愛妻日記16.1
病院にいる。
妻が帝王切開の手術をしているところである。
指定の場所で待っているが誰も来ない。
ティーバーでにけつを見ていたけれど、気が気でないので、日記を書きはじめた。
あまりに妻が不安がるからどっしりと構えていたけど。いざ生まれるとなると心配でしょうがない。
生まれるのか。無事に。
予定日よりは13日早く産まれてくる。
頑張ってほしい。
ここは自分や弟が産まれた病院だった。
一番末の弟が生まれる前に、母の定期検診について行った記憶がある。
アイスキャンデーを売店で買って食べた思い出がある。それを食べたくて病院に付き添ったことが何回かある。
なんてことを考えておると、隣の扉が開き新生児をのせた保育器が現れた。
かわいい!小さい!とか思っていると、知らないお母さんがそのベッドを押していたことに気付く。
そのお母さんはこいつ誰?みたいな訝しげな表情で僕をみてくる。会釈をしてそのまま目をそらした。
そうすると、別の通路から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。看護師さんが保育器を押していることを確認して、やっと初めて自分の子供だと認識した。
かわいい!
娘が生まれたときは、若さゆえの不安や親になった実感がないことが記憶に残っている。かわいいとかは正直よく分からなかった。自分が人間としてあまりに未熟だったんだろう。
最初に思っていたのと全く違う感想だった。
今回は手放しにかわいい!うれしい☺があふれでてきた。
本来、こういうもんだよな。。とか思いつつ。
看護師さんから写真とっていいですよ!と言われて、何枚か写真を撮り、なんだか感動して涙が溢れてきた。
あんまり、待たせてるのも悪いので、看護師さんに挨拶をして立ち去ろうとしたら、看護師さんが滅茶苦茶可愛いことに気付く。
だからと言って何もないんだけど。
生まれたての息子が可愛いことと、看護師さんが可愛いことは全く別物。
これからは病院に行くこともないので、会うこともないでしょう。
でも、可愛かった。看護師さんが。
息子はこの世の中で一番かわいい。
看護師さんは自分があったことのあるナースの中で一番かわいい。
当然、息子の方がかわいい。
でも、看護師さんは可愛かった。
俺はただ事実を述べているだけで、そこにやましい感情は一切ないことを誓わせてもらう。
ここまで言うと逆に怪しいと思われそうなので、やめておこう。
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