見出し画像

地域活性化の新たな波:富士吉田の自然を活かした観光戦略

セッション2

12月に開催された「YAMANASHIDXWORLD@FUJIYOSHIDA」というイベントに参加しました。このイベントでは、デジタル技術を活用しながら、地域での思い出作りを促進するというテーマのもと、様々な講演や交流が行われました。中でも特に印象的だったのが、地域と外部の視点を融合させたビジネス展開について語られた、株式会社BLANCの安部さんと、むす河口湖店主/河口湖屋台村代表の希代さんの対談です。

株式会社BLANC 安部さんの視点:余白を活かした場づくり

安部さんは、「余白をつくる」という企業理念を持つ株式会社BLANCの取締役副社長COOです。同社は、トレーラーハウスを客室とするホテルを運営しており、現在、富士吉田市に「BLANC FUJI」というホテルを展開しています。

  • トレーラーハウスの活用: 建築基準法に縛られないトレーラーハウスを活用することで、これまで活用されていなかった土地を有効活用しています。また、トレーラーハウスを投資商品として販売し、開発費を調達するビジネスモデルを採用しています。

  • 地域との連携: ホテルを運営するにあたり、地域に深く入り込み、その文化や営みを理解した上で、ホテルに落とし込むことを重視しています。従業員の採用においても、地元の出身者を積極的に雇用し、地域とのつながりを大切にしています。

  • 体験価値の重視: ホテルは単なる宿泊施設ではなく、地域を体験するための拠点と捉え、食事だけでなく、地域に関する情報も提供し、地域の魅力を伝える役割を担っています。例えば、地元の傘職人とのコラボレーションで、ストーリー性のある傘を制作するなど、地域に根ざした体験価値を提供しています。

  • 今後の展望: 安部さんは、今後も地域とのコラボレーションを重視し、宿泊客が地域での体験を通して、より深く富士吉田の魅力を知ることができるような場づくりを目指しています。

むす河口湖店主/河口湖屋台村代表 希代さんの視点:地域自然資源を活かした観光戦略

希代さんは、河口湖でキッチンカーを集めた「河口湖屋台村」というアウトドアレストランを運営している他、茶碗蒸し専門店をキッチンカーで展開しています。また、富士吉田市出身ということもあり、地域への強い愛着と、観光への熱い想いを持っています。

  • 地域への愛着: 7年前に地元に戻ってから、自然を活かした観光事業をしたいという強い思いを持っており、地域資源を最大限に活用する活動をしています。

  • 観光客の視点: 観光客は、「思い出や記念を作るため」に旅行に来ているという視点を重視し、河口湖や富士山の思い出に残るような体験を提供することを心掛けています。

  • 茶碗蒸しへのこだわり: 提供する茶碗蒸しは、富士山の地卵と湧き水を使用し、地元の素材にこだわっています。また、富士山の形をした茶碗をおみやげとしてもらうなど、記憶に残る経験を河口湖でしてもらえるような事業をしています。

  • 観光ツアーへの構想: 一般的な観光ルートでは体験できない、地域の文化や歴史を巡るツアーを企画したいと考えています。例えば、星空観賞や、滝、パワースポット巡りなどを通して、富士山麓の新たな魅力を体験してもらう機会を創造したいと考えています。

  • 富士吉田市の観光価値:河口湖や山中湖とは異なる、富士吉田ならではの観光を創造したいと考えています。自然保護の視点、富士山を世界遺産として継続するため、富士吉田市が富士山の自然を保護する中心となることが大事だとして、海外の先進モデルを参考として富士山の自然を保護しつつ富士吉田ならではの観光を作り上げることが大事だと考えています。自然と寄り添う観光のあり方を提唱しています。

二人の出会い:偶然が生んだ必然

安部さんと希代さんの出会いは、山梨県が主催したマッチングプロジェクトがきっかけでした。安部さんが探していた「規制に縛られ建築物が建てられない土地」と、希代さんが所有していた土地が合致し、今回のホテルプロジェクトが実現しました。これは、まさに偶然が生んだ必然と言えるでしょう。

  • 土地の価値: 希代さんの土地は、富士山の湧き水が流れる川のほとりにあり、他にない唯一無二の価値を持っていました。この自然環境は、後から作ろうとしても作れないものであり、安部さんは、この環境こそが最大の魅力だと感じたそうです。

  • 共通の目標: 二人は、「大手のホテルではなく、富士吉田の自然を活かしたモデルとなるような施設を作りたい」という共通の目標を持っていました。この共通認識が、プロジェクトを円滑に進める大きな要因となりました。

  • 地元との連携: プロジェクトには、地元の金融機関や建設業者も巻き込み、地域全体で新しい価値を生み出すことを目指しました。

対談から見えてきたもの:地域活性化のヒント

安部さんと希代さんの対談からは、地域活性化のための重要なヒントがいくつか見えてきました。

  • 外部の視点と地元の視点の融合: 外部から来た安部さんの視点と、地元出身の希代さんの視点を融合させることで、これまでになかった新しいアイデアが生まれます。

  • 観光における価値の合致と協業:なによりも、何をなすのか?何のためになすのか?の共通合意がなされたことが大きなポイントとなります。富士吉田における観光施設のあり方と観光資源の価値をしっかりと擦り合わせし・方向性を合意してプロジェクトをすすめられたことがその後のプロジェクトの成功に大きく寄与しました。

  • 既存の資源の活用: 富士吉田の豊かな自然や歴史、文化といった既存の資源を最大限に活用することで、新たな観光価値を創造できます。

  • 地域との連携: 地元の企業や人々との連携を密にすることで、地域全体で成長できるような、持続可能な観光モデルを構築できます。

  • 体験価値の創造: 観光客は、単なる観光スポット巡りではなく、そこでしかできない特別な体験を求めています。地域独自のストーリーや体験価値を創造することで、リピーターの獲得に繋がります。

  • 新しい技術の活用: デジタル技術を積極的に活用することで、より多くの人に地域の魅力を発信できます。

  • 思い出の重要性: 観光客にとって、旅行は「思い出」を作るための時間です。その「思い出」が、地域への愛着を育み、関係人口の増加に繋がるという視点が重要です。

まとめ

安部さんと希代さんの対談は、地域活性化における「余白」と「外部との連携」の重要性を改めて認識させてくれるものでした。二人の対談から、地域固有の強みを活かし、外部の視点を取り入れ、地域全体で観光を盛り上げていくことこそが、持続可能な観光都市を築いていく鍵となることがわかりました。
富士吉田市が、この対談をきっかけに、今後どのように発展していくのか、引き続き注目していきたいと思います。
このブログ記事が、皆様のビジネスや地域活性化のヒントとなれば幸いです。

動画


いいなと思ったら応援しよう!