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共感から始まる組織づくり・地域コミュニティづくり

【イベントレポート】共感から始まる組織づくり・地域コミュニティづくり

 大企業未来共創活動態”GIFT”では、2ヶ月に1回のギャザリング、One Hundred GIFTsを開催しています。
*過去の開催内容は、こちら

 2022年6月7日に開催されたテーマは
共感から始まる組織づくり・地域コミュニティづくり」。
前半はGIFTの岩波・武井による対談、後半はゲストスピーカー5名に、4つのGIFT&ACTION実践内容を語っていただきました。最後は、世界中の眠れる魂を覚醒される演劇家・阿部よしつぐさんによる独唱が響き渡る会となりました。ぜひ動画もご覧ください!
(今回の告知はこちら

【第1部】 岩波×武井トークセッション

GIFT発起人・岩波

岩波:今、社会のあり方が問われる中で、組織のあり方、コミュニティのあり方も変わってきています。今日のゲストの実践からコミュニティベースのあり方を知ることができると思います。
 
 これまで物質的豊かさが優先され、合理化と効率化で動いていた時代は、物事を外側に合わせる、例えば会社に入れば会社の規則・戦略に個人が合わせる時代でした。現在は数字やお金で豊かさを図っていて、物質的には過剰とも言えます。お金が介在しないと価値交換できないという考えもあります。

 これからの時代は心の豊かさ、内的な豊かさ、がより一層求められます。「何のために生きているんだ?」と哲学的な問いかけで、自分の内面に向き合うことが重要になってきます。自分の内側にあるものを外側に表現する比率が高まって、共感で集まってきた人たちが何かをはじめて、結果としてコミュニティになることが起きています。そしてコミュニティベースの活動が連鎖して、お金を介在させないような、特徴をもった価値の交換(GIFT循環)にも結び付いていきます。地域通貨もその一つです。

 ひと昔前は、コミュニティは従わなければいけない村社会のイメージでしたが、これからのコミュニティは開かれたものです。それぞれが関わり時に関わりたいだけ関わる、それが持続可能性につながります。組織的に見ると動きが遅いと感じることもありますが、そこも含めて関わり方を許容すること、出入り自由、重なり会っているコミュニティがこれからの社会に求められます。コロナ前に立ち上がったGIFTも、数年前は数奇なコミュニティでしたよね(笑)

GIFT・武井

武井:コミュニティって、人間の営みとか全てが含まれているので大小いろんなものがありますよね。新しい社会システムが作られようとしている中で、貨幣価値だけが価値を生むわけじゃないという認識が広がっていると思います。

例えば家事をアウトソーシングすると1,500万円かかるそうです。似たような話で、私が関わっている会社の報酬を、ハコニワファームという自然農法の養鶏場からは卵で、メゾンカカオというチョコレート屋さんからは新作チョコでもらっていたりします。貨幣は介在していないけれど、これも経済だと思います。

現在、関わっているコミュニティの一つに、世田谷の畑でワイワイ活動する「タマリバタケ」があります。200人ぐらいメンバーがいて毎回30人くらいが参加して、いろんな植物を持ち寄って植えたり、砂場を作ったりしています。世田谷区の職員さんや、経営者、もちろん地域の子どもたちも来ます。区に提出する計画はあるのですが、敢えてコミュニティのみんなには公表せず自由にやってもらっています(笑)

 タマリバタケでの活動の様子

もう一つは、「チーム用賀」。1,300人がFacebookコミュニティにいます。この規模だと困り事の相談や物々交換が容易にできます。この前、バンボという子ども椅子を「くださーい!」とつぶやいたら、中古でも6,000円はするんですが、2時間後には無料で手に入りました。しかもくれた人から捨てるお金がかからなくて助かったと感謝までされて。

―――これは経済活動とも呼べて、関係性で成り立っている。コロナ禍で一企業の努力では立ち行かない状況になったり、ロシア・ウクライナ問題でエネルギー問題や食糧問題ももっと厳しくなったりするのが見えてますよね。「助けて」と言って助けてくれる人がどれだけいるか、関係性を土台とした経済を育んでいかないといけないと思っています。

岩波:地域社会での交換はざらにあって。金額換算しないってより重要になってきますよね。

武井:金融を英語で”Finance”と言いますが、語源は”Finish”なんです。知らない人との取引を終わらせるのが前提でできた言葉です。街の暮らしだと、昔はお醤油が切れたら隣の人にピンポーンって借りたけれど、今はコンビニに買いに行く。貨幣経済によって関係性がなくなってしまったんです。

岩波:貨幣経済では顔の見えない相手と取引しますが、顔の見えない相手には残酷にもなれたりする。顔が見えないために契約や信用にお金がかかっていたりもする。だからコミュニティベースで顔の見える人との関係がとても重要になってきます。

武井:共感の反対は、強制・命令だと思います。共感って、理屈じゃなく吸い寄せられるような「それいいね!」というもの。
 自分にとって象徴的な出来事があって、子どもの幼稚園で親も一緒に公園で遊んだ日のこと。平日の昼間で、父親で来てるのは私だけ(笑)せっかくだから子どもたちと遊ぼうと、木を集める実験を始めました。そしたら子どもたちが、どんどん木をもってきて、協力したり、ベッドを作ったり、自然と役割分担ができて、気づいたらコミュニティができていたんです!大人も同じで損得は一先ず置いといて、「なんかここ楽しそうだぞ!」という熱量で人が集まってコミュニティになっていくんだと思います。

実際に幼稚園の子どもたちが木を集めている様子

岩波:まさにこのセッションのまとめのような話ですよね!これからの時代は物質・貨幣主義よりもエネルギーベースに変わっていく。心地よいエネルギーかどうか、共感という良いエネルギーが集まったり発したりできる場所ができれば、社会に良いエネルギーの循環が起こって、共感のベースになるんじゃないかと思います。


【第2部 ゲストスピーカー①】塩野義製薬株式会社 野口 万里子 氏・塚本 泰規 氏

塩野義製薬株式会社 野口 万里子 氏

塚本氏:塩野義製薬は製薬会社ですが、売った先に正しく患者さんに情報を伝えて正しく使われることを目指しています。しかし、聴覚障がいを持たれている方は2000万人いると言われており、医療機関で困り事を抱えています。そこで、聴覚障がいを持つ人のコミュニケーション改善のためのプロジェクトを立ち上げました。

野口氏:私は生まれつき難聴である聴覚障がいをもっています。補聴器を付けても、人によって音量や聞こえ方に差があります。また、ろうと難聴にも違いがあり、ろうは手話、難聴は補聴器・筆談によってコミュニケーションをとります。手話・筆談だけではない、本人が希望するコミュニケーション手段を確認することがとても大事です。本プロジェクトでは当事者が講師としてセミナーを開催することで気づきを提供させていただいています。

塚本氏:現在、医療系大学の学生さん向けに啓蒙活動を行っています。その一環として、漫画で伝える試みを行うため、漫画制作費用をクラウドファンディング(レディーフォー、コミュニケーションバリアフリー)で集めることになりました。お金を集めることが目的ではなく、共感を巻き起こして、寄付や拡散など具体的な行動を起こしていただくことで聴覚障がいの啓発を目指しています。2022年6月6日~8月8日まで活動していますので、寄付に限らず拡散・周知など皆様の温かいご支援をいただけると大変ありがたいです。

聞こえない人の医療機関の困難をなくす|啓発漫画を未来の医療従事者へ
シオノギ「コミュニケーションバリアフリープロジェクト」
https://readyfor.jp/projects/CBF-PJ2022

【第2部 ゲストスピーカー②】合同会社なからいい 副代表 北原 浩二 氏

合同会社なからいい 副代表 北原 浩二 氏

大学卒業後、NECに入社し技術者・営業職を経て、長野県に移住しました。移住を決意した理由は、同じルールに従って働く中で、40代で「自分のキャリアってどこまでいくんだろう?」「何のために生きているのか?」という思いからでした。

長野支店に異動を希望し、副業として同僚と合同会社「なからいい。」を立ち上げました。2019年10月に台風19号の被害によって、千曲川が氾濫し大きな被害を受けました。長野人として復旧に向けて支援くださったことに感謝を示し、さらに長野の豊かさをもっと知ってもらうための会社です。

社名の「なからいい」の「なから」は「だいたい、ほぼ」という方言です。「だいたいみんなが幸せだったらいいんじゃない?」という気持ちで、大企業では届かない地域の魅力や、人とのつながりを作り届けたいと思っています。ワーケーションから関係人口を増やし、余暇で農業に携わってもらったり、6次産業のお菓子作りなどを体験してもらったり、年間の四季を通じて長野に関わってもらいたいです。そしてもし移住される場合は全力でサポートします。
まだ事業を始めたばかりですので、ぜひご意見をいただければと思います!

【第2部 ゲストスピーカー③】滋賀県愛知郡愛荘町地域おこし協力隊 成宮 毅 氏

滋賀県愛知郡愛荘町地域おこし協力隊 成宮 毅 氏

北原さんと同じく、会社に勤めながら滋賀県愛壮町で副業をしています。愛壮町は古くは宿場町として、現在は工場地帯でもあります。社会課題としては、伝統工芸、農業、林業の先細り、人口の空洞化、そして新旧住民間のコミュニケーションの問題などがあります。

副業をはじめたきっかけは、eumoアカデミーへの参加でした。一つの会社一筋で、30代までは天職だと思っていたのですが、異動による紆余曲折と経営統合で事業内容が変わったこともあり、管理職登用の道を選びませんでした。現在の職場に恵まれいるものの、自分を見つめ直して社外をもっと知ろうと、eumoアカデミーで各地のフィールドワークに行ったり、コーチングのライセンスを取ったりしました。

そして、Next Commons Labのご縁で愛壮町地域おこし協力隊に関わることになりました。新しいプロジェクトを立案・サポートする中で、自分がコミュニティにより入り込むために、「ジンジャエール作りたい!」と旗を立ててみたんです。すると、土地を貸すよ、一緒にやってみたいと自然と新しいコミュニティができていっています。不思議なことに、「この地域、家庭菜園ないよね」という話になって、また別の人が土地を貸すと言ったり、町の職員の人も関心を寄せてくれたり―――武井さんの木を集める話のようなことが起きています。
今後、愛壮町で起業家を10名募集します。私のように、副業として関わることもできますので、気になったらぜひのぞいてみてください。

【第2部 ゲストスピーカー④】世界中の眠れる魂を覚醒される演劇家 阿部よしつぐ氏

世界中の眠れる魂を覚醒される演劇家 阿部よしつぐ氏

本日は、音楽劇「ウレシパモシリ」の専用劇場を建てる、そして作品に込められた思いを1000年伝え続ける夢をお伝えします。
「ウレシパモシリ」とはアイヌ語で「育み合う台地」、という意味です。主人公は不器用なフランス人の青年で、今の日本人が忘れたピュアな心の持ち主です。

彼に会うと人は心の奥に眠っている愛に気づきます。作品を見ると、優しい気持ちになり、争う心がなくなります。東日本大震災をきっかけに生まれ、クラウドファンディングで石巻や陸前高田で公演され、たくさんの人に生きる希望を与えました。
また私自身、コロナ禍で大切な俳優仲間が自ら命を絶つという悲しい別れを経験しました。彼女以外にもコロナ禍で自殺者が増えたことは異様な世の中とも言え、もし「ウレシパモシリ」が上演され救える命があったならば?、と思うようになりました。

一人でも多くの人にこの作品を届けたいという使命感をもって、2021年末に劇団四季を退団しました。きっかけは、「アナと雪の女王」出演中に激しいめまいから命の有限さを感じ、「自分が死んだ後に何を残せるんだろう?」と疑問が湧いたことでした。

同時に、「劇団四季は専用劇場があることで作品を上演し続けやすくなっている」というところに着目しました。
音楽劇「ウレシパモシリ」劇場を作り、私の死後も上演し続けられるシステムをつくれば、誰かの命に寄り添い続けられる―――人間の本質は昔も今も、1000年後も左程変わらないはずです。この作品が世界中の一人でも多くの人に届いた時、戦争のない世界や自殺のない世の中になると思います。

「ウレシパモシリ」劇場建設という夢を共に描いてくださる企業、個人の方を募集しています。インスタグラムやFacebookでつながってください。
―――あなたは自分がいなくなった世界に何を残したいですか? 最後に、「ウレシパモシリ」に出てくる「祝福の歌」を歌います。(以下の動画1:33:14~ご覧いただけます)

【最後に】

岩波:本当に今日はありがとうございました。毎回、エネルギーや感動をもらいます。最後のよしつぐさんの歌を聴いて、人は愛を表現したいんだと思いました。現代社会の仕事では、愛の表現が遠くなり過ぎたんでしょうね。もっとわかりやすく表現することが自分や周りのエネルギーになって、いい社会を作っていく。そしてストレートに表現する人が増えている。全部の時間は無理でも、数十%は表現していく、自分が直接表現できない時は、人の応援をしたり背中を押したりする。この連鎖で本当にいい社会になっていくと思います。GIFTの活動で、少しずつ皆さんと広げていけたらと思っています。

武井:よしつぐさんの歌の余韻にまだ浸っています。オンラインでここまでつながれて、思いを同じくできるんだと実感してすごい時代になったなぁと思っています。支配から共感の時代に入っていくのを感じました。人と人の出会いをつなげられたらと思います。

最後に参加者で記念撮影!

【今回の動画はこちらをご覧ください】

https://www.youtube.com/watch?v=uEG_jVEdBsU

【ご案内】

□Facebookグループ「大企業未来共創活動態"GIFT"」
 最新情報、それぞれの活動報告をしています。お気軽にご登録ください。
 https://www.facebook.com/groups/dyhentie.gift

□GIFT Salon4期募集(2022/7/28~開始)
 複数企業で半年間ともに自律分散型組織を学ぶオンラインサロンです。直前まで募集受付しています。
 詳細資料ダウンロードはこちら

□次回イベント One Hundred Gifts
2022/08/04 (木)13:00 - 15:30
これからの企業・個人に求めらるソーシャルアクション
https://giftaction-social-action.peatix.com/


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