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【ディラ研/ザバ研】27枚組聞き倒しマラソン その26:Disc 23

Disc 23は、11日のオークランドの2回目公演になります。
今回のセットリストはこちら。

サウンドボード録音はここに隠れていました。
前半の6曲がサウンドボード録音で、7曲目の「All Along The Watchtower」以降がマルチトラック録音のようです。

これまで聞いてきたサウンドボード録音は高音がきつく、筆者もたびたび「耳が痛い」とぼやいてきました。今回は少しだけモコモコしたサウンドですので、これまでと少し違う音質です(27枚組をお持ちの方は、本盤とDisc 19あたりとを聞き比べていただければ)。
定位は基本的に真ん中に集まっていますが、ディランのエレキが右、ロビーのエレキが左、ドラムスのシンバルや一部のタムタム類が左右に分かれている感じです。
ただし、「Ballad Of A Thin Man」ではドラムスが一部左右に分離します。ちょっと複雑なのですが、左から聞こえるスネアとタム類、そしてそのマイクにたまたま収録されたシンバル類少々がリチャードで、残りがリヴォンの音ではないかと思います。たとえば、左のシンバルでも大きくハッキリした音は、リヴォンの可能性が高そうです。真ん中のバスドラムはリヴォンのもので、おそらくですがリチャードのバスドラムは録音されていません。

マルチトラック録音の定位もほぼ同じですが、ドラムスのスネアを狙ったマイクは二人とも真ん中にまとめられていますので、聞き分けは不可能な状態になっています。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)

しばらく途中から始まるディスクが続いたので、オープニングから聞くのは久しぶりな感じがします。
ディランがジャカジャカやってる後ろでロビーがチョロッと弾くのはよくあるのですが、今回はガースが早めにオルガンを鳴らしています。ロビーのギターは音が混ざり合ってて聞こえにくいです。普通サウンドボード録音だとギターが目立つミックスになることが多いのですが、この会場に合ったミックスがこれということなんでしょうか。
また、演奏中にも調整してるらしき箇所があり、たとえば0:46から0:50あたりなど、リバーブ(いわゆる「風呂場エコー」)の成分が強まったりしています。ノイズも発生しているようなので、単なるテープの劣化もしくはその補修の影響かもしれませんが。
ベースが珍しく控えめということもあって、リヴォンのバスドラムがよく聞こえます。一部を除いて「トン、トン、トン、トン」とディスコの4つ打ちみたいな踏み方をしていますが、正確なテンポとは言えず、先生からは「ヘルムくん、メトロノームの音が聞こえなくなるまでピッタリと合うよう練習してください」とか指導されそうです。
しかし、ローリング・ストーンズの「Honky Tonk Women」を例に出すまでもなく、荒っぽいロック曲に正確無比のテンポがベストなのかは大いに議論の余地があるところです。

Lay, Lady, Lay

イントロの前に「Thank you. Back in San Francisco at last!(ありがとう。とうとうサンフランシスコにもどってきたよ)」と一言。
さっき文句をつけたギターですが、急によく聞こえるようになりました。スタッフが頑張ったのでしょうか。
相変わらずリチャードの担当が分からないですが、ツイン・ドラムスでもなくアコピやエレピの音も聞こえず、2曲目で休憩しているとも思えずで、もうガースのお手伝いをしているとしか。。。

Just Like Tom Thumb Blues

平常運転です。

Rainy Day Women # 12 & 35

先ほどは2曲目からギターも聞こえるようになったといったばかりですが、こういう全員がロックする曲だとロビーのギターの音が十分ではないように思います。というか、ガースのキーボードとリチャードのアコピが大きすぎる感じです。何度も言いますが、サウンドボード録音は会場の観客が一番よく聞こえる音量バランスで録音することが多いので、録音テープもバッチリのバランスになることは稀です。だから、仕方ないことではあります。

It Ain't Me, Babe

最近歌詞をチェックしていませんが、これはド派手に間違えています。
応急処置として1番の中間部と2番の中間部を入れ替えて歌っていますが、「every door」のところをもうヤケクソ気味に「エヴリドーホーァホーホホー」と歌うところには笑ってしまいました。

Ballad Of A Thin Man

Disc 19と同様、ツイン・ドラムスが左右に分かれるので、右のリヴォンがコンスタントに、左のリチャードが気まぐれに叩いているのがよく分かります。
一時に比べて少しテンポが遅くなり、この曲、ツアー序盤ではテンポが遅く引きずるノリだったのですが、だんだん早く軽快な感じになっていきました。そしてここにきて少しだけ初期のノリに戻ってきた感じがします。2枚組はああなので、またどこかで揺り戻しがあるのでしょう。

All Along The Watchtower

ここからマルチトラック録音にスイッチします。
演奏は平常運転です。

Ballad Of Hollis Brown

Knockin' On Heaven's Door

The Times They Are A-Changin'

Just Like A Woman

Gates Of Eden

ここまで平常運転です。

Don't Think Twice, It's All Right

最後のハーモニカ・ソロの途中でフェイド・アウトします。
テープがあと1分残っていれば。残念!

It's Alright Ma (I'm Only Bleeding)

エンディングはジャカジャカすらなく、電池切れのようになし崩し的に終わります。これも珍しいです。Incompleteのクレジットがないので、これで終わりなんだと思いますが、まさか、またもテープ切れではないですよね?

Forever Young

その22(Disc 19)の「Highway 61 Revisited」のところで、ザ・バンドのボックスセットに収録されているヴァージョンは何日の録音なのか?という話を書きました。

検証するにあたり、『Before And After The Flood』というブートレッグCDを参考資料にしようとしたら、ジャケットの日付と違う音だし、途中から別の音源とすり替えられているしで、資料としては役に立たないという結論になったのですが、この「Forever Young」の歌い方のおかげで『Before And After The Flood』の後半部分の正体が分かりました。
ザ・バンドのセットについては比較できないので不明ですが、少なくとも「Forever Young」以降は今回の11日2回目公演の音源だと思います。『Before And After The Flood』の「Forever Young」は、歌の出だし部分でディランの声が小さく、あわてて音量レベルをグッと上げたことが分かりますし、その他の手掛かりからもサウンドボード録音だと判断できます(初期のブートレッグあるあるですが、再生スピードが少し早くなっていることも付記しておきます)。
ということは、この公演ではマルチトラック録音とサウンドボード録音が同時に行われていたと推測できます。

Highway 61 Revisited

イントロ部分が欠落しており、1番が始まったところで慌ててフェイド・インします。サウンドボード録音があるなら繋げることもできたと思うのですが、そこまでする予算がなかったんですかね? まあ、そのせいで27枚組の値段が5万円になるくらいなら、これでいいやと思わなくもないです。
ザ・バンドの人たちはリハをして決めたとおりに演奏することもできるし、ブルースのような決まった進行ならアドリブ中心のプレイもできます。なんせディランが気まぐれというか、他人を振り回すタイプなので、多少荒っぽいプレイでも親分についていける柔軟性が必要です。
しかし、ガース先生だけはディランと違う意味で我が道を行き、同じ演奏をしません。今回の「Highway 61 Revisited」で、初めてクラヴィネットらしき音を聞くことができます(おそらく、これまでは筆者が聞き逃しているだけですが)。

ガースとクラヴィネットについては、以前にも書きましたので、下記を参照ください。

ガースがクラヴィネットやリチャードのアコピを弾くのは、ザ・バンドのコーナーだけだと思っていました。ただ、クラヴィネットはガースの左に置かれているので、ディランの曲でも弾きたいと思えば弾けるわけで、今回はそれが聞けた、と。
今回はマルチトラック録音でもガースの鍵盤がよく聞こえます。意図的なミックスなんでしょうか?

Like A Rolling Stone

2枚組で聞ける新しいイントロがここで初登場。
ただし、Disc 22ではリヴォンのドラムスから始まっていましたが、あの時に欠けていた部分もこの新イントロだった可能性があります。

Maggie’s Farm

Disc 2以来なので、超お久しぶりのこの曲ですが、この曲でもツイン・ドラムスになっているようです。リチャード、どんだけドラムスが好きなんだ、という感じですが、手を負傷しているので、むしろドラムスの方が負担が少ない、もしくは気が紛れるみたいな話だったのかもしれません。

Blowin' In The Wind

イントロでディランが提示したジャッカジャッカに合わせて、リヴォンはスウィングノリのビートを叩いています。Disc 19でも書きましたが、筆者はこの感じが好きです。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

さて、本マラソンもいよいよ大詰め、最終訪問地はイングルウッドにあるザ・フォーラムになります。「ザ・フォーラム」で通じるなんて、まるで「ザ・バンド」のようですが、通称は「LAフォーラム」または「ロサンゼルス・フォーラム」で、こう呼ぶ人も多いです。
その前に、予告どおり次回は最後の給水タイムにさせていただこうと思います。


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