年の瀬行く年私のお話#16ようやくらしくなってきたじゃねェか……なァッ!?
こんばんは。透々透です。みゆきです。
さて、昨日年の瀬の定義をもとに日記を書いたわけですが、今日はいよいよと大晦日です。大晦日と言えば皆さんご存じの通り、あのイベントがあるわけです。
そう、挨拶決めです。
いえ、もう#16までやってきたものですから、そろそろ始めの挨拶をもう少しオサレにしてもいいんじゃなかろうかと。パリっ子のモードを取り入れた最新鋭の挨拶をしてもいいんじゃなかろうかと。
Bonjour!
まあ私はパリどころかフランスの事をほとんど知らないので余計なことはこれ以上言わないでおきましょう。そうではなくて、挨拶の方なのです。従来の挨拶ですとやはり陳腐さが出てくるかもしれないと多方面から苦言が呈されまして、ですので私、考えました。
という訳で、行を立ち幅跳びして改めてお会いしましょう。
西にぽわぽわ東にぽよん!古今東西東西南北、東奔西走魍魎跋扈、春夏秋冬都道府県!その名も――透々透ダァ~ッ!
……もう二度とやりませんよこんなあいさつ、えぇ。四字熟語納めということにしておきましょう。
2021年の最後の年だからと言って私は特別な郷愁を抱くこともなくいつも通り朝起きて勉強してお散歩して趣味をしてこうして早めに日記を書いています。思い返すと、今年は本当にあっという間でしたって、毎年言ってますよね。いい加減違う表現を使ってみたくなりますね。
思い返すと、今年は本当にいっという間でした……ってのはどうでしょう?来年はうっという間に、その次はえっという間にということでむこう50年はアレンジできますね。50年たったら英語がもっと浸透しているかもしれませんから、もう20数年ぶんは確保できますね。Xっという間という頃には私も寿命が尽きていそうなので、なんとかなりそうです。
さて、あっという間の今年でしたが、私にとっては悩みの一年でした。とりもなおさずそれはクエスチョニングを自認して、MtFとして生きる自分にとっての難しさから遠ざかろうと思ったことにあります。
股の間ではなく、こめかみの間だ――そう思えば、性表現は伴っていなくても、ちゃんと歩ける。そう思っていた時期があります。今でもその考えは変わりませんが、私は、けれど、周囲からは、社会からはどうしようもなく「男の子」でしかなかったのです。その視線の雨の中で、傘も差さずにMtFを自認するというのは、中々に難しかったと思い出します。
だから、いっそクエスチョニングに、と思った。けれどそれは、毎日自分の身体を、服を、表現の仕方を見て「本当はこうじゃない」と思う日の始まりでもありました。思うに、私は踏み出すまでの時間がかかるタイプなのだと思います。
服も、仕草も、声も、自分のしたい仕方が出来るようになるまでにはかなりの時間がかかって、何から始めればいいかすら分からず、その壁に打ちひしがれて結局何も出来ないまま膝をつく。でも、何かしなければ――日常生活すら、と。
そんな上半期が終わって、夏にポニーテーラーになってもまだもやもやしていて、でも変わったものはあると思って生きてきたけれど、やっぱりまだ足りなかった。だから秋から冬へと、試せることは色々としてきました。
そして年末、私はついに今まで買っては仕舞い、通販を眺めてはサイズ問題やお金問題を前に諦め、骨格の違いに、顔つきに、目を細めてはPCを閉じる日々の沼から、ほんの数センチだけ足先を出すことが出来ました。スカートっぽい服を着て町へ繰り出し、今までとはちょっと違った世界が見えた気がしました。
そして、昨日。
変わったはずの世界にまた拒絶されるような――あるいは、沼の重力が思ったよりも重かったような――経験の後、ある目標が形を持ち始めました。新年が明けて、新しい年がやってくる――私にとっては、20歳という人生の、ある意味では懸かった一年を性自認と性表現で悩み通し続けて、ようやく見つけかけたその目標を、机上にそっと、乗せられそうな年明けになりそうです。
ちゃんと決意が決まったら、「feat.ある事」のタグに変わっている頃でしょう。その頃にはきっと、今まで逃げて、出来なかったことを、いや、向き合えなかったことを、直視できるようになっていると思います。そう、願っています。
私の益体もない日記未満の絡まった毛糸みたいな呟きを、noteという形で表現するのは少しだけ抵抗めいたものがありました。けれど、こうして一つ自分の誰にも言えなかったものをお散歩のおかずに綴ってもいいかもしれないというのは、私にとってはある種の安らぎになったと思います。
願わくば、すべての人にとってこの年末が、そして次の年が、よい記憶になりますよう――。
お散歩、したんですけれど……しかもいつもと違うルートをなぞったんですけれど……大晦日の郷愁に言い訳して、ちょっと今年を振り返る蛇文を書いてしまいました。
来年もよろしくお願いいたします。
倒置法的に、をば一句。
明日めけぬ
疑問符撫でた
四季曇り
透々透