【ディラ研/ザバ研】27枚組聞き倒しマラソン その17:Disc 15
その16(Disc 14)の最後にも追記しましたが、その16を書いていた時点では、なぜか次のDisc 15はメンフィス公演だと思い込んでいました。で、リヴォンの生地の近くだとか書いて、27枚組には未収録ですが、ザ・バンドがその日だけ演奏した「Going Back To Memphis」(チャック・ベリーがチェス・レーベルを離れた時期に出した曲のカヴァー)についてチョッピリ触れようと考えていたんです。。。
Disc 15には26日のテキサス州ヒューストン公演が収録されていました。
すなわち、23日のテネシー州メンフィス公演と25日のテキサス州フォート・ワース公演は録音されず(もしくは失敗)、23日のみのスペシャルメニュー「Fourth Time Around」も残念ながら未収録ということになります。
アポロ計画で有名な宇宙センターもある、ヒューストンの位置はこの辺です。
会場となったホフハインツ・パビリオンも、日本版のWikipediaにはありませんでした。英語版を見ると、バスケやバレーボールの試合が行われていた室内競技場のようで、キャパは7,500人前後でしょうか。これまでの会場よりずいぶん小さいです。
この会場は現存しているようですが、大改修工事の際に費用の多くを出した人の名前をとって、現在はフェルティッタ・センターと呼ばれているとのことです。(ちなみに、ホフハインツも人名)
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1月26日は2回公演ですが、両方録音されていたようです。本盤は1回目の方で、Disc 16には2回目の方が収録されています。(今度は確認してから書きました。)
今回のセットリストはこちら。
出回っているオーディエンス録音では、ザ・バンドのコーナーが何曲が省かれているようなのです。録音者には正確な終演時刻も予測できなかったでしょうから、最後でテープ切れを起こさないよう、ザ・バンドのコーナーは好きな曲だけ録音して、テープを節約したのかもしれません。
22日のアトランタもそうですが、サウンドボード録音がザ・バンドの部分も含んでいるようなら、完全版を公開してくれれば、不明部分の曲が明らかになると思うのですが。。。
本盤の音質については後述します。
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Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)
本盤は、「シー」というヒスノイズが入って高音がキンキンするような、筆者が「耳が痛い」などとちょくちょく文句を言ってる音質で始まりました。ステレオ感がないモノラルに近いミックスですが、0:38をはじめ数か所で一瞬本当にモノラルになる箇所があります。おそらくテープの損傷によるものと思われます。
やはり2台のレコーダーを回しているのでしょうか? もしそうなら、おそらくそれぞれ録音目的が異なるのでは?という気がします。
筆者の推理では、音の悪い方(つまりこの曲のような音質)が会場に流れる音と同じミックスだと思います。音のいい方が録音された理由もいくつか想像できるのですが、少なくとも今に至るまで保管されていたということは、誰かしらの依頼があって録音されたのでしょう。
今回、音がよくて楽器も左右に分かれているテープが使われていないのは、そちらのテープは損傷が激しくて使えなかったか、単にレコーダーのスタートボタンを押し忘れた、みたいな理由でしょうかね?
Lay, Lady, Lay
これも1曲目と同等の音質です。
ただし、イントロでガースのオルガンと同じくらいリチャードが弾くエレピのジュワンジュワンが聞こえるので、その点だけ個人的にはちょっと嬉しかったりします。
Just Like Tom Thumb Blues
この曲でやっとヒスノイズが消え、いい音のテープになりました。楽器も左右に分かれていますが、今回は久しぶりにロビーのギターが左、アコピが右の定位になっています。
Rainy Day Women # 12 & 35
CD未収録の23日と25日はどうだったのか筆者は知らないのですが、今回この曲では全くハーモニカを吹いてないようです。22日の取り違えがトラウマになっているのでしょうか?
オチに行く前、
♪ Why? Because everybody ~
(なぜって? だってみんな ~)
と歌ってます。Why? はツアー序盤で1度聞いた気がしますが、メモってなかったのでいつだったかは思い出せず。
It Ain't Me, Babe
1番で早々に「エヴリィ・ドゥア、オー・イエァ?」が登場します。この「オー・イエァ?」、3番で登場することは時々あって、下記の同曲にも書きました。
2番と3番で、お得意の「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ~ト」と「コ、ホ、ホ、ホ、ホ~ル」を大袈裟に歌い、それにロビーが合いの手を入れる、というのが定番芸みたいになっています。1番はロビーも反応していませんから、ちゃんとディランの歌を聞いて弾いていることがよく分かります。
あと、コーラス部分は2枚組と同じように
♪ It sure ain't me, babe
と歌っているのに気づきました。いつからだろう?
Ballad Of A Thin Man
通常のイントロ前に、ディランとロビーが合奏しているのが可笑しいです。ロビーは曲の前に時々こんなトレモロをやるのですが(2枚組の「Watchtower」などでも聞けます)、今回はディランがロビーに合わせにいった感じに聞こえます。
曲自体は平常運転だと思いますが、ツアー序盤のスローで引きずるようなノリはすっかりどこかへ消えてしまいました。
All Along The Watchtower
この曲ではリヴォンが暴れまくりでプレイします。
ディランも煽られるかのようにシャウトするのですが、シャウトしてない時の声が高くてキレイです。毎晩がなり続けてノドを痛めたとかいうのではなく、強くなったんでしょうか? 不思議な人だ。
Ballad Of Hollis Brown
これもここ数日は平常運転な印象です。ファンキーっぽくもあり、トラディショナルっぽくもあり、雑で荒っぽくもあり。
Knockin' On Heaven's Door
実際はもう少し前からダラダラと始まっていたかと思いますが、前の盤でも時々あったように、頭をうまくちょん切っているように聞こえます。
The Times They Are A-Changin'
ソロのセットを聞くと、声の調子のよさが丸わかりです。絶好調!
高音も上のGあたりは怒鳴らなくても普通に出てます。
3番が終わってすぐは反応がなさげなのですが、4番に入る直前で歓声が聞こえます。
サウンドボード録音は観客にマイクを向けていないので、リスナーに聞こえる歓声はディランのヴォーカルやギターなどのマイクが拾ったステージに近い客席からのものだと思われます。だから、反応がないように聞こえても実際は前列以外で大騒ぎしていたりします。その辺は差し引いて考えた方がよさそうです。
Don't Think Twice, It's All Right
平常運転ですが、調子がよさげなのでハーモニカもよりかっこよく聞こえます。
Gates Of Eden
これもいい。筆者にとっては(食傷気味なくらい)おなじみになった「ブロホホホー」も「ダハハハーイ」も、ちゃんと歌っています。というか、もはや「やらねば」みたいな感じでやっているようにも聞こえますが。。。
Just Like A Woman
これは。。。歌ももちろんですが、2番の後のハーモニカ・ソロが超名演です。これもGのキーに対してハーモニカはCをチョイスしているはずですが、よくこんなメロディを吹けるなあ、という感じ。ディランも「さすが俺」と思ったのか、エンディングでもう一度長いソロを吹きます。これは珍しい。
おかげで、全長5分9秒と過去一の長さになりました。
It's Alright Ma (I'm Only Bleeding)
「好事魔多し」で、前半は順調だったのですが、2:37あたりでまた「パンッ」という不吉な音が。
弦が切れたのか筆者には分からないのですが(もし切れたとしたら2弦?)、アクシデントがあろうとなかろうと当然続行するのみです。
エンディングの感じからしても何かあったっぽいですが。。。
Forever Young
そろそろメロを少し変えにかかっています。観客にしてみれば、『プラネット・ウェイヴズ』はまだ出たばかりで、見聴の人も多かったと思いますが、そんなの関係ねーとばかりにエレキを「ジャカジャカジャッ」とかき鳴らします。「ジャカジャカジャッ」というリズムは、この日の「Watchtower」でもやってましたから、ちょっぴり気に入ってたんでしょう。
Something There Is About You
保留。次回書きます。
Like A Rolling Stone
ディランの声の調子よさは続いており、1番はそうでもないですが、2番から暴れ出します。「ジュースティネ~~ヘッヘッヘッヘッ」「ゲッユーストゥエ~~ヘッヘッ」「ディ~~ヒィ~~ヒィ~~ヒィ~~ル」(笑)
高いG音を伸ばしまくりです。もうちょっとリックの声とオルガンの音を上げてくれ!と思っていたら、(脳内補正かもしれませんが)後半で少しよくなった気も。
さすがに最後の方になると声がかすれ気味になっていますが、夜の2回目公演は大丈夫かいな、と心配になるくらいのノリノリ具合です。
これはよい!
Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)
アンコールも出だしはちょっとおふざけの入った歌い方ですが、すぐに熱が入っていきます。リチャードのアコピもまだまだ元気です。
曲が終わった後、ディランが「(On) behalf of myself and The Band, we wanna thank you. Goodnight.(自分とザ・バンドを代表してお礼を言いたい。お休み。)」と挨拶するところまで収録しています。27枚組の作成時にカットされてしまったしゃべりも少なくないかと思いますが、この言い回しは珍しいのでは?
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さすがにニューヨーク入りを前にして、エンジンがだいぶ温まってきたようです。でも、まだ全40公演中これが21公演目で、あと19公演残っていますのでね。そして、何度も書いてますけど、この日は2回公演なのです。2回目の方については次回に。