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【ディラ研/ザバ研】27枚組聞き倒しマラソン その5:Disc 5

フィラデルフィアは計3回やったんですね。7日(月)のセットリストは下記のとおりでした。

前日の1日2回公演が堪えたのか分かりませんが、ザ・バンドの方が先に音を上げて持ち歌を2曲減らしたため、全26曲になってしまいました。未収録なのはそのザ・バンドのみによる8曲ですので、Disc 5はディラン部分の全18曲収録となります。

こちらのサウンドボード録音はDisc 4とまた違った驚きと謎があります。
前回と同じく、詳細は都度書きます。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

Rainy Day Women #12 & #35

前日2回目の公演と同じ曲でスタート。
イントロで「パンッ」とリヴォンが1発叩いた後、みんな戸惑って弾くのをやめそうになる感じがありますが、すぐ持ち直して歌に突入します。
音質もDisc 4と同じくらいいい。定位はこんな感じです。

リチャードは前日と同じくアコピを弾いています。
前述のとおり、アドリブの歌詞1行目に対して次にどういうライムでくるかという点も楽しみになってきます(頭が真っ白にならない限り、ディランはいつも何とかします)。今回、
♪ They'll stone you when you're riding on your horse
(馬に乗っていると石を投げられる)
というお題(?)が出てきますが、対して次行は
♪ They'll stone you when you're on a golf course
(ゴルフコースに出ると石を投げられる)
と歌っているようです。本当に何とかする人です。(笑)

Lay, Lady, Lay

頭が切れてディランの誘導用リズムギターがなくなっています。
それと、イントロのベースが聞こえません。出遅れたのか、何かの事情で楽器を交換したのか、はたまた録音側の操作ミスか。歌と一緒くらいのタイミングでベースも入りますが、音が小さく徐々に大きくなっていきます。
音はいいのですが、全体的にDisc 4よりミックス具合がちょっとラフな印象を受けます。少なくとも会場に流れていたであろう音とは明らかに違うと思います。
で、右からホワンホワンいう音が聞こえるのですが、ザ・バンドの「The Shape I'm In」でリチャードが弾くうねり系エフェクトをかけたエレピの音に似ています。これはリチャードが弾いていると思うのですが、どうでしょうか?

Just Like Tom Thumb Blues

この曲ではいつもリチャードのアコピを弾くのですが、今回は聞こえません。どうしたことかとよく聞いてみると、この曲もツイン・ドラムスで演っているようです。ミキシングで同じ方向から聞こえるように調整したみたいなので、ドラマーが2人いるように聞こえませんが、ドラムスのフィルで判断できそうです。特にギター・ソロの途中(3分48秒あたり)で「おっとどっこい」な箇所があるので、すぐにバレます。(笑)

It Ain't Me, Babe

またまたビックリなことが。これまでロビーのエレキは左から聞こえてたのですが、この曲は右から聞こえてきます。ちょうど左右が反転した感じです。
こちらは幸い音質はこれまでとあまり変わらないので、とりあえずホッとします。
これもピアノが聞こえないのですが、左からホワンホワンした音が聞こえるので、今回リチャードはエレピで伴奏しているようです。この日はリチャードがやりたい放題だったようですね。
2回目の公演の後か今回の開演前に反省会をしたようで、雑だったエンディングも2枚組で聞けるのと同じコード進行に変わりました。みんなで練習したのかロビーとリックもピッタリ合って、今回はピシッと決まっています。

I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met)

今回はリヴォンの「トトトッタン」というフィルでスタート。
買ってきてもらった(決めつけている)詩集でちゃんと確認したのか、今回のディランはしっかり歌詞を覚えてきています。ついに呪いが解けた?
リチャードがアコピに戻りました。左にいます。

Ballad Of A Thin Man

これもツイン・ドラムスの音です。そういえば、前日Disc 4の同曲もツイン・ドラムスだったのですが、書き忘れてしまいました。
ディランのアコピ伴奏はちょーっとラフすぎでないかい?

All Along The Watchtower

ロビーのエレキが右から、リチャードと思われるホワンホワンはしっかり左から聞こえます。
これもカッコイイ演奏です。

Ballad Of Hollis Brown

またリチャードがサブ・ドラムスの椅子に座りました。よっぽどノリノリだったんでしょうか、この日3回目のツイン・ドラムスです。
ただ、偉そうに申し訳ないのですが、若干スローでハネたノリになったせいで、何だか盆踊りみたいに聞こえてしまうのは筆者だけでしょうか? 途中で「カン」「チリリン」「ポコ」みたいな鉦や太鼓を思わせる音が聞こえるので余計にそう感じるのか?
ロビーがアームをいつもより多用しています。

Knockin' On Heaven's Door

左からリチャードのホワンホワンが聞こえますが、ガースの音も左右包囲状態のうえ分厚い。
その代わりエンディングではガースも控えめで、リヴォンのシンバルのクレッシェンドをフィーチャーしたものになっています。

Just Like A Woman

この曲がここでツアー初登場になります。
イントロは3拍子で「The Times ~」と見せかけて。。。なんですが、ハーモニカのメロディが「あれだ!」だと分かります。
歌に入ると、大歓声。やはり『バングラデシュ・コンサート』の影響でしょうか。
例によってテンポも拍子も気まぐれ度全開で進んでいきます。「Hattie Caroll」の代わりといった感じです。
ハーモニカはキーと同じGを使っていますが、これについては変化があるはずなので、その時にあらためて書こうと思います。
間奏で例のG→F→CからのDベース下降をやってますね。やるときは本当にトコトンやる人だなぁと。
G→F→CからのDベース下降については下記の「Mama, You've Been On My Mind」のところで書きましたので、興味のある方は参照ください。

Girl From The North Country

ツアー初登場。
聞いた感じ、使っているコードは『リアル・ライヴ』とあまり変わらないと思うのですが、リズムがちょっとハネた感じになっています。
テンポは前曲と一転して、ちょっと揺れてはいますがほぼ一定です。そういえば途中から右の方で「トントン」という低い音が聞こえます。ディランが足踏みしてる音がマイクに入ったのでしょうか。これはこれでいい効果音になっています。

Wedding Song

ツアー初登場3連発! しかも新曲を投入しました。
この時点ではまだ『プラネット・ウェイヴズ』は発売されていないと思いますが、観客の何割かは「おっ、新曲?」と思ったことと思います。
ただ、『プラネット・ウェイヴズ』をさんざん聞いた筆者にとっては、パフォーマンスについてはあまり書くことがありません。歌詞の単語が1個違ってるとか、1行歌い間違えてるなあとか、そこまで細かいことを書くのも何か気が引けるというか。

Nobody ‘Cept You

これも特筆する箇所はありませんが、この日のアコギ・セットはここまでチューニングを変えてません(次の「It's Alright Ma」で6弦を下げるだけ)。
前回のDisc 4では1曲ごとに6弦を緩めたり元に戻していたのがウソのようです。

It's Alright Ma (I'm Only Bleeding)

いつもこの曲のエンディングでは「ジャカジャカジャカジャカジャカ~」とかき鳴らすのですが、今回はすぐに「ジャカジャッジャッ!」と手短かに切り上げてしまいます。
1978年のバンドセットは例外として、弾き語りでこのバッサリ終わりをやるのは非常に珍しく、少なくとも筆者は他に聞いたことがありません。

Forever Young

聞いてる時は、リチャードがアコピでビートルズの「Hey Jude」みたいな歌伴してるなぁと思ったくらいで、特にどうということもなかったのですが(なにせ耳タコ曲)、だんだんこの地味な美しさがよくなってきました。ザ・バンド全員が歌伴に徹するなんて(ロビーは仕方ない)、これは名演の香りがする!

Something There Is About You

「Forever Young」もこの曲もベースが下降していくコード進行なのですが、本当にいろんなパターンがいろんな曲で使われています。
この下降ベース、前から気になっていることがあるので、マラソンが終わったら「オトガタ シッタカ」名義の方ででも意見を書き残したいなと思ってます。
その際、タイトルに「カノン進行」という言葉が入っているはずなので、気になる方はアップ時にチェックしていただければ幸いです。

Like A Rolling Stone

下降ベースを使った曲はアホほどありますが、逆にド→レ→ミ→ファ→ソと上がっていく曲はそれほど多くありません。この曲のイントロとヴァース部分の前半はその一つです。
2番の出だしの歌詞が怪しかったですが、そんなことよりもこれまでと同等の音質でこの曲が聞けて嬉しい!
バック・コーラス(特にリック)の過剰な張り切りぶりも、この音質ならよく分かります。ガースの左右から挟み撃ちにするかのようなオルガンも。

Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)

前曲と同様です。この日のディスクは大団円でした。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

筆者が選ぶ本日の名演賞は、「Forever Young」にします。

次の公演地はカナダです。
筆者は給水タイムをとろうと思いますので、Disc 6の投稿は週明けになる予定です。
ただし、時間があれば場繋ぎに手持ちのネタを何かアップするかもしれません。


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