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【ディラ研/ザバ研】27枚組聞き倒しマラソン その4:Disc 4

さて、6日(日)の2回目の公演です。セットリストは下記のとおり。

なんと、ソロを1曲増やした全29曲! 未収録なのはザ・バンドのみによる10曲です。つまり今回もディラン部分は全曲収録となります。
もし年末にコッソリ残り物を大放出する予定でしたら、上記のグレー部分だけでボーナス・ディスクを作ってほしいなぁと思います。ザ・バンドのセットは初日だけイレギュラーで、あとはほとんど変更なしのようなので、初日のディラン参加分とベスト編集のディスク1枚分で十分なんですが、ダメでしょうか?

Disc 4の音もまたサウンドボード録音ですが、ちょっと驚きと謎があります。
いつもはこの段落を最後に書いているのですが、本当は時系列に並べたいところです。とりあえず録音の定位図はDisc 2に似ている(ロビーのエレキが右側にいる)とだけ先にお伝えしますが、要点が分かりにくくなることを覚悟で、詳細は都度書いていきますね。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

Rainy Day Women #12 & #35

ツアー初登場! またもや頭が欠けてますが、1回目の公演とは対照的にオープニングのつかみとしてはピッタリな曲ですね、これは。
音質や楽器の音量バランスもよく、ザ・バンドならではのブルース・ロックが堪能できます。これは期待できそうなサウンドです。
リチャードはアコピです。
ただ、例によってディランがオリジナルの歌詞をよく覚えておらず、アドリブが多く含まれています。まあ、この曲の歌詞は1種のリストみたいなものなので(筆者は「箇条書きソング」と呼んでいます)、ある行と次の行でうまくライムできたら何でもOKみたいな感じではないかと。
前にも書きましたが、筆者は半分ジョークみたいな歌だと捉えているので、歌詞がデタラメとか言うのも見当違いかな、という気がします。おそらく観客の多くは何て歌っているかまで聞いていないと思いますし。万一、キメの1行が全然違っていたら気づくでしょうが。(笑)
この曲のスタジオ・ヴァージョンについては以前投稿したことがあります。
興味のある方は下記をどうぞ。

Lay, Lady, Lay

イントロのディランのギターを聞くと、チューニングがよくなっていて一安心です。
ただ、歌い方がイヤらしくなっています。「インヨーマイ~~ンド」とか「スィーゼムシャイ~~ン」とか。いや、エロいという意味ではなく、嫌々歌っているような、少なくとも伝えたい感が筆者にはあまり感じられないというか。そうでもないですか?
次の曲は「Tom Thumb」なので、1曲目と3曲目でリチャードはアコピを弾くのですが、この曲ではアコピを弾かずに何をしてるんでしょうか?

Just Like Tom Thumb Blues

最初はロビーの音が大きく、徐々にガースのキーボードが大きくなっていき、ロビーのソロの時はエレキの音が埋もれそうになっています。その代わり、ガースのいろんなキーボード音が堪能できます。
これ、本当にサウンドボード録音なのか、怪しく思えてきました。その真偽はともかく、音がよくて耳が痛くならないのは嬉しい。
リチャードのアコピもちゃんと左から聞こえます。

It Ain't Me, Babe

「Lay, Lady, Lay」と同様に、曲全体に特筆する箇所があまりないのですが、音質がいいから演奏もよく聞こえます。ただし、リヴォンはヴァース部分をどう叩こうか迷っているフシがあるように感じられます。
あと、3番のコーラス前でディランが「オ~イエァ?」と言ってますが、映画『レナルド&クララ』で使われた1975年11月20日の有名なライヴ・ヴァージョン(CDなら『ライヴ! 1961–2000_39イヤーズ・オブ・グレート・コンサート・パフォーマンス』などでも聞けます)を想起させますね。
エンディングもまだ何となく終わっている感があります。

I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met)

1回目の公演で懲りたのか、今回はまったくハーモニカを吹いていません。
とりあえず歌い出したのですが、今度は次の行が出てこず、適当にごまかしています。他も結構アチコチで引っ掛かってますね。ひっくるめて「呪い」として片付けておきましょう。
小会場での弾き語りなら、1964年のハロウィーン・コンサート(『ブートレッグ・シリーズ 第6集』みたいな微笑ましいやり取りもできるのでしょうが。。。
その代わり、今回のロビーのソロはいい感じです。ロビーは親分や仲間が弱ってる時にいいプレイをするような気がします。知らんけど。

Ballad Of A Thin Man

ロビーの音がデカいです。負けずにガースの右側から出る音もデカい。
ロビーはアーム付きのストラトキャスターを使っているはずですが、アームの使用はビブラート程度で、あくまで控えめにしています。スタジオ・ヴァージョンの「Going, Going, Gone」やエリック・クラプトンとの「Sign Language」みたいにアームを駆使してグニャグニャな音をステージで弾くと、後でチューニングが大変なのでね。
ディランのアコピ、今回は他の楽器に合わせてシャッフルに近いノリで弾いています。

All Along The Watchtower

本当に今回のミックスは筆者のリクエストに応えてくれてるかのように、聞かせどころを大きくしてくれて大助かりです。これは演奏もいい!
サウンドボード録音とはいえ、少なくともこの時はテープ回しっぱなしではなく、ライヴ中に機材の操作をしてたのでは?と思われます。
フィル・ラモーンはまだポール・サイモンのライヴ盤の仕上げ中だったはずなので、会場には来ていないと思いますが、もうライヴ盤の作成は決まっていたので、アシスタントが先に現地入りして機材チェックを兼ねてあれこれとやっていたのかもしれません。
事情はどうあれ、こんな音質なら大歓迎です。初日もこんな音で聞きたかった。。。

Leopard-Skin Pill-Box Hat

この曲では、2番の2行目が出てこなくてごまかしてます。
4行目の「expensive kind(値の張るやつ)」を「explosive kind(爆発するやつ)」に変えてるのにも気づきました。ちょっとヤケになってるのかな、と一瞬思いましたが、Disc 1と2の同じ箇所を確認したところ、同様に歌っていました。Disc 3だけが「expensive kind」です。
リチャードのアコピを含め、演奏はご機嫌です。

Knockin' On Heaven's Door

徐々にイントロっぽくなってきました。
リチャードの担当は不明です。どのキーボードも全部ガースが弾いている気がします。第3の音色が聞こえた時に「いくらガースでも手は3本ないから、どれかはリチャードだろ」と思って確認すると、1つ目の音がなくなっていたりして、どんだけ切り替えが早いんだ!って感じです。
エンディングもガースがいいコードで締めくくっています。だんだん形になってきました。

The Times They Are A-Changin'

音がいい、という以外に特筆事項はないですねえ。

It's All Over Now, Baby Blue

ツアー初登場。
低音の響きから、1965~6年と同じように6弦をCまで緩めたドロップCチューニングにしていると分かりますが、カポは付けずに(つまりキーを下げて)弾いています。
1行歌うたび、ギターが「ガーンチャラッチャーチャラチャ」と決まったリズムを繰り返し刻んでリスナーに印象付けます。「今日のリズム」あるいは「今日のフレーズ」を繰り返し提示するのはディランの得意技の一つです。
2枚組では気づきませんでしたが、実際のソロ・セットでは時折テンション低い系の演奏も取り混ぜて、メリハリをつけている印象を持ちました。この曲や続く2曲はそういう感じがします。

Song To Woody

初日だけのスペシャル演奏かと思いきや、まさかの再登場。(今回で本当の聞き納めになりますが。)
毎回曲間が切られているので確認できませんが、6弦を上げてチューニングをレギュラーに戻しているはずです。

Mr. Tambourine Man

この曲も今回初お目見えなんですが、次に登場するのはDisc 26になるようです。2回しか演奏しなかったのですね。
また6弦をD音に下げて、ドロップDチューニングにしているようです。カポなしでキーがDというのは、有名なザ・バーズ版と同じです。
この曲はディラン作品には珍しくコーラス部分始まりなのですが、今回はヴァースから歌っています。歌い方が丁寧で(「丁寧」っていうのも何だか変ですが)、スタジオ・ヴァージョンに近いノリです。
ハーモニカ・ソロの後で音の乱れがありますが、テープの状態が悪かったのでしょうか?
なお、1966年ツアーにおけるディランのギター・チューニングやハーモニカのキーなどに興味のある方は、下記を参照ください。

Nobody ‘Cept You

またチューニングをレギュラーに戻して、っと。
歌部分は毎回あまり変わりません。歌詞が微妙に違う時がありますが、リライトってほどではないです。
ただし、エンディングのハーモニカ・ソロ部分がなくなり、アウトロでほんの少し吹くだけになってしまいました。これは寂しい、というか、たったこれだけならハーモニカなしでもいいのでは?

It's Alright Ma (I'm Only Bleeding)

チューニングの話をしてるので、この曲にも触れておきましょう。
この曲は6弦をDに下げたドロップDチューニングで弾いているようです。であれば「Mr. Tambourine Man」と同じなので、なぜ間に「Nobody 'Cept You」をはさんでチューニングの手間を増やすのだろう?とド素人の筆者は思います。
前曲のハーモニカもそうですが、「あえて非効率で進めるのがディラン流」という結論でいいでしょうか。

Forever Young

音がいい以外、特筆する内容はないので割愛します。

Something There Is About You

音がいい以外、特筆する内容はないので割愛します。

Like A Rolling Stone

えっ、ちょっと待って。耳が痛い耳が痛い、お~い、スタッフぅ~。
これはどうしたことか、予告なく突然、筆者がさんざんブーたれたDisc 3と同等の音質に戻ってしまいました。しかも「リヴォンが苦戦してる」と書いたせいで怒ったのか知りませんが、シンバルがDisc 3以上にうるさくなっています。
定位も変わり、リチャードのアコピは右端に。なんだこれ?
頑張って音楽に集中しますが。
コーラス部分でリックの高い声が目立ちます。1回目の公演でも似た感じなのですが、毎回こんな歌い方をすれば、そりゃ喉も傷めるわと思います。
ディランはいえば、前年ロックな歌い方をいろいろ試していたみたいで、途中お疲れを感じさせる箇所はあれど、まだ「がなり」状態にまでは至っていないのでは?

Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)

ついにこの曲が「偉大なる復活」を遂げました。満を持しての再登場という感じです。
ディランも前年に発売された詩集を買って来させて必死で覚えたんでしょうか、かなり正確に歌えています。(そういえば、突然の「Hero Blues」披露も詩集の作成時に思い出したのかもしれません。)
リチャードはしっかりアコピを弾いています。
ただし、音質は前曲と同じ。う~む。。。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

筆者が選ぶ本日の名演賞は、少し迷いましたが「It's All Over Now, Baby Blue」にします。

とにかく前半のいい音&聞かせどころを強調したミックスには驚きました。
最後の2曲の落差にも同じくらい驚きましたが、原因を一応推理しておきます。
おそらく録音機材を2台つないでたのでしょう。1台は演奏チェック用で、もう1台はライヴ盤制作の準備用です。
しかし、当時のテープは数十分しか録音できないので、そろそろ終わりかなと思ったら、早めに曲間のスキ(ディランがチューニングしてる時とか)にテープ交換する必要があります。
で、音のいい方のレコーダーが「Like A Rolling Stone」のあたりで切れてしまったのですが、「今日はメチャ仕事したから、また今度」ということで、これ以上テープ交換しなかったのではないでしょうか。だから、残りはまだ回っていた演奏チェック用のテープをつないで補完した、と。
とはいえ、確認するすべもないので真相は藪の中でしょうが。

筆者の文章は「~思います。」「~考えます。」「~でしょうか?」「~かもしれません。」といった、奥歯に物が挟まったような文末が多いのですが、この手の話は、筆者が事情を知らないだけだったり新情報が出てくるなどして、いつ覆るか分からないので、断言したくないのです。。。
ネットや本などのどこかに知りたい情報が転がっているかもしれませんし、過去に読んだ資料の内容を筆者がど忘れ・勘違いしている可能性もあるかもしれません。会場について調べたり、一緒にギターを弾いてみたり、27枚組のブックレットなどは並行して確認しますが、あんまり1974年ツアーの出来事を先走って調べすぎるとマラソンの楽しみがなくなるようにも思います。このまま推測による「断言はしませんが」投稿を続行するということでご容赦いただければありがたいです。
もちろん、後日判明したものなどがあれば、なるべく追記投稿したいと考えています。


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