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『はじまりはいつも雨』を聴いたら

「キューーーーーーーン」という音が鳴っているのかと錯覚を起こすほど、胸がいっぱいになった。


昨年9月のテレ東音楽祭。

久しぶりにTVでASKAさんが歌っている、しかも演奏、コーラスはASKAバンドのメンバーで。

番組でどの曲を歌うのか、予想した中でも本命中の本命、ASKAさんのソロ曲といえばこの曲、な堂々たる代表曲『はじまりはいつも雨』

イントロから大好きな間奏、ASKAさんの歌声の一節一節、最後に浮かべた笑みの表情まで「じーん」「キューン」と心は震えっぱなしだった。

そして改めて思った。なんて繊細で、なんて美しくて、なんて素敵な曲なんだろうと。


君の名前は 優しさくらい よくあるけれど

とあるように「優しさ」でいっぱいの世界を持つ主人公。

僕は上手に君を 愛してるかい 愛せてるかい 誰よりも 誰よりも

相手を思いやる気持ちの人一倍強い、繊細な人なんだろう、と感じる1番の歌詞だ。

君は本当に僕を 愛してるかい 愛せてるかい 誰よりも 誰よりも

2番の歌詞に表れる、より深い彼の心模様。

わけもなく君が 消えそうな気持ちになる 失くした恋達の 足跡(あと)をつけて

どんなに彼女を愛していても、その気持ちでしあわせな日々でも、終わった恋愛の経緯を思い出しては、ふと不安になることがあるのだろう。

星をよけて ふたり 星をよけて

それでも二人が今愛し合っている事実が、何(星)よりも強くて美しい。

歌詞の出だしである、

君に逢う日は 不思議なくらい 雨が多くて 水のトンネル くぐるみたいで しあわせになる 

この気持ちが一番大切なんだろうと思う。


こんな心の情景に、こちらまでふわっと優しい気持ちになり、しあわせを感じる。

今の私は。


1991年のリリース当初からつい数年前までは、聴く機会は多くあっても、当時の私の心にはそう響いてこなかった。

「美し、過ぎる」「こんな優しい愛の世界、ありえない」と、どこか受け入れにくさを感じていたのだ。

ところがある時、何気なく聴いていると、沁みる沁みる、自然にすぅーっと心に沁みていき、心の底から「素敵だ」と感じたのだった。

歳を重ねて少し素直になったからなのか、やっとこの曲のリスナーになれたのかな、と嬉しくなった。


というわけで、リスナー初心者の私には、まだまだ語ることの多くない曲ではあるけれど、

『はじまりはいつも雨』は、自分の感性やあり方の変化(成長であってほしいが)も感じさせてくれる、これからの人生でもずっと聴き続けるだろう、


大切な一曲だ。



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