IPAの「DX推進スキル標準」がDXの役に立たないと思った件
こんにちは、はじめまして。ゴリラです。
私はプログラマー歴10年超の経験を持ち、これまで社外CTOとして多数のDXプロジェクトに携わってきました。
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先日、ふとしたきっかけで「DX推進スキル標準」なんてものを知りました。
これは情報処理推進機構(IPA)が公開している資料で、DXを推進するために必要なスキルを体系化したものです。
毎度こういうのを見るたびに、「公的機関が作るような資料って、なんかズレてるんだよな・・・」と思っちゃいますが、今回も例外ではありません。
今日は、このDX推進スキル標準がなぜ違和感を覚えるのか、言語化してみたいと思います。
こういう資料を引用して、変な肩書を書いた名刺を渡してくる輩が世の中にはうじゃうじゃいます。
みなさんもこの記事を読んで、しっかり自分の身は自分で守れるようにしてもらえると嬉しいです。
さて、いきなり質問です。
みなさんは「プログラムとは何なのか?」を説明できますか?
答えは「アルゴリズムとデータ構造」です。
これは何も私のオリジナルではなく、ソフトウェア設計のパイオニアのニクラウス・ヴィルト氏が言ったことです。
つまり、ソフトウェア(プログラム)とは、データがどんな形で保存されていて、そのデータがどの経路でどんな方法(アルゴリズム)で受け渡しされているのかが全てなのです。
DXの核心は、このソフトウェアの原理を理解し、それを駆使してビジネスプロセスを根本から再設計することにあります。
著名なベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンが、2011年に”Software Is Eating the World (ソフトウェアが世界を飲み込む)”というコラムを書きました。
この11年前のアンドリーセン氏の予想は現実となっていて、いまや自動車、製造業、金融、旅行や買い物に至るまで、ほとんどの産業においてソフトウェアを前提とした戦略と戦術が必須となっています。
ソフトウェアを経営の根幹に据えなければ成り立たない時代になっているからこそ、DXがこれだけ盛んになっているのです。
一方、このDX推進スキル標準には、こういったことは一切省かれていて、「ビジネスの目的」だとか、「製品のあり方」が前面に出ているように見受けられます。
DXにおいては、それらに焦点を当てるのは二の次と言っても過言ではありません。
DXの「X」はトランスフォーム、すなわち生まれ変わらせるという意味ですから、既存のやり方、プロセス、オペレーションのあり方をどうすべきかからまず考えなければなりません。
その優先順位を無視して、「ビジネスアーキテクト」の箇所で述べられているような、「ビジネスや業務の変革を通じて実現したいこと」を考えること自体がお門違いだと私は考えています。
まずはソフトウェアでできることの限界やポテンシャルを深く理解し、ソフトウェアの力を使ってどう理想のビジネスプロセスを構築するのかを考えることが最優先ではないでしょうか。
1543年にポルトガルから日本に鉄砲が伝来したとき、既存の戦争のやり方が全て否定され、技術(鉄砲)から逆算した戦略に生まれ変わらせなければなりませんでした。
そのときと同様、現在はテクノロジーが日進月歩で進化し、パラダイムシフトをしていかなければならない時代です。
技術を軸として戦略を変えなければならない時代に、技術ファーストで考えずして、果たして競争に勝ち残ることができると言えるのでしょうか。
さいごに
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もまた、具体的なDXについて共有していきます。
さて、さいごに宣伝させてください。
読者の中には、
「ゴリラの言っていることが全然わからんのだが・・・?」
「そんなDX人材身近にいないんだけど・・・?」
という方もいるかもしれません。
そんな方に、ゴリラが無料で相談に乗りたいと思います。
これからDXをはじめようとしている方、
DXをはじめたけど行き詰まっている方、
DXがそもそも何か分からない方、
どんな方でも歓迎です。
Xで気軽にDMいただければと思います。
この記事が何かあなたのお役に立てると嬉しいです。
それでは。