7.15:56 料理嫌い
赤玉葱を切ったら目にしみた。
あれ?赤玉葱?紫玉葱?
爪の間は紫色。紫玉葱のほうがしっくりくるか。
とにかく大粒の涙を流しながら切ったのだった。
水にさらされた玉葱は、独特の香りを台所に漂わせている。
近寄ったら、また泣かされそうだ。
そんな時に思う。
料理が嫌いだ。
だからといって、料理をしないわけにはいかない。
一応、毎日包丁を握ってはいるが、一向に上手くならない。
それでも構わない。嫌いだから。
上手くなっても料理に打ち込むわけではないと思う。
それくらい嫌いだ。
何故こんなに料理嫌いなのか。
自分でもよくわからない。
いやいや作るから、私の作ったものはだいたい美味しくない。
食べさせられる人は迷惑だろう。
誰かが言っていた。
お味噌汁を作るときは、美味しくなーれ美味しくなーれと思いながら作ると。
すると美味しくなるのだそうだ。
すごいと思った。
心がこもった料理は美味しいとよく言うが、その心をこめる作業が私にはできない。
と言うより、思いつきもしなかった。
早く終われ早く終われと思いながら、包丁を握る人間だ。そうすると言わずもがな。
どうすれば料理が好きになるのだろうか。
食べることは嫌いではない。
美味しいものは好きだ。
美味しそうなレシピを見つけて、材料を揃えて、いざ料理に取り掛かると、途端にげんなりする。
理由がわからない。
片付けが嫌だからか。
それはある。
料理の工程が面倒なのか。
それもある。
全くレシピが覚えられないからか。
それも大いにある。
きっとそれ以上にもっと大きな理由があるはずだ。
なんだかワクワクしてきた。
今流行の謎解きだ。
私の深層心理を読み解くのだ。
果たして私は料理を好きになれるのか!
いや、待て。
冷静に考えろ。
本当に料理が好きになりたいのか?
別に。
ワクワクが収まってきた。
結局のところ、私は明日からもいやいや台所に立つ。
それでも一応やってみるか。
美味しくなーれ、美味しくなーれ。