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法廷劇的マダミス:裁くもの、裁かれるもの RE:MASTER(リアル・マーダーミステリー・日本)

確かにこれは法廷劇でした。

はじめに

昨今のマーダーミステリーの流行。コンテンツの種類もふえ、内容も色々と洗練されてきているように感じます。

私は参加歴が浅いためなんとなく感じているだけではあるのですが、マーダーミステリーの制作者の方が重視しているように見えるポイントとしては、物語体験的な物、推理ロジック的な物、参加者同士の議論的な物の三要素があるように感じます。制作者が参加者に何をさせたいかにより、この三要素へ誘導するベクトルを仕込んでいるように見ると個人的には面白いですね。

さて今回ご紹介する「裁くもの、裁かれるもの」はびっくりするくらい議論がしやすいコンテンツでした。あまりに議論を行いやすくて公式サイトにも「通常のマーダーミステリーに比べかなりヒートアップした議論が予想されます。」とあるのもうなずけるくらいです。

そんな議論特化型、もちろんストーリーも推理もとても楽しい法廷マーダーミステリーを本日はご紹介します。

裁くもの、裁かれるもの RE:MASTER

※現在(2020年10月23日時点) RABBITHOLE様での公演は開催されていないようです。ご注意下さい。(追記:2020/10/23)

イントロダクション

(公式サイトより引用)
被害者の名前は,吉岡さとる。
胸から血を流し倒れているところを発見された。

被告人は,花宮真琴。
被害者の胸を刺してしまったと,自供している。

検察官は,被告人を殺人罪で起訴。

弁護人は,正当防衛により無罪を主張した。

これは法廷内で真実を追求する新ジャンル「法廷マーダーミステリー」。

裁くものと裁かれるもの,あなたはどちらの人生を歩むことになるのか。

感想

これは素敵な設計とでもいうのでしょうか。

公式サイトにもありますように、このゲームは検察側、弁護側、裁判官側と分かれてのチーム戦なんですよね。この設計で作り上げた事がとても凄いと思います。

通常のマーダーミステリーだと当然といえば当然ですが個人戦です。勿論、犯人とそれ以外という視点においては犯人以外はチームであると考える事もできますが、それぞれに思惑があることから、すぐに共闘できるわけもなく最初は腹の探り合いになります。

「裁くもの、裁かれるもの」は検察側、弁護側、裁判官側と予め所属があることから、この共闘がしやすい設計になっているんですよね。なんとなくの型があるといいますか、議論パートの流れが暗黙のうちにできている。検察という立場、弁護人という立場、裁判官という立場、この立場があるお蔭で議論がとてもやりやすくなっています。立場が同じなら味方って気持ちにもなれるので、発言もしやすい。

味方が誰だか分からない状態だとどこから刺されるか分からない。なので、慣れていないと発言しにくいところがあるのですが、このゲームのように、立場が同じ人がいるとそれだけですごく発言がやりやすい。このシステムを作る事が出来たのは大発明だと感じました。

もちろんこれは諸刃の剣的なところでもありまして、ディスカッションが、本当にヒートアップしやすいとも思います。そこはゲームなので、割り切ってプレイして欲しいなと思います。

だってこの議論がとても面白いのですもの。

基本的な立場も定まっているためロールプレイもしやすいです。議論が重視されている上で、マーダーミステリーのゲーム的要素もちゃんと入っているし、立場があるのでロールプレイもやりやすい。法廷劇なので読む資料等は多めかなとは思いますが、その辺りが大丈夫なら初心者も玄人でも楽しめるコンテンツだと思います。

ただ、不満が全くなかったわけでもありません。

法廷劇ですので公知の情報として法廷資料的な物があるのですが、この資料が全員分ないのは不便に感じました。もしかしたら実際の法廷ではそういうものなのかも知れませんし、各チーム毎の会話を促進する効果を期待してのオペレーションなのかもしれませんが、正直ここは全員分あった方が、後に議論を行う上でも便利ですし遊びやすいように感じます。

またこれは私の見落としかもしれませんが手元資料の人名に読み仮名がないなど、ちょっとしたことではありますがプレイアビリティに関わる要素が、一部煮詰め切れていなかった感じがありました。実際に最後まで呼び間違えをされていたキャラクターもいましたし、もったいないなと思います。

他にも、文章の表現的なところもあるのかもしれませんが各キャラクターが行動方針やロールプレイを考える上での情報の一部に、判断が難しい内容がいくつか見られたのは人によっては評価が分かれる点かも知れません。ある程度の自由な解釈が委ねられていたのかもしれませんので、ここを自由度ととるかどうかは改めて考えてみても難しいなと思います。

ゲームとしての設計や内容は素晴らしいものでしたので、最後の点は置いておくとしても、地味だけれども実は面白さに関わる要素についても手が回せると、もっと洗練された物になるように思いました。

とても好きな内容だっただけにいくつか不満点をのべてはしまいましたが、ゲーム内容としては凄く楽しい物でした。議論を楽しみたい方に是非お勧めしたいコンテンツです。

おわりに

私は法廷劇が好きなので、ちょっと評価甘めかも。

12人の怒れる男とか、汝、公正たれとか。

これらの映像作品や体験型演劇等の法廷物とはまた異なる体験、面白さ。

まさにマーダーミステリー的とでもいうのでしょうか、「裁くもの、裁かれるもの RE:MASTER」にはそれがあったと思います。

もしかしたら、あらたな流れがまたできるかもしれませんね。とても楽しみです。

作品情報

タイトル:裁くもの、裁かれるもの RE:MASTER
プレイ人数:8~9名
プレイ時間:約3時間30分(説明・エンディング含む)
プレイ価格:4,000円(税込)/1名:
団体貸切:(8名~9名用):1組36,000円

クレジット

企画監修:酒井りゅうのすけ
原作:のりっち

https://twitter.com/noricchi01

マスタリングエンジニア:椿
デザイン:白坂翔

面白い記事を書いていけるよう頑張ります!!