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CREATOR 35mm f2で撮るモノクロフィルム写真

中一光学のCREATOR 35mm f2というレンズを使ってモノクロフィルムで写真を撮りました。
レンズの使用感についてはこちらの記事を参照。


今回は数種類のフィルムを使って試し撮りをしています。
購入後、割と高頻度であちこちに持ち出して使っていましたが、現像するのが遅くなりフィルムを溜め込んだ状態でした。
しかしその分、いろんな場面で撮影をしたのでこのレンズの使い方や特徴がわかるかと思います。


フィルム:上海GP3 400
現像液:Xtol

準広角35mmながら最短25cmという近距離撮影が可能。マクロレンズのように寄って撮れる。
道路脇に落ちた蝶の死骸。フィルムに線傷が入っている。
ガラス越し、ペンギンのすぐ目の前まで。

こちらのフィルムはそもそものフィルムの質が悪く、線傷がついていたり現像時薬品との相性が悪かったかフィルムが真っ黒にカブったり、なかなか扱いにくいフィルムでした。
手焼きするのが難しいと判断してデジタルスキャンで済ませましたが、出来は可もなく不可もなく。わざわざこのフィルムを選ぶほどの性能ではないかなと感じました。

フィルムの性能に引っ張られた感はあるものの、CREATOR 35mm f2の描写に目立った癖は感じず、ちゃんと露光さえすればそれなりにシャープで線の細い画になるなという印象です。


フィルム:Double-x
現像液:Xtol

ゆっくり動くクラゲはフィルムでも撮りやすいありがたい被写体。
拡大してみると電話機上の文字ひとつひとつまで読むことができる。

水族館でどうしても撮りたくてISO1600まで増感して撮ったもの。
増感によってコントラストは上がっていますが、うまく活かせばこれはこれでいい質感になりそう。

Double-xの元々の描写性能の高さもあって、非常に細かな部分までよく写っています。
意図的にぼかして撮るようなレンズではないため、ボケは捨てて画質優先で大体f5.6で撮っています。暗所ではf2.8くらいまで開けたかも。
焦点距離35mmの最短撮影距離が25cmというのがとにかく便利で、水族館に持って行ってガラス越しの魚を撮るのに非常に重宝しました。
これが50mmや90mmマクロレンズだとピント合わせに難儀してバッチリピントを合わせられないので、広角気味で被写界深度が深くて寄れる、というこのレンズは寄って生き物を撮るのに非常に使い勝手がいいと感じました。


フィルム:Rollei RPX100
現像液:Xtol

行く先々で電話ボックスを撮っている。
ピントと露出だけセットしてノーファインダー。
駐車中の車のフロントライトを照明にして撮った。

Rollei RPX100は画像のクリア感がとても美しい。
久々に使いましたが、やはりこのすっきりとした抜けの良さはほかのフィルムに無い美しさだと思います。

これまたフィルムの性質に引っ張られているような雰囲気ですが、柔らかで透明感のある描写を邪魔せずしっかりと仕事をするレンズという印象。


3種類のフィルムを使って撮った後、こうして比べてみた結果感じたのは、レンズ自体の個性は強くないものの、フィルムの描写の個性をうまく引き立たせて邪魔しない、名脇役のようなレンズという印象でした。

ボディとセンサーが一体となっているところにレンズを入れ替えて描写を変えるデジタルカメラに対して、フィルムカメラはボディとレンズをそのままに、センサーにあたるフィルムを入れ替えることで描写を変えることができます。
そして、フィルムの描写の違いというのはこうして作例を見ていただいてわかる通り、かなり大きく違いが出るものです。
それらフィルムの個性ひとつひとつを邪魔せずに活かして写真にする撮り方においては、このCREATOR 35mm f2は非常にいい仕事をするレンズではないかと思います。
特筆すべきシャープさやボケ味はないものの、どんなフィルムと合わせてもフィルムの個性を引き出して画にしてくれる安心感があります。

また使い勝手においても、35mmという焦点距離が広すぎず狭すぎず、カメラを向ければ目当ての被写体が収まる丁度いい画角であり、厳密にフレーミングに拘らなくとも「あとでトリミングすればいいや」と気楽に構えられる余裕を持たせてくれるラフさもあって、非常に使いやすかったです。
最短撮影距離が25cmというところも、被写体がこぢんまりしがちな広角域のレンズでありながらどんどん寄っていけるため、撮り方にコントラストがつくので撮っていて飽きがきません。
撮ったネガを眺めても、35mm1本で撮ったネガとは思えない程いろんなバリエーションで撮ったコマが並んでいて非常に楽しいです。

マニュアル絞りということで、撮るときは絞りを解放にしてピントを合わせ、シャッターを切る前に任意の絞り値まで絞ってからレリーズ、と手間が多いですが、これを繰り返していくとあまり手間に感じず、むしろこのリズム感が楽しいと感じるようになりました。

最近は特にこだわりがなければ、持ち出すレンズはとりあえずこれ、というくらいCREATOR 35mm f2にハマっています。
同じ操作性のCREATOR 85mm f2も持っていて併用していますが、画角の広さや被写界深度など、使っていて使いやすいと感じるのはやはり35mmの方です。
カメラに取り付けたときのバランスも、サイズ感や重さ、デザインなど非常に気に入っています。


アナログな操作性でありながら、被写体と向き合うことにおいて不自由を感じさせない絶妙なバランス感が、CREATOR 35mm f2の魅力だと思います。

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