「デザイン思考」って結局なんだっけ?
聞いたことはあっても、きちんと説明できる人はあまりいないのではないでしょうか?自分も御多分に洩れず「聞いた事はあるけどね派」だったので調べてみました。簡単に言うと、こういう事みたいです。
【デザイン思考】
デザインの考え方と手法で、ビジネス上の問題を解決する考え方。
デザイナーがデザインするときの考え方や手法をビジネスにも使ってしまおうということですね。(要はデザイナーはこうやってるよね?ってことになるんですが、デザイナーのみなさん、どうでしょう?)
なぜ「デザイン思考」が必要なのか?
インターネットを使って個人でも世界中に発信できるようになった近年。企業がつくった製品やサービスをユーザーが無条件に受け入れてビジネスが成立する、という時代ではなくなってきました。
自社の製品やサービスを、どんなターゲットにどのようにアプローチすればよいか、ユーザー視点で考えなければ売れない時代。そういった問題を解決する思考方法として、「デザイン思考」が注目されているというわけです。
そのはじまり
デザインに関する問題解決方法として1969年、科学者のハーバート・サイモン氏にはじまり、建築家やプロダクトデザイナーなど、多分野のデザイナーによって定義されてきました。やがてIDEOを創立したデビッド・ケリー氏がビジネスに転用したことで広く知れ渡りました。
では、「デザインの考え方と手法」とは?
「デザイン思考の5段階」という、思考プロセスがあります。
【共感】
常にユーザー視点にたち、ユーザーの行動原理は何かを理解する。
【問題定義】
ユーザー自身も気づいていない、本当に解決したい潜在的な問題を見つける。
【アイディア】
定義した問題を解決するためにチームでブレインストーミングを行うなど、質より量を重視してできるだけ多くのアイディアを出す。
【試作】
出たアイディアを早く、安く、形にする。頭の中で考えただけで終わらせず、具体的に形にして試す。形にすることで問題点や改善点が見えやすくなる。
【検証】
プロトタイプをユーザーにテストしてもらう、またはマーケットに投入してフィードバックを受け改善していく。【共感】や【問題定義】に戻って方向転換することもある。
ところで、【問題定義】の「ユーザー自身も気づいていない」とはどういうことでしょうか?
こんな言葉があります。
“顧客に何がほしいかと尋ねたら、もっと速い馬がほしいという答えが返ってきただろう
— ヘンリー・フォード
つまり、車が存在していなければ、ほしがることはできません。しかし、潜在的に解決したいことは「もっと速く移動する手段がほしい」なので、車はそれを解決する革新的な発明だったと言えます。
重要なことは、この5つの段階は1から順を追ってたどる必要はなく、同時だったり、行ったり来たりしたり、繰り返したりするということです。試す、戻る、を繰り返して、発見や失敗を素早く反映することができます。
「箱の外」で考える
デザイン思考はよく、「箱の外」で考えるのに似ていると例えられます。それはデザイナーが従来の方法で解決できない問題を、それまでの常識(=箱)の外から新しい方法で解決しようとすることに由来しています。
デザイン思考の活用事例
国内の代表的な例として任天堂のWiiがあります。
【共感】
社員の家庭を観察したところ、ゲーム機があると子どものリビング滞在時間が短いということに気づきました。そしてそれが親子の関係悪化にさえ影響しているのだとか。
【問題定義】
そこで「家族で楽しめる」「家族の関係が良くなるようなゲーム機」というコンセプトをかかげました。
【アイディア】
「家族みんなが使用できるリモコンのようなコントローラー」「リビングに置いても邪魔にならないデザインとコンパクトさ」など、様々なアイデアが生まれました。
【試作/検証】
リモコン型コントローラーの試作は1000回以上にもおよび、重さ、形状、ボタンの数、片手での操作性など、細かい点を何度も検証して開発されたのだそうです。
「デザイン思考」以外の思考方法
「○○思考」と名のつく思考方法は無数にあります。
ここではいくつかピックアップして、紹介します。
【マニュアル型思考】
現状の自分の知識や経験、または人に聞くことで問題を解決していて、新たに自分で思考して解決することができない。
揶揄として使われがちですが、油断しているとついつい陥ってしまうことがあるかと思います。
【論理的思考】
思いつきや感情ではなく、論理的に筋道を立ててものごとを考えること
ロジカルシンキングの方が馴染みがあるかもしれません。
ビジネスマンのスタンダードという印象です。
【発散思考/収束思考】
発散思考:どこまでも制限なく思考を広げて考える
収束思考:広がった思考をまとめ、絞っていく
「デザイン思考」のプロセスにもあったアイディアを出すための思考方法ですね。出てきた考えを一切否定せず、とにかくたくさん出すのが吉です。
さいごに
「デザイン思考」はもともと、デザインの問題解決方法として捉えられてきましたが、今では様々な職業の人たちにその考え方が広まっています。
よく観察してアイディアを出し、検証する。
このプロセスはデザイナーはもちろん、職種を問わない考え方だと思いました。それどころか、常にユーザー視点で考えるというのは、家族や友人に置き換えれば相手の事を考えるということになります。
仕事じゃなくても、そういった些細なことから始めてもいいと思います。
いかがでしょうか、ちょっと試してみる価値はありそうですよね。