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レンジファインダーで接写をする方法

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fujica 35EEというカメラがあります。

レンズ固定のレンジファインダー式カメラで、独特の操作性とクラシカルな外観がとても格好いい、僕のお気に入りのカメラです。


ただ、このカメラには僕にとって、使う上で難点が2つありました。

一つ目の難点は、シャッターボタンのストロークが長く深いため、なかなか思い通りのタイミングでシャッターを切れないこと。

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しかし、それはレリーズボタンを取り付けることで解消されました。

非常に押しやすくなり、以前より格段に使いやすくなったと感じています。

問題は、もう一つの難点。


レンジファインダーの宿命

レンジファインダー機であるこのカメラは、寄れないカメラなのです。

これが、このカメラを使う上で最も難点に思っている点です。

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最短80cm。

普段一眼レフを常用している僕にとって、最短80cmはかなり辛い距離です。普段は30cm近くまで寄ることも少なくないので、この80cmという距離が歯がゆくて仕方がありません。


なので、今回はこの最短撮影距離を縮めて、もっと接近して撮影できるようにするための方法を模索したお話をします。


どうやって接写するか

まず、カメラの距離計ではどう頑張っても80cmよりも近距離でピント合わせができないので、接写する際は距離計を頼らない方法をとる必要があります。

方法としては

・レンズにクローズアップフィルターを取り付ける

・距離指標ごとにテスト撮影をしてピント位置を割り出す

・割り出したピント位置にセットして絞り込んで撮影


このような手順になります。

以下は具体的に実験の様子です。


カメラの準備


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まず、fujica 35EEはフィルター径が35.5mmなので、35.5mm→40.5mmのステップアップリングを取り付けます。

そして、40.5mmのクローズアップフィルターを取り付けます。

クローズアップフィルターはどの程度寄れるのかわからなかったため、No.1とNo.2を購入して2つともテストすることにしました。

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取り付けた様子。


テスト撮影

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台の上にメジャーを伸ばし、台の端から10cmごとにピンを置きました。

また、20cmごとに小物を置いています。壁面まで90cmです。

カメラはフィルターの先端と台の端を揃えて設置しました。実際の接写撮影では、このフィルターの先端から被写体までの距離が何cmかで設定する距離指標が変わってくることになります。


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カメラの距離指標では

0.8m 1m 1.2m 1.5m 2m 3m 5m 10m ∞

この9つの指標がついています。

なので、今回は0.8mから∞まで9個所ピント位置を動かして撮影し、距離指標と実際の撮影距離の関係を探ることにしました。


撮影時、絞りは解放に近いf2.8で撮影します。

なるべく解放値に近い値で撮影することでピントの芯の部分を割り出します。

実際の接写撮影では、f8やf11に絞り込んで撮影することで被写界深度を稼ぎ、確実にピントが合うようにします。


クローズアップフィルターNo1とNo2各9つの距離指標、計18コマ撮影して現像します。


テスト撮影結果

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撮影したフィルムを現像しました。

あまり実験内容と関係ありませんが、今回はfomapan400で撮影し、rodinalで現像をしました。


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デジタルカメラでネガをスキャニングしてPC上でネガポジ反転をします。


クロースアップフィルターNo1の結果

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白字はカメラの距離指標

各画像の結果から撮影距離を割り出したものがこちら

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矢印はピント位置を指しています。

ジャスピン位置に目標物がないときは、前後のボケ方方見て+、±数cmという割り出し方をしています。

この結果から、クローズアップフィルターNo1を取り付けてピント位置を最短撮影距離0.8mにセットし、絞り込んで撮影したとき40cmの位置の物体にピントが合うことがわかります。

物理的な接近可能距離などを考慮して、40cmまで寄れない場合でも、1.5mにセットすれば60cmまで寄ることができるので、デフォルトのカメラ状態からあと1歩、2歩踏み込んだ位置で撮影できることになります。


ちなみに、クローズアップフィルターNo2の撮影結果

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途中省略をしますが、最短で30cmから最遠で50cmという結果になりました。

こちらは非常にピント位置の範囲が狭いため、絞り込んで撮影するとしてもピント調整がシビアになると考えて、No2での接写撮影は実用的でないと判断しました。


実際の接写撮影に向けて

ここまでテストをして、カメラの距離指標と実際の撮影距離との関係性を割り出すことができました。

ここから、実際に接写撮影をして運用するにあたって、どうやって対象物との距離を測るかという問題ですが、これはショルダーストラップに目盛りを打ってメジャー代わりにしようと考えています。

実際にメジャーを持ち歩くのは、大判カメラでの撮影では当たり前にやっていることですが、35mmカメラでわざわざメジャーを持ち歩くのは面倒なので、カメラに取り付けているショルダーストラップにフィルター端から40cm、50cm、55cm、60cmの位置に目盛りを打って、それを対象物に当てて距離を測って撮影に臨もうと思っています。

過去に販売されたフィルムカメラにも、ストラップ一杯伸ばしたときに最短撮影距離になる、といったように活用するために専用ストラップが付属していたカメラがあります。今回はその手法を参考にすることにします。


近々、実際にクローズアップフィルターを取り付けて接写撮影をしてみて、お気に入りのレンジファインダー機を余すことなく使い込もうと思っています。

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