土曜日インフラチーム勉強会"HashiCorp Vault"について
Dynamoでは毎週土曜日の午前中に、インフラチームのエンジニアによる自主提案参加型の勉強会を行っています。先週の勉強会ではエンジニアのSamnangさんを中心に、HashiCorp Vaultをテーマとして進めていました。今回は、なぜ勉強会を実施しているのか、そしてどのように進めているのかをSamnangさんに聞いてみました。
勉強会の動機と目的
弊社のインフラチームでは、各人がサーバーやシステムの構築と運用を担当しています。そのような業務において、インフラエンジニアは他のエンジニアと比較して各種シークレットデータ(ログインパスワードやAPIキー、暗号化・復号化キーなど)を扱うことが多いです。取り扱いが必要なのは仕方のないことである一方で、この情報を扱う際には非常に気を遣います。チーム内で日々注意喚起をして丁寧に取り扱っているのですが、そのようなソフト的な対策だけではなくて、仕組みを利用したハード的な対策も重要と考えるようになりました。
そのような問題提起をして社内で相談した結果、将来を見据えた有用なミドルウェアの調査と関連技術習得のために、定期的に勉強会を開催することになりました。持ち回りで担当者を設定することで、担当者は調査にある程度集中することができ、調査した結果を勉強会にてデモを交えて説明することで、他のメンバーにも効率的に知見を共有できるようにしました。先述のシークレットデータの取り扱い方法の高度化を目指すために、勉強会の最初のトピックはHashiCorp社のVaultに決まりました。
続いて、Vaultという製品がどのようなものであるのかを説明していただきました。
HashiCorp Vaultについて
HashiCorp社の製品であるVaultは、パスワード、APIキー、証明書、その他シークレットデータを安全に保管および管理するように設計されたツールです。重要な文書や貴重品を誰でもアクセスできる場所に放置せず金庫に保管することと同じように、シークレットデータもデジタルの世界で簡単に侵害されることを防ぎたいものです。Vaultは、これを達成するためにいくつかの主要な機能を提供します。
安全なストレージ: Vaultは、シークレットデータをファイルシステム、データベース、またはクラウドストレージなどのストレージバックエンドに暗号化して保存します。これにより、誰かがストレージに直接アクセスしても、情報が暗号化されて読み取れなくなります。
アクセス制御: Vaultは、特定のシークレットデータにアクセスできる人を厳密に制御できます。シークレットデータにアクセスしようとするユーザーまたはシステムのIDを検証する、認証メカニズムを提供します。
監査およびログ記録: Vaultは、すべてのインタラクションとアクセス試行の記録を保持し、監査証跡を作成します。これにより、誰がいつ、どのシークレットデータにアクセスしたのかを監視するのに役立ち、潜在的なセキュリティ侵害や疑わしい活動を可視化します。
動的シークレット: Vaultは、さまざまなシステムやサービスに対して、オンデマンドで一時的な認証情報(Dynamic Secretsと呼ばれる)を生成できます。これらの認証情報は有効期間が短いため、侵害された場合でも有効なシークレットデータが長期間露出されるリスクを軽減します。
シークレットのローテーション: Vaultは、パスワードや証明書などのシークレットデータを定期的にローテーションするプロセスを自動化して、セキュリティを強化できます。これにより、侵害された認証情報または古い認証情報が新しい認証情報に定期的に置き換えられるため、脆弱性のウィンドウが最小限に抑えられます。
勉強会では、上記のトピックそれぞれについて、実演を交えた説明がされていました。
勉強会を実施してみて、どうだったでしょうか。Samnangさんに感想を聞いてみました。
Samnangさんの感想
毎週の同僚との勉強会を通じて、Vaultの機能についてより理解を深めることができました。テスト用の環境を構築してVaultを自分で導入した体験から、構築方法とその実用的な管理方法を習得でき、安全に効果的に運用できる自信が得られました。勉強会の進展に応じてVaultをプロジェクトの本番環境に導入する準備が進んでいき、シークレットデータの保護と管理の合理化が実現できるという期待が高まっていて、モチベーションも高められたと感じています。
Dynamoのインフラチームでは、Vaultに限らず各種トピックに対する勉強会を今後も継続し、クラウド時代の情報管理技術を強化していく予定です。