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テレコンテンツ 暁島からの脱出(日本)

あの島は、まだ、遺されているのだろうか……。

公式告知

ある日、ぼんやりとTwitterを眺めていたら目に入ったこのツイート。興味を惹かれて訪れたその場所、暁島は謎の嫗(おうな)が徘徊し神隠しが起こる不思議な島だった。

手な感じで見つけてたどり着いたのがこの公演でした。

そう考えると、巡り会ったところから横溝正史の世界でしたね。

ストーリー

(公式画像より抜粋)
暁島では神隠しが起こる。
島の近くに住む人なら知っている言い伝え。
あなたはその真相を探るために島を訪れたのだが……

作品情報

タイトル :暁島からの脱出
制作   :アラン校長
Twitter  :https://twitter.com/School_Enigma
ゲーム時間:1時間くらい
プレイヤー人数:推奨2~4名
アプリケーション:あつまれ どうぶつの森

感想

あつ森が発売されたとき、制作者はみな思ったはず。

この島で、謎解きイベントできるんじゃね?

実際6月のメーデーのイベントでは、迷路となった島が現れました。これももちろん謎解きといえるでしょう。確かに迷路、作るのも楽しそう。

そんな中、迷路主体のイベントと異なるアプローチから、謎解き公演が生み出されていようとは。

それがこの、暁島からの脱出です。

制限された条件下での公演への落とし込み

暁島からの脱出の特筆すべき点、それは嫗(おうな:=老母)システム。

ゲーム開始後一定時間が経つと嫗が動き始めます。嫗の攻撃を受けるとライフが1つ減る、そんなイメージのシステムになっていました。

つまるところ、鬼ごっこですね。鬼から逃げながら謎を解く。

これの何が良かったか。制作者視点に立つと気付くかもしれませんが、あつまれどうぶつの森で謎解きイベントを作ろうとした場合、一番困るのは謎をどのように出題するかです。マイデザインを使う手もありますが、セーブできるデータに上限があるため、問題数に限界がでます。

また、チェックポイント処理等も難しい。GM役のフレンドを1人だけ入れる手もあるかも知れませんが、追加情報をどう渡すか等の問題も出ます。

方法論だけでいえばLINE等の別ツールと併用させることで実施は可能です。ですがこの手段を用いると、プレイヤーはあつ森の画面からLINEへと視線が移動するタイミングがでてきます。この時、プレイヤーの意識がせっかくのあつ森の世界から現世へ戻ってしまうのです。

あつ森の世界は作り込みができるので、可能ならば使うツールはSwitchだけにしたい。そうするとボリューム感やイベントの中身が薄くなってしまう。

嫗システムはこの問題を解決しています。鬼ごっこをすることで、緊張感が継続して最後まで油断できない展開となっていました。

謎の出題方法、情報の出し方の巧みさ

当然ですが解答用紙を準備するのも難しいあつ森の世界(できなくはないけれど)。そこでどうやって謎を出すのか。

暁島からの脱出は、謎が何なのかを探す、そういう設計のゲームとなっています。

勿論この"謎が何かを探す"というのは探索を意味するのではありません

島を脱出するために必要な要素が何なのか、ある意味それ自体が謎になっている。何気なく見ていた景色が、分かった上で見ると脱出の手がかりになっていたりする、そんな設計となっています。

その過程で垣間見られるストーリー、これも文字の文としては出てこない。でも、そこにある物から推測すると、確かにそこにストーリーがあることに気付くと思います。

暁島からの脱出は、あつまれ、どうぶつの森という、リアルと比べるとどうしても表現が限られてしまうプラットホームの中で、創意工夫をして物語を作った、そんな素敵なゲームでした。

おわりに

プレイしていて想起されたことが2つ。

1つは、初期にリアル脱出ゲームをプレイした時の気持ちです。図工室からの脱出だとか、何をどうすれば良いんだ?というところから始まる感覚は、初期の脱出ゲームがもっていた感覚に近いと感じました。

2つめは海外のエスケープルーム。ストーリー設定は作り込まれていても、それを冗長に語られることはない。その場所の雰囲気から想像していく感覚は、ある意味において海外のエスケープルームにも通じるところがあると思います。

もちろん何度も繰り返しているように、できることの少なさからやや強引なところがあるのも否めません。はっきりとした小謎がでてくるわけではないので、パズルの様な解き口や、いわゆる the 謎 を好む方は楽しめないと思います。

逆に、ある意味本質的かもしれない方の謎、存在自体が不明で見えない人には見えないけれども、分かれば見える、そんな体験が好きな方は楽しめるのではないかと感じました。

私も楽しかったです。

そして……

さて、冒頭で述べました。

あの島は、まだ、遺されているのだろうか……。

この島、当然アラン校長さんのSwitchの中の世界なんですよね。

このゲームがプレイできる=アラン校長さんのあつ森は封印されたまま……だよねえ。

私がいったあの島は、もうこの世界にはないかも知れません。

ですが、もし万が一、あなたがあの島へ渡る入り口をみつけてしまったら、その時は是非あの島へ、いってみてください。

きっと、そこには……。

面白い記事を書いていけるよう頑張ります!!