【ディラ研】Gコードの押さえ方について
2020年8月16日付で別のブログにアップしていたものを一部修正・追記のうえ転載しました。
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ギターでコード(和音)を弾くとき、いろんな場所を押さえて鳴らすことができます。
もちろん一番ポピュラーな押さえ場所ってのがあるのですが、同じポジションでも人によったり、その前後の弾き方で押さえ方が変わる場合もあります。
たとえば、Gコードを押さえているアルバム・ジャケットで有名なのは、エリック・クラプトンの『スローハンド』でしょうか。
一方、ディランはというと、『リアル・ライヴ』のジャケット写真を見てもらうのが早いかと。
このポジションは、6弦(一番上側の太い弦)の3フレット、5弦の2フレット、1弦の3フレットを押さえるという、教則本でも最初の方に出てくる基本中の基本の押さえ方なのですが、上記2枚の写真を見ていただくと(ディランの方は少し分かりづらいかも)、少し押さえ方が違うことにお気づきでしょうか。
押さえている箇所は同じなのですが、使っている指が違います。
クラプトンは6弦の3フレットを中指、5弦の2フレットを人差し指、1弦の3フレットを薬指で押さえていますが、ディランは6弦を薬指、5弦を中指、1弦を小指で押さえています。
ちなみに、ジョニー・キャッシュなどもクラプトンと同じフォームで押さえることが多いようです。
ディランがGコードを押さえている写真をもう1枚。
やっぱり昔から同じですね。
(この写真では5弦を押さえていないように見えますが、その代わり5弦を鳴らさないように薬指か中指の腹で消音(ミュート)しているようです。)
「コードなんざどう押さえてもいいじゃん」と思う人がいるかと思いますが、ディランのコピー、特に弾き語り曲をコピーしようとしている人は、ディランと同じフォームで押さえるのがオススメです。
少なくとも、「It Ain't Me, Babe」とか「Tangled Up In Blue」(1975年や1984年のライヴ・ヴァージョン)などをコピーしたいと考えているのなら、こちらの押さえ方が必須になります。
現在、1974年のツアーを収録した27枚組ボックスセットを順番に聞いていってますが、この時の「Most Likely You Go Your Way ~」「The Times They Are A-Changin'」「Nobody 'Cept You」などもそうですね。
というのも、Gコードとセットで「1弦と6弦は3フレットを押さえたままのCコード」というのもよく使うからです。だけど、その話はまた別の機会に。
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ただし、例外的な押さえ方が筆者の知る限り1曲ありまして、それは「時代は変わる」のスタジオ録音なのです。
この曲もイントロからGコードをジャンジャンジャンと鳴らして始まるのですが、イントロのGコードの響きがいつもと違うように思いませんか?
明らかに2弦3フレットのDの音が聞こえてきます。上記のフォームで押さえていくらジャカジャカしても、こんな風な響きにはなりません。
日本で売られている楽譜やネットなどを見ると、6弦の3フレット、5弦の2フレット、1弦の3フレットに加えて、2弦の3フレットも押さえるよう書かれています。
う~ん、そうかなあ?
筆者も耳が衰えて高音が聞き取りにくくなっているのは確かですが(苦笑)、Gコードの時に1弦3フレットの音が聞こえないのです。しかしDコードの時は1弦2フレットの音がしっかり聞こえるので(ギターを弾かない人には何言ってるか意味不明かも。すみません!)、1弦が切れたり外されている訳ではないようです。
で、筆者の推測はこうです。
「6弦の3フレット、5弦の2フレットは上記と同じ、小指は1弦ではなく2弦の3フレットを押さえ、その小指の腹で1弦をミュートする」
DVD『ドント・ルック・バック』の中ではどう弾いているのか確認すべく、久々に見直しましたが、普通のGコードのフォームで弾いており、1弦3フレットもちゃんと鳴っていました。 ○| ̄|_
「時代は変わる」は1963年10月24日に録音されているのですが、この日はどうもディランがあれこれ変わったことをやりたかった気分だったらしく、もう1曲最大の謎を残してくれています。
それは、「いつもの朝に」のチューニング...
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上記を書いた後で、1987年にグレイトフル・デッドと共演しているビデオを見たりしていると、Gコードをエリック・クラプトンと同じように押さえているシーンを発見しました。(汗)
まあ、ミュージシャンたるもの、コード進行次第でいろんな押さえ方をしますよね。