見出し画像

ロックンロールは鳴り止まないっ(エッセイ)

神聖かまってちゃんがThe First Takeに出るなんて。今でも正直信じられない。

選ばれた曲「ロックンロールは鳴り止まないっ」はまあ妥当だと思った。変な話、放送禁止用語とかないし。例えば卒業式を歌うってなったら「僕は強盗殺人をしてしまった」の部分が絶対に引っかかるだろう。それに、この曲は彼らの代表曲。いろんな事が出来るバンドなのに、この曲の強烈なイメージのせいでロックンロールに縛り付けられてしまった、彼らの運命を大きく変えた曲。いい意味でも悪い意味でも、彼らは永遠にこの曲から逃れられない。そんな曲。

で、パフォーマンスについて。最初凄く緊張してるな、と感じた。声もそんなに出てなかったし。ライブハウスのかまってちゃんはもっと凄い。けど、メンバー3人が慌てず騒がず、ちゃんとやるべき事をしていた。だからか、の子さんも徐々にノッてきて、後半すごく良かった。ヘッドホンが取れるくらい衝動的だったし、かっこよかった。

僕がこの曲の好きな点は、最後に「鳴り止まないっ」と歌う時にフニャッとした声で歌う点だ。ここで叫ばず、あえてフニャッと終わらせる点に情けなさや変われなさを感じる。あの頃に置いて行かれたままの声、という感じが神聖かまってちゃんというバンドにすごくよく合ってる。ライブでは盛り上げるために、どうしても張り上げて歌う事が多いけど、今回は原曲通りのフニャッとした鳴り止まないっだった。とても良かった。

「ロックンロールは鳴り止まないっ」はある意味では永遠に完成しない、サグラダファミリアのような曲だ。今まで僕が見たすべてのライブにおいて、違うアドリブが入っていて、違う歌い方をしていて、違うエネルギーが込められていた。サブスクで聞ける「ロックンロールは鳴り止まないっ」はその中のひとつでしかない。もちろん、今回のもそうだ。

けど、そこにはいつも変わらない熱が込められている。の子さんは以前配信で「自分はロックンロールはそこまで好きじゃなく、あのタイトルは皮肉でつけた。けど今は本当に鳴り止まないと思える。それはライブで何回もこの曲をやってきて、ようやく思えるようになった。」という趣旨の発言をされた事がある。曲をよく聞くとよく聞くと鳴り止まないだけで、別に好きとは言ってない。けど、MDとってもイヤホンとっても鳴り止まない音があった訳で。そしてその音のせいで、神聖かまってちゃんを15年続けている訳で。それはもう、愛としか言いようがない。とんでもなく捻くれた愛。

だから僕も、音楽を辞めてしまった僕も、聴く事はできるから、こんな形で愛を伝えたいと思う。

僕にとってのビートルズは、セックス・ピストルズは、神聖かまってちゃんです。初めて聞いたあの日から、ずっとずっと鳴り止まないっ。

いつもありがとう。これからもよろしくね。

(次はさ、大亀さんとOs-宇宙人でThe First Takeに出るのはどう?)

いいなと思ったら応援しよう!