足骨日記3

まだ二日目の夜である。同じ体勢である。
今、タバコを吸えない生活をしている。
なんやかんや30時間以上は禁煙達成できたことになる。
僕は昨日入院する30分前までタバコを吸っていた。
入院前にいろんな書類にサインをさせられた中の一部が禁煙の誓約書だった。敷地内完全禁煙で病院の外でも吸えないし、麻酔の時に痰が多く出るなど説明された。
どうせ敷地の外に出たら吸えるっしょみたいな顔をして説明を聞いて笑ってると白衣の母が真剣に聞くように怒ってきた。
敷地の外に出たくても車イスだしタバコは持ってくるなと言われてるし。
まあこれもいい機会かと思い病院のいう通りタバコを吸わないようにしてみている。
タバコを吸いだして15年くらいだろうか。ちゃんとやめようと思ったことはなく、ヘビースモーカーではないが、多いときで１日一箱、大体２日で一箱くらい吸っていた。二年半前くらいからアイコスに変えていた。風邪を引いてもタバコは吸ってたし、東京とかに旅行に行っても喫煙所を探して吸っていた。
高校生の頃に部活を引退してから地元の友達が吸ってるのが不良ぽくてカッコ良かったので憧れて吸い始めた。部活をしてなかったら高一から吸ってたんだろうなと思う。
高校生の時に初めて吸った紙巻きタバコから二年半前にアイコスに銘柄を変えた。煙が出なくて臭いがつきずらくて良いのだが、いかんせん吸ってる姿が格好が悪い。
吸い始めた当初のカッコつけてタバコを吸うという動機は満たされずに、ニコチン中毒を解消するためにアイコスを吸っている。
もうカッコ悪いダサいタバコに500円も払いたくなかった。声を大にして言おう。俺はカッコつけでタバコ吸ってます！
タバコを吸いながらバーのカウンターでバーボンロックを嘗めるように呑んでみたり、タバコを口にくわえて煙そうにDJしたり、標的をリボルバー式の銃で沈黙させたその後にタバコを吸いながらその現場を後にしたり、タバコの火種を銀色の灰皿に押し付けて消しながら役満をツモったり、タバコを吸いながら愛人とドライブしたり、タバコの火種を使えない後輩の掌で消したり、そんなタバコの吸いかたをしたかった。これらのシーンでアイコスを吸ってるやつはどうしようもなく絵にならない。ダサいのである。
アイコスなんか吸ってるやつはカッコ悪いのである。健康や臭いを気にしてタバコを吸う奴はカッコ悪いのである。なぜタバコを吸うと格好いいかというと自分の健康を害したり人に迷惑をかけたり、口がタバコ臭くなったり、部屋も臭くなったりして自分にとっての得と逆方向の行動をとっているからだ。
カッコつけでタバコを吸ってるわけではないという人もいるのだろうが、俺は百パーセントカッコつけでタバコを吸っている。綺麗事を言いやがってと思ってしまう。タバコなんてカッコよく見えないなら百害あって一利無しだ。

でも、依存とは恐ろしいもので、やみくもに禁煙などするとそれがストレスになる。今タバコを吸いたいかと言われれば吸いたい。食後に一服。寝起きに一服。足の痛みにイライラしたら一服。喫煙者の先輩や友達が見舞いに来てくれたらコーヒー片手に一服。吸いたいのである。どれぐらい吸いたいかというと授乳期間中の安田美沙子の乳首とアイコスが並べてあったら迷わずアイコスを選んでしまうくらい吸いたいのである。

ん？

ちょっと待って。それはやっぱ、乳首で。

乳首を吸ってる自分はカッコ悪いだろうけど、乳首はカッコつけで吸ってないからね。

なんてゆーか男の浪漫だからさ。

このまま辞めれたらラッキーくらいでやってみます。