見出し画像

「燃焼プロジェクトの作り方」を読み直す

「燃焼プロジェクト」という言葉は書籍「見通し不安なプロジェクトの切り拓き方」の第5章で心に火がつくプロジェクトを薪ストーブを例えに紹介されている考え方です。
年初にあらためて第5章を読み直したのでその気付きを書きたいと思います。

本書は「予定通り進まないプロジェクトの進め方」で紹介されているプロジェクトの表現技法、フレームワークでもある「プ譜」(プロジェクト譜の略)をより実践的に紹介している書籍です。

プ譜とは何かは著者のWeb記事でも紹介されているので、プ譜の概要については割愛いたします。

書籍「見通し不安なプロジェクトの切り拓き方」では第1〜4章でプ譜の書き方について紹介されており、第5章で燃焼プロジェクトについて、第6章で押井守監督のインタビューについて書かれています。

第4章から第5章の燃焼プロジェクトへはかなりジャンプアップしたような印象を受けますが、不確定で探索的なプロジェクトに取り組むにあたって踏み込んだ内容になっています。踏み込んだ内容になっているため、油断していると重要なポイントを読み飛ばしてしまう章でもあります。

第5章はおおきく前篇・中編・後編の構成になり、
前編ではプロジェクトと私達の関係性、中編では薪(まき)ストーブモデルの説明、後編で燃焼プロジェクトの作り方となります。

改めて燃焼プロジェクトの章を読み直すことによる気づきとして、
・プロジェクトとの関係性が土台となっている
・薪ストーブモデルは動的に捉える必要がある

薪ストーブモデルをシミュレーションのモデルとして捉えると大きく誤解することに気づきました。

プロジェクトとの関係性

自分たちはどうなりたいのかを内省して初めて、「自分たちは、とどのつまりは、どうなりたいんだっけ?」という素朴な疑問にたどり着きます。そうして初めて、優れた勝利条件の言葉を必要としている自分たちに気づくのです。

見通し不安なプロジェクトの切り拓き方  P. 218

プロジェクトでの活動を通して、自分たちがどうなりたいかを問います。活動前は曖昧でも良かったイメージが活動の結果によって、さまざまな「こと」が明らになります。

できた / できなかった
わかる / わからない
知っていた / 知らなかった

明らかになっていく過程で曖昧なイメージを鮮明に向かうことで優れた勝利条件の言葉を必要としている自分たちに気づくのです。
イメージを具現化するだけでなく、具現化によってイメージがはっきりする双方向の関係性がプロジェクトと私達の間にもみられます。

その課題を解決すると自分は一歩、幸福に近づくと期待ができて初めて、(中略)つまり自分自身が潜在的に有していたポテンシャルを開花させることができることです。

見通し不安なプロジェクトの切り拓き方  P. 228

また幸福に近づく期待をする、ある種プロジェクトを自分にとって価値があると信じることでポテンシャルが引き出される。自分にとって価値があるとは何かという問いとプロジェクトの課題が重なったとき、自分は自分のために、そのプロジェクトをしなければならないというレベルに到達すると自然と取り組むはずです。

薪ストーブモデルは動的に捉える

そうして一度燃焼反応が起きたら、心は疲労と達成感を得て、また冷却されています。そこで、「次はもっとこうなりたい」という方向性がでてくると、「心のサイクル」が閉じて、循環することになります。
(中略)
また自律的に出会い、反応する状態になると、あとは、外部からの働きかけがあってもなくても、ぐるぐると自分で回転し続ける状態に至ります。

見通し不安なプロジェクトの切り拓き方  P. 230

私が思うに薪ストーブモデルでは薪ストーブという静的な物体をイメージするのではなく、薪ストーブを通して活動の流れがイメージできるかが重要です。

燃焼(活動) → 冷却(内省) → 燃焼(活動) → 冷却(内省) → …

この心のサイクルをイメージする。この心のサイクルは、日単位もあれば、週単位、フェーズ単位、プロジェクト単位とさまざまな単位でおきているのではないでしょうか。
いわば、呼吸的、フラクラル的なイメージです。

ある種の感動がなければ、心は動き出しません。その感動を与えるきっかけが、着火剤であると

見通し不安なプロジェクトの切り拓き方  P. 236

動的なイメージを心の活動と結びつけ、自分は何にいつ感動するのだろうか日々観察し、自分の着火剤をみつけておくことの重要性。この着火剤もきっと固体ではなく、時と場合による流体?または気体のような存在かもしれません。着火剤は命題でもあり、命題の重要性もまた移ろいゆくものです。

第5章はプロジェクトマネジメントにおける観察力と設計力を鍛えるためのヒントが書かれています。決して単純には書かれておらず、読み解こうとしたときにしか読み解けず、またさまざまな観点から読み解ける奥が深い章だと改めて感じました。

「火を絶やさないでい続けること」の大切さに目を向けるべきでしょう。
(中略)
それこそが、プロジェクト全体を動かしていく立場の人が意識すべきポイントなのではないでしょうか。

見通し不安なプロジェクトの切り拓き方  P. 248

プロジェクト支援に行き詰まりを感じる方はぜひご一読ください。
いまなら1800円のところ1000円でお買い得です!※投稿時点


いいなと思ったら応援しよう!