AOTY(アルバムオブザイヤー)2024 (エッセイ)
()が多くてすいません…。今年もAOTYやっていきます。
個人的には今年は就職して、行き帰りに音楽を聴く機会が多くなりましたね。家でじっくりと聴く機会がその分減って、ながら聴きの時間が圧倒的に増えました。特に9月から毎週のように長距離を移動する事になったので、その分新しいアルバムを聞く時間が増えましたね。これは良かった。
御託はこれくらいにして、アルバムを紹介していきます。ちなみに順不同です。
Love One Another/Furui Riho
たまたま寄ったHMVかなんかでジャケがすごく良くて聴き始めました。「L.O.A」のポジティブな言葉には就職したてで不安な時期に励まされました。
音的にはブラックミュージックをベースにしたポップという感じで、聞き応えもしっかりあります。「ウソモホント」では迫力のある低音ボイスを、「Friends」では柔らかい歌声と幅広いボイスを使い分けていて、全部聞き心地良い。
聞いていて温かい気持ちになれるアルバムです。
I’m Doing it again baby!/ girl in red
girl in redは単独公演に行くくらい好きで。初めて聴いた時は歌詞が本当に暗くて苦しんでいて。そこが大好きだった。メジャーデビュー一発目のアルバムの歌い出しも「セロトニンが足りてないの」だし。
けどこのアルバムでは自分自身の問題としっかり向き合って、なんとかしようとしてる姿が描かれる。そしてその後、「新しいレベル」に到達した事が歌われる。頭の二曲を聴いた時、ああ、この人はずっと良い方へ行くために戦ってたんだな、と胸を打たれた。
このアルバム単体で聴くと、まあまあいいじゃないくらいの印象かもしれない。けど、ずっと彼女を追ってきた身からすると、本当に大きくなったね、頑張ったね、とクソ親父みたいな声をかけたくなるアルバム。コラボしたサブリナくらい売れてほしいな。
Song Symbiosis/トクマルシューゴ
今やすっかりちいかわの人になったトクマルシューゴ。やっぱり能力のある人は世間がほっとかないよなと。
この人の音楽への探究心は目を見張るものがあると思う。ありとあらゆる音楽に興味を持って、それを自分のものにする能力がある。その能力は、音楽を体系的に分析する力に裏打ちされているとおもう。
トクマルシューゴの音楽は理論的に聞こえる事があって、でも時々剥き出しの肉体を見せる事があって。このアルバムではそれは「Akogare」だと思う。アルバム本編で色々な手を尽くして、最後にこんな肉体的な曲を聴かせるの、ずるいよ。泣いちゃった!
HOCKEY/HOGO地球
今年出会えたバンドの中で一番聴いた回数が多いのはHOGO地球だと思う。何というか、ダメ人間感がすごくいい。バンドマンって、これくらい適当な方がいいなって思う。
HOCKEYもすごく適当なアルバムだ。ピクシーズ丸パクリの曲もあるし。でも、その裏にある悲しさや切なさを彼らは見逃さないし、見せつけるように表現してくる。「ベッドタウン」で見せる閉塞感、「夏なんだぜ」で見せる自分が立ち止まってる焦燥感、「いないんだぜ」で見せる戻らない時間への哀愁。
ものすごくラフなアルバムですが、芯がしっかりしてるアルバムだと思います。
Paranoul/Sky Hundred
Paranoulといえば青空と煙モコモコのあのアルバムですが、今作も中々聞き応えのあるアルバムでした。…すいません、ずっと追ってるみたいな言い方をしてますが今年初めてParanoulを聴きました。
割と外に開けた印象を受けました。それこそライブを意識してるのかな?と思うほどライブ映えしそうな曲が多そうな印象。ジャケットにも子供が写っていますが、他者の存在を前提にしたアルバムという感じで聴きやすかったです。伝説のファーストは、徹底して開けていて、徹底して閉じていた。そこが伝説の所以なんですが。
そういう意味では間口は広めのアルバム。ただ、Paranoulはライブ活動もうしない宣言してるので、今作の曲がライブで演奏される事はもうないという。撤回してくれ〜。
No, no!/ 张醒婵
中国のアーティストで、サブスク解禁前から話題になりまくっていたアルバム。解禁された瞬間に聞きましたが、ええやん!となりました。
これはもうFantasmaですね。アルバムを通して聴くタイプのやつ。僕好みじゃない訳がない。中国からこんな凄いアルバムが出るとは全くの予想外でしたね。ギターがすごくいい。
ギターのアルバム、って感じですごく好感持てます。
からまるおも/片想い
フジロックの映像が色々とXで回ってきて。その中で一番楽しそうに演奏していた片想いに興味を持ちまして。調べたら新アルバムを出しているじゃないですか。聴くしかないでしょ!
アルバムもすごく楽しいんですよね。演奏もすごくどっしりしていて安定感があって、その上で盛り上がれる。なんか、安心して踊れるアルバムですよね。ずーっとニコニコしながら聴いていたアルバムです。
今年一番笑顔になれたアルバムです。
Dyspepsia Original Sound Track/大山田大山脈
片想いとは逆で、今年一番不安にされられたアルバムです。これ、めちゃくちゃ褒めてます。
架空のゲームのサントラというコンセプト。聴いていて不安になるような音が詰め込まれています。このゲームは絶対に鬱ゲー。lainみたいなやつだろうな。
けどなんか聴いちゃう。聞きたくなっちゃう。
ジャンルはテクノミュージックなんだろうけど、個人的には神聖かまってちゃんを整理したような印象のアルバム。
委託の復讐/ひがしやしき
今年一番の出会いはひがしやしきでした。もう少し大きなキャパでライブする事は出来ませんか?もうチケット争奪戦は懲り懲りです…。
「かっこいい日々を送りたいのに実際は地味な生活を送ってしまっている!」というオタクの嘆き。4巻.zipの続きのようなアルバムだなと。ギターが頻繁に入るようになり、サウンドに厚みが増しましたね。歌詞は相変わらずグサグサと陰の者を刺してくる。(でもこれってひがしやしき自身も刺されてるんだよね)
痛みをもって痛みを制したアルバム。
Grand Pop/PAS TASTA
はっきり言います。前作より遥かに良いアルバムです。PAS TASTAで一番良いアルバムはこれです。お間違えなきよう。
捻くれたJ-POPの塊は聴いていて心地よさとかっこよさしかなく、ワクワクとさせてくれます。音楽はここまで来たぜ!と過去に留まってる人に自慢できるような、希望のアルバム。過去の方がいいです、と言われて一番悲しいのは過去の人ですからね。
新しいJ-POPの基準になり得るアルバム。
Between the Lines/ Velludo
Velludoが2024年にアルバムを出すなんて誰が予想できたでしょうか。
ブリティッシュロックをギュウギュウに押し込んだような煌めきが詰まった、凛々しいアルバムです。そこに加齢による渋みが加わる事で、青臭さを取り除き、深みを与えています。
この勢いでフリッパーズ再結成、はないだろうけど2人とも仲良くしてくれ〜。2人で酒飲みながらダラダラ喋ってる姿が見たいよ〜。
横道に逸れましたが、歳を重ねる事に希望を与えてくれるようなアルバムでした。
今年はこんな感じでした。年明けに楽曲編もやります!それでは!