松田図書館 第二回
名ロカビリアンにして激熱ロケンローラー Lee Denson
様々なジャンルの音源が保蔵してある僕の実家の部屋から
お勧めの音源をご紹介していく「松田図書館」、
第二回はメチャクチャ熱い歌声を聞かせてくれるロカビリアン、
Lee Densonのコンピレーション、
The South's Gonna Rise Againをご紹介したい。
Lee DensonはElvis Presleyと並ぶと言っても過言ではないロカビリーのパイオニア的グループであるJohnny Burnette Trioを後に結成するJohnnyとDorseyのBurnette兄弟と幼馴染だったそうだ。
またElvis Presleyが少年の頃、Lee Densonが住んでいたテネシー州メンフィスに引っ越してきてLeeの父親が経営していた教会に通い始めた為そこで仲良くなり、年下だったElvisにギターを教えていたらしい。
この2つの逸話だけでかなりの期待が膨らむが、彼は期待以上のミュージシャンと言っていい。
1曲目のThe South's Gonna Rise AgainからLittle Richardばりの熱唱を聞かせてくれて最高にかっこいいロケンローを炸裂してくれる。
タイトルにも書いたが、この人は素晴らしいロカビリアンにして黒人的なロックンロールを歌いこなせるロケンローラーでもある。
黒人的なグルーヴ、フィーリングを非常に高いレベルで表現できる人で、
このコンピレーションアルバムの前半に多く収録されている黒人音楽からの影響が大きい楽曲群でその本領を発揮しているのが分かる。
彼はそれだけじゃなく、中盤以降に収録されているロカビリー系の楽曲群ではまさにロカビリアンという歌唱を披露、さらにゴスペルも歌いこなし、そのどれもが様になってしまう本当に優れたヴォーカリストだった。
また彼は作曲家としても素晴らしい才能を持っており、
このアルバムの3曲目に収録されているThe Pied Piperが1957年に黒人シンガーであるBiily Williamsに、
◇Biily WilliamsにカバーされたThe Pied Piper
◇こちらはLee Densonのオリジナルヴァージョン
そして14曲目に収録されているClimb Love MountainがClimb Love’s Mountainに改題されて
The Kuf -Linxというこちらも黒人のヴォーカルグループにカバーされている。
◇The Kuf -Linxによるカバー、Climb Love’s Mountain
◇Lee Densonのオリジナルヴァージョンがこちら(2:01くらいから)
本物の黒人ミュージシャン達にカバーされている時点で彼のブラックフィーリングは本物だったと言えるのではないだろうか。
さて、このコンピレーションアルバムは彼のベスト音源集と言っていい内容になっているのだが、個人的なオススメを5曲書かせて頂きたい。
どれも素晴らしい内容なので中々選ぶのが難しいが、
まず1曲目の激熱ロケンロール、The South's Gonna Rise Againははずせない。 これはもう本当に最高。
それと4曲目のRed Hot Rockin' Bluesと5曲目のLove Twister。
この2曲も彼の熱い歌声が楽しめる非常にかっこいいロケンロールだ。
ロカビリーでは、これぞまさしくロカビリー!といった感じの12曲目、High School Hop、
そして超目玉なのが、なんとEddie Cochranがギターで参加している 13曲目のNew Shoesだ。スラッピングベースがバチバチいっていてメチャクチャかっこいいし、Eddie Cochranのギターも冴に冴えている。
彼の参加を知らなくても「このギター、誰だ?」って絶対になるはず。
しかし前々からEddie Cochranのギタリストとしての非凡なものを感じていたが、これを聞くとやっぱり凄かったんだなぁととつくづく思う。
New Shoesは1957年にシングルでClimb Love MountainのB面として発表されている。Eddie Cochranは1938年生まれなので録音時では19歳かそれ以下の年齢のはず。それでこのプレイなのだからどれだけ凄い才能だったかが分かるはずだ。
以上の5曲が僕のオススメになるのだが、最後にそれとは別に彼の幼馴染というか、もしかしたら弟のような存在だったかもしれないElvis Presleyがカバーしたゴスペル曲、The Miracle Of The Rosaryについて書きたい。
この曲はElvisが1972 年に発表したアルバムElvis Nowの2曲目に収録されているのだが、なんとこのコンピの一番最後の23曲目にElvisヴァージョンが収録されている。
20曲目にはLee Densonのオリジナルヴァージョンも収録されているので聴き比べが出来てとても楽しい。
こういったところも痒いところに手が届いてるというか、気の利いたコンピレーションアルバムなので興味が出た方はぜひ手に取ってほしい。
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