僕が見た香港
僕の趣味は写真を撮ること。今は主にフィルムカメラ、少し前はデジタルで撮ってた。どっちも一眼レフ。
数年前、カメラにはずっと興味を持っていたけど何となく踏み出せずにいた。でもそんな僕を後押ししてくれたのは香港だった。
香港では北角という場所に宿を取った。中環とか九龍半島よりも激安だったから。部屋は3歩しか進めないほど狭く、その中にベッドとシャワー、小窓があるだけ。まさに独房だった。
北角は観光地と呼べるのか分からない。そこには人々の生活があった。通りに広がる市場を歩くと、店主と客の罵声が飛び交い、二階建ての路面電車がすぐそばを走り抜ける。漬物や豆腐、何か見たことがないものが常温で所狭しと並んでいた。大量に吊り下げられている動物の赤い、生肉の塊もすぐに目に入った。見上げると高層ビルはどこまで続くのか分からないほど高かった。そのすべてに衝撃を受けた。そこはどこか日本に似ていたが、明らかに日本ではなかった。別の時間軸を辿った日本、そんな不思議な印象を受けた。
そういった光景をiPhoneで撮ってもうまく表現できない、撮りたい写真にならないと感じた。iPhoneじゃ僕が見た香港を伝えきれない。そう思った。
香港から帰ってすぐにカメラを購入したが、それからずっと香港に行けていない。コロナウィルスの流行や激しい民主化デモ、これでもかと通りに迫り出したネオンサインの多くが取り払われたりして、僕の見た香港は大きく様変わりしているとニュースで見た。
それでも僕は写真を撮り続ける。いつか大好きな香港を自分の撮りたい画で撮れる日まで。
追記:このあとタイトルだけ知っていた「深夜特急」も光の速さで読んだ。第一巻が香港・マカオ編だったから。これまた衝撃を受けた!