヤンキーの髪の毛に混じり合って光っていた。


ボロボロの靴に、ぺちゃんこの鞄。

寒くないの?ってくらいの薄着にミニスカート。

髪の毛は、襟足だけ長い。

ぺたぺた歩く。


自分にないものは惹かれる。

面倒なことは多いけれど、嫌いになることはあまりない。


その髪のグレーは

きれいだな。と思った。




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