【ボラティリティ考察②】低ボラティリティ銘柄のプレミアム変化
今回は前回に引き続きまして、低ボラティリティ銘柄のIVとプレミアムの変化を確認してみたいと思います。表やグラフの見方が分からない場合は、前回noteをご確認いただければ幸いです。
今回は、低ボラティリティ銘柄になりますので、ロングストラドル、ロングストラングルを組んだ場合、利益はどうなるか?という感じで見ていただければと思います。
①Cameco(NYSE:CCJ)
カメコという会社は初めて聞きましたが、どうも世界最大手のウラン鉱山会社ということです。ATMストラドルは26Pと26C、OTMストラングルは24Pと27.5Cとしてます。
満期日の数値を確認すると、IVは上昇してますね。IV % Rankは、10.3%から37.5%と264%も上昇しております。ただし、ATMストラドル、OTMストラングルは、マイナスになってますね。
IV最大値は満期日の前日ですので、さすがにIVが最大となってもプレミアムの減価は免れないようですね。
赤線のIV % Rankは8月中頃までは、あまり大きな変化もないので、緑線(濃い、薄い)のプレミアム価格もどんどん減価していっているのがよくわかります。
株価とIV % Rankの推移は興味深いですね。株価自体はさほど変化なく、16営業日に下落した際にはIVが上昇しております。ただ、その後、株価が上昇しているにも関わらずIVが上昇してます。
安いIVを買うことは合理的かもしれませんが、満期が近いと一気にプレミアムが減価するので、利確のタイミングは一瞬ですね💦
ベガの値が大きいLEAPSであれば冥利ありかな?
②Goldman Sachs Group(NYSE:GS)
ここでゴールドマンサックスの登場です!流石に株価は高いですね~。ATMストラドルは335Pと335C、OTMストラングルは320Pと345Cとしてます。
GSもCCJ同様に、満期日においては、IV % Rankは264%も上昇しておりますが、プレミアムはマイナスとなっております。
IVの変化自体は、CCJと同じですね。最初はボラが上昇する場面もありますが、中ごろまで低下して、満期に向けて一気に上昇しております。
10~15営業日あたりでは、ボラティリティが低下しているにも関わらず、プレミアムが大きく上昇してプラ転しておりますね。株価とIVの推移を確認してみましょう。
やはり、10~15営業日あたりは株価が上昇して高値を更新しております。12営業日には、株価が高値をつけており355.85ドルとなってます。335Cは、すでにITMで22.83ドルになってます。
時間的価値は1.98ドルとわずかですので、こちらもデルタが+1に近い値動きをしてプレミアムを押し上げたものと思われます。
ただ、その後、株価は下落する展開となり、デルタで上昇していた分のプレミアムは減価、IVは上昇しておりますが、株価が高値をつけている場面では相当、ベガによるマイナスも大きかったはず。
そこから、IVの上昇でベガによるプレミアムは増加しますが、満期が近づくこともあり、セータ、デルタの減価が大きく、結果的にはプレミアムはマイナスになった…という感じでしょうか。
③IBM(NYSE:IBM)
次の銘柄はIBMです。ATMストラドルは131Pと131C、OTMストラングルは129Pと132Cとしてます。
IBMもこれまで同様、満期日にIVが増加しております。IV % Rankは133%上昇して、ATMストラドルはプラスで終えてますね。
IV % Rankは徐々に下げる展開となってますが、プレミアムがかなり吹き上がってます。
10営業日くらいからプレミアムはどんどん上昇してますが、株価もどんどん上昇してますので、理由はGSと同じと考えてよいでしょう。
後半はIVがドンドン上昇してますが、プレミアムは株下落によるデルタの下げ、セータの下げで剥げている感じでしょうか。
④Pfizer(NYSE:PFE)
次の銘柄はファイザーです。この銘柄は実際に私も建玉として保有している銘柄です。ATMストラドルは51Pと51C、OTMストラングルは49Pと52Cとしてます。
PFEは期待どおりの展開でしょうか。IV最大値には、プレミアムはプラスとなり、IV最小値には、プレミアムはマイナスになってます。IVとプレミアムはかなり相関の高い印象があります。
グラフを見ると、見事にIV %Rankとプレミアムの動きが一致してますね。PFEの場合は、前半のIVが落ち着いているときは、IBMやGSと違って、株価の変化がないのでボラが落ち着いている状況です。
株価もお手本のようにIVと負の相関関係があるようなグラフです。こうやって銘柄毎にグラフを比較するとCCJはPFEは前半は値動きがなく低ボラになってますが、GSちIBMは株価が上昇することで低ボラになってます。これらは、同じ低ボラでもちょっと種類の異なるものなのかもしれません。
同じ低ボラティリティでも、値動きな少ない低ボラの方が買い冥利がある?ということでしょうか。
⑤Wells Fargo(NYSE:WFC)
最後も銘柄はウェルズ・ファーゴです。私は知らなかったのですが、銀行なんですね。ATMストラドルは44Pと44C、OTMストラングルは42Pと46Cとしてます。
WFCは、後半にかけてIVが上昇してますが、プレミアムがマイナスで終了してます。
グラフを見ると、前半にボラの少しづつ下げながら、プレミアムも下げてきています。最後にIVが上昇してますが、セータの影響が強くプレミアムはどんどん下げている感じでしょうか。
WFCもGS、IBMと同じで、株価増加型の低ボラティリティですね。このタイプはやはり、後半にIVが上昇する場面でもプレミアムの上昇がなかなか見込めなくなってますね。
まとめ
今回の結果から、満期でプレミアムがプラスとなったのは、PFEとIBMのATMストラドルだけです。オプションを買うならボラの低い時とは言いますが、低ければ必ず儲かるというわけではないようです。印象的には、やはり高いボラを売る方が成功率が高い印象がありますね。
今回の5銘柄に限って言えば、低ボラティリティには2つのタイプが存在し、プレミアムの上昇も顕著に差がでてます。
株価変動がないことによる低ボラティリティ ⇒ IV上昇でプラス
株価上昇に伴う低ボラティリティ ⇒ その後、IV上昇でもマイナス
株価が変動がない場合は、プレミアムを下げる要因はセータのみですが、株価上昇した場合には、デルタでプレミアムを押し上げますが、ベガとセータでプレミアムを押し下げます。
その後、一気にIVを押し上げる(下落する)展開になっても、今度はデルタとセータがプレミアムを押し下げ、ベガだけでプレミアムを押し上げる形になります。ただ、ベガは株価上昇時にプレミアムを下げてますので、それをプラスにもっていくには、かなりのIVの上昇が必要となり、今回のような満期の近い場面でのIV上昇は、セータの影響もありプラスにできなかった。
…と仮説を立ててみたw 前回も下記ましたが、このあたりはギリシャ文字がどんな値であったか確認しないとわかりませんね。今後、このあたりを意識しながら、低ボラ銘柄を監視したいと思います。
以上で本日のご報告は終了です!みなさんの参考になれば幸いです。今後も継続して勉強をしていきたいと思います。