ロングストラングルの権利行使価格に関する考察 ~その②~
先日、下記にて最小IVを利用したロングストラングルをご紹介しました。今回はその続きというか第2弾です!
スマイルカーブのおさらい
もう一度、ボラティリティスマイルカーブの特徴のおさらいです。
①ATMより左側(プットサイド)は権利行使価格が低くなればIVは高くなり、その角度は右側(コールサイド)より大きい。
②最小IVとなる権利行使価格は、ATMより少し右側(コールサイド)となる。
③原資産(日経平均)が変動しても、概ね同様のカーブを描く。
IVの特徴として、プット側の方がIVは高くなり、そのカーブの角度も急です。
高いIVを買うことはロングストラングルには不利になりそうですが、カーブが急であるということは、仮に、ゆっくり相場が上昇した場合(ボラがほぼ一定で上昇した場合)、上図のスマイルカーブはATMが右にずれることになります。
③の特徴により、ATMが右にずれてもスマイルカーブの形がほぼ同じであるならば、プットサイドのIVはさらに高くなりませんかね?
ちょっとわかりずらいので、先日ご紹介した下記動画から、オプショントレード普及協会の守屋さんが説明していた図を拝借します。
上記動画の26分25秒あたりで紹介しているのが上図となります。ボラが一定で上昇した場合(水色の縦線が赤色の縦線へ移動)、その時のスマイルカーブは水色カーブから赤色のカーブに変動します。
その時、左側の黒矢印をみてほしいのですが、個別のIVは上昇することになりませんかね?これをトレードに利用できないか?と思ったわけです。
もちろん、ボラが一定という条件がありますので、実際は上昇すれば、ボラが減少してカーブ自体が下に潜り込むので、個別のIVは下がる可能性はあるのですが、上図の性質を利用すれば、ボラが下がっても損失を軽減でき、そして、ボラが吹けば利益拡大とはならないかな?と思ったわけです。
OTMプットロングストラングル
実際に、OTMのプットを利用してロングストラングルを組んでみましょう。
下図は、日経225先物が28,246円の時に、約3,000円したのP25500を利用してロングストラングルを組んだときのものです。デルタは、ちょうど-0.1くらいなので、先物M1枚をロングすることでヘッジが可能です。
プレミアムはちょっと高めの105円(約10万円)。今回は2枚を建ててみました。
リスク指標を確認してみましょう。
デルタはヘッジしておりますのでほぼゼロです。ガンマは+0.015、セータは-18.811です。前回紹介した最小IVでは、ガンマ+0.044、セータ-20.429ですので、セータに比べてガンマは小さいですね。ATMから3,000円も下の権利行使価格であるので、当然と言えば当然ですね。(建玉数も違うしね)
ベガは+27.7とこれもATMから遠いのでやや小さめ。戦略としては、ボラが下がるような場面ではベガによる損失が発生するが、デルタとガンマでなんとか損失を軽減(とは言ってもFOTMなので影響力は少ないが...)しながら、スマイルカーブの特徴も利用して、個別IVの低下もなんとか軽減して耐える...そして、来るべき暴落まで我慢する。こんな戦略かな。
損益グラフは下記のとおりとなります。
OTMのプットを利用しているので、プットサイドの方がカーブが大きいですね。
まとめ
今回、ロングストラングルの権利行使価格に関する考察~その①~、~その②~と題して2種類のロングストラングルを紹介してきました。
組んでみた感想としては、
①最小IVロンストは上昇に強く、OTMプットロンストは下落に強そう。
②コスパは最小IVロンストの方がいい感じですね。
③逆に言うと、OTMプットを利用するときは、かなりボラが下がっている時ではないとコストが高くなる。
④一方で、最小IVロンストは比較的いつでもコスパはよいかな?
という感じかな。
実際の相場の値動きがどうなるか、OPTION戦略アプリで検証してみたいと思います。結果については、また、報告ができればと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!