怖さの先に本当にやりたかったことがある②
スペイン滞在が後半に近づくと、気持ちがもっと乱れていった。
どうしてもお金が回らない。
何度も何度もバルセロナを離れようとした。
だけど、こんな今の自分ではどこに行っても大変な思いをするのではないかと思った。
こう言う時は全てがうまくいかなくなる。
彼氏とは喧嘩ばかり、家も出ていかなければいけない。
仕事は当てもない…
一体私はどうしたら良いのか。
確実だったのは、もうこの土地から離れたかった。
離れてブラジルでサンバを踊ってみたかった。
だけど、一体どうやって?
バルセロナでもサンバチームに入っていて、ブラジル人たちとの関わりがあった。ブラジルに行きたいなどの話をすると、本当に危険だから、危険だから、危ない国だよ!としか言われない。歓迎されるどころか、引き止められる。
こんなこと今までなかった。
確かに本当にどうしたら良いのだろう。物価はそこまで安くないという。英語もほとんど通じないという。
行くにはお金が必要だという。
スペインの治安はというと、まぁ悪い。常に貴重品には気をつけないと、あっという間にスラれる世界だ。
それでも、体験してみたい、行ってみたい。
でも怖い…
飛行機も行くお金なんてないし…
私はどうにかしたいと思い、信頼している人に飛行機をとってもらえないかと尋ねた。
いろいろ話をした結果、応援してもらえることになったのだが、
やはり怖いのだ。
先ならぬ不安で震え始めた。
こんなことは今までなかった。どんなに少額しか持っていなくても、こんなにも大きい恐怖感に責められることはなかった。
なんでこんなに怖がっているのに、諦めない。
行ったらどうにかなると思っているのか。いや、そう思えなかった。
そしたらどうしたら良いのか…
悩む毎日だった。
行くと思うと恐怖で涙が出てくるくらい、体験したことのないチャレンジへの恐怖感だった。
悩み続けて1ヶ月。
もう埒が明かないと思った。
どうしたい、どうすれば良いの自問自答を繰り返しながら、ある答えがうっすらと浮かんだ。
この一般的には無茶なように見える生き方を応援して貰えば良いのだ。
この生き方を、見せて、応援してもらいたい。
そんな思いが湧いてきたが、まだ自信がなかった。
決められなさすぎて、本当にイライラしてきた。
もうだめだ、ここで決めるしかない。
泣きながら航空券チケットを見た。
これにしよう。
教えてもらったクレジットカード番号を入れて、予約した。
ついに取ってしまった。
あとは行くしかない。
何度も言ってしまうのだが、国を変えるとき恐怖感を感じたことなんて一度もなかった。チケットを取るときは、毎回面倒だが、次の世界へ羽ばたいて行けることに期待と喜びばかりを感じられていたのに。
出発は1週間後。出国直前まで、どうなるのか未知数すぎて寝れない日々が続いた。