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PMBOKガイド第7版を意味分節理論で読む(3)
プロジェクト世界の対立と両義的媒介項との出会いを求めて、
躓き(つまづき)ながら創造的に誤読していく。
横文字をかいくぐり、素朴で非凡なメッセージを見つける旅。
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前回の記事
プロジェクトマネジメント標準
はじめに
プロジェクトが意図した成果をどのように達成するかについて説明する。
+プロジェクトマネジメント標準
意図した成果 / 達成する
に対して
意図しない (=非-意図した)/ 達成しない(=非-達成する)
意図しない(=非-意図した) / 達成する
意図した成果 / 達成しない(=非-達成する)
意図するかしないか、達成するかしなか。プロジェクトは執着する。
プロジェクト・マネジャーに期待されているのは、組織への価値、そして組織の価値実現システム内に存在するステークホルダーへの価値を生み出すプロジェクトを実行することである。
+プロジェクトマネジメント標準
プロジェクト・マネージャー / 期待
組織 / 価値
組織 / 価値実現システム
ステークホルダー / 価値
価値を生み出す / プロジェクト
さまざまな対立が現れる。
プロジェクト・マネージャー / 期待
||
プロジェクト / 価値を生み出す
||
労働 / 価値
組織 / 価値
||
ステークホルダー / 価値
||
集団 / 価値
組織 / 価値実現システム
||
集団 / 労働
||
集団 ー(価値)ー 労働
プロジェクトを突き詰めていくと、集団・価値・労働に辿り着くのか?
個人による労働と何がどう異なるのか。
成果 プロセスまたはプロジェクトの最終的な所産や結果。[…]ベネフィットや価値に焦点を当てることで、より広い意図が含まれる。
+プロジェクトマネジメント標準
広い意図 / 非-広い意図
↓
広い / 狭い
意図 / 恣意
↓
広い意図 / 狭い恣意(=狭い範囲の思いつき)
成果は時間的・空間的に広げた意図の元で生み出される。
ベネフィットや価値は時間的・空間的に狭い範囲では語れない。
プログラム 調和の取れた方法でマネジメントされる、[…]。個別にマネジメントしていては得られないベネフィットを実現する。
+プロジェクトマネジメント標準
調和 / 非-調和
個別 / 非-個別
個々 / 均一
個人 / 集団
プログラムは個別のマネジメントから離れる。
プロジェクトは単独で実行されることもあるし、プログラムやポートフォリオの一部として実行されることもある。
+プロジェクトマネジメント標準
単独 / 一部
プロジェクトは単独でもあり一部でもある。
プロジェクトマネジメントとは、意図した成果を上げるためにプロジェクトの作業を導くことを指す。
+プロジェクトマネジメント標準
作業 / 導く
「作業を導く」なんとも不思議な対立が出てくる。
導く / 迷う
「意図しない成果を上げずに」「作業が迷う」
作業が進む。作業は進む。作業が進まない。
作業は意識せず進むようだ。
故に、導かなければ作業は迷うのだ。
プロジェクト・マネジャーは、[…]意図した成果を生むためにプロセスをマネジメントするなど、さまざまな職務を遂行する。
+プロジェクトマネジメント標準
プロセス / マネジメント
||
変えられる側 / 変える側
プロジェクト・マネージャーは人をマネジメントしない。
プロセスをマネジメントする。
価値実現システム 組織を構築、維持、発展させることを目的とした戦略的な事業活動の集合。
+プロジェクトマネジメント標準
価値実現システム / 戦略的
戦略的。戦略は正に「あるようで無い、無いようであるもの」である。
近づくと戦略は姿を消し、遠ざかると姿を現す。
いい加減に使われながらも、生存に関わる言葉。
構築、維持、発展の対立を
構築、維持、発展 / 資本主義
と見るか、
構築、維持、発展 / 生命の誕生・成長
と見るかで見え方が変わってくる。どちらが正解という気もなく、さて、どちらなのだろうか。
価値 あるものの値打ち、重要性、または有用性。[…]や機能を使う能力として価値[…]財務指標で判断される事業価値[…]社会的価値には[…]
+プロジェクトマネジメント標準
価値、人類を惹きつける言葉。
資本論では、(交換)価値と使用価値がある。そういうことを意味しているかもしれないし、していないかもしれない。
価値にはいろいろある。間違っていないが説明にもなっていない。
頭の整理も兼ねて考えてみる。
必ず価値を考えるときには交換が現れる。
価値 / 交換
交換できるできないは価値にとって重要である。
価値が0でもあっても、無限であっても。
交換できるもの / 交換できないもの
交換の尺度としての価値。または測ることを目的とした価値。
また、価値は孤独では成り立たず、社会的である。
価値を考える時に、あまり言葉として出てこない暗黙とされる、社会との関係性、文化、習慣、価値観など社会的にどうであるかを考える必要がある。
伝統的な首飾りに価値があるのか、貨幣に価値があるのかは、社会抜きに考えることはできないのが価値である。
つまり、絶対にこれが価値であるとは定義できないが、社会や組織、集団、個人を観察することで、価値を定義することができるのではないか。
PMBOKガイドに書かれている価値も間違っていないが、普遍的でもない。
(もしPMBOKガイドで価値について真面目に論じると、誰も読まなくなるので書かなくて妥当だと思う。一方で、書いてたら読みたい自分もいる。)
本標準の対象読者
プロジェクトの成果を生むことに実行責任または説明責任を持つ人
+プロジェクトマネジメント標準
実行責任 / 説明責任
責任 / 無責任
責任 / 重荷
責任に悩む人は多いのでは。
責任の力によって越境する。
責任 / 無責任
動く / 動かない
動く人、動かない人によって、その重さは異なる。
横文字のプロジェクトマネジメントも集団・価値・労働を扱い、また価値という掴みどころのないものと向き合う活動である。