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生きるとは。死ぬとは。本の世界を飛び出し、山で命を問い直す猟師
「Explore Your Life.」を掲げるDUNLOP REFINED。
公式noteでは、人生を旅するように自らの道を拓き、闊歩する人物を紹介していく。
今回登場するのは、猟師の川端俊弘。普段はブックデザイナーとして活動しつつ、日々山に分け入り野生動物を捕獲する。また、仲間とともにワークショップや狩猟体験ツアーなどを行うなど活動の幅は広い。そんな川端氏の足跡を辿った。
「命をいただく」という営みを見つめ直す
「山に罠を仕掛けて、翌日の午前中に動物がかかっているかチェックする。それが日課ですね」
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そう話す川端氏。単に獲物を獲るだけでなく、日本を代表するような大企業向けに研修プログラを提供したり、グッドデザイン賞を受賞した罠のシェアリングコミュニティ「罠ブラザーズ」を運営したりと、「命をいただく」という営みを見つめ直す機会を各地で提供している。
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なぜ川端氏は、猟師という道、そして、「命をいただく」という営みを伝える生き方を選んだのか。そのストーリーを聞いた。
“遭難”から始まった、狩猟の道
「小さい頃からとにかく本を読むのが好きで。本に携わる仕事がしたいと思って、大学卒業後は出版社に入社しました」
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猟師という肩書きからは意外な原体験を語る川端氏。「本の何が好きかと言ったら、その佇まいや手触りだった」と気づき、出版社を退職後、専門学校に通ってデザインの基礎を学んだ。その後、東京・池袋のデザイン事務所に就職。ブックデザイナーとしてのキャリアをスタートした。そして、数年働いたのち独立。ブックデザイナーとしての仕事は軌道に乗る。
そんな中、東日本大震災を機に、川端さんは東京を離れ、地方に移住。新たな世界を知っていくことになる。
「東京にいるときにジビエブームを知って。地方なら気軽にジビエ料理が食べられるのではないかと思ったんです。『ジビエを食べたい』と知り合いに言っていたら『そんな地方にいるんだから自分で獲ればいいじゃん』と言われたんです。その場では『そんなことできないよ』と受け流していましたが、そのすぐ後にご縁で地元の猟師さんと知り合いになって。『狩猟ってどんな感じなんですか』と聞いてみたら『一度おいでよ』と誘われて、本当に狩りに参加することになったんです」
そして、実際に地元の狩猟に参加。そこで、これまで味わったことのない感覚を得ることになる。
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「参加したのは、複数人で鹿や猪を追い立てて捕獲する『巻き狩り』と呼ばれる狩猟。50メートル間隔くらいで人が配置され、大声を出しながら動物を追い込んでいくんですが、初めての狩猟・初めて分け入る山で道なき道を進んでいくから、気づいたら迷子になってしまって。半分遭難したような状態になってしまったんですが、逆にそこで『生きてる!』という強い実感が湧き上がってきたんです」
「まるで冒険しているような感覚だった」。川端氏はそう話す。それまで「本の中の話」として楽しんでいた探検や冒険という世界。それが身体感覚を伴い、眼前に現れた。幼い頃からの読書体験で駆り立てられていた想像力が一気に解放され、川端氏は心を震わせたのだろう。
「その翌週も山に入ったんですが、『わからないこと』にたくさん出会う。それで自分なりにまた本を読んで調べていくのがとにかくおもしろくて。やってもやっても飽きなくて、狩猟にのめり込んでいきましたね」
「野生動物を捕獲する」ということ
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偶然の“遭難”から始まった狩猟という道。川端氏は、野生動物を捕獲するという営みをどのように捉えているのだろうか。
「狩猟を始めるようになって『豊かな生活ってなんだろう』と考えるようになりましたね。それまで『美味しいものがたくさんある』ことが豊かだと思っていた。でも、野生動物を捕獲するようになって、『その動物が美味しくなかったらどうするのか』と考えるようになったんです。いただいた命に対して、美味しい・美味しくないでジャッジするのか。もう満腹になったら残りは捨ててしまうのか……そんな違和感を抱くようになって『いただきます』の言葉の重さを知りました」
動物の命と接する中で「持ちすぎない」ことを意識するようになったという川端氏。「ちょうどいい分量で満足できる。山に入るようになって、そんな状態でいられることに自然と感謝するようになった」と話す。
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また、動物を獲るということは、その先には必ずその個体の『死』が待っている。川端氏は「『死』に慣れないようにしたい」とも語る。「何頭か捕獲しているうちの1頭」ではなく、その個体にとって「1分の1の命」であるという意識を常に大切にしているのだという。
「あるとき捕獲した鹿を捌いていると、お腹から赤ちゃんが出てきたんです。その時は割り切って過ごしていたんですけど、家に帰ってパートナーにその話をしたら、涙が止まらなくなったこともありました。日々、生きること・死ぬことに向き合う中で、どうしても少しずつ心に積もっていくものがある。そこに対して僕ができるのは、祈ることしかない。家に小さな神棚があるので、なるべく手を合わせるようにしています」
生きるとは。死ぬとは。川端氏は、そんな極限の問いに日々向き合い続けている。「生き物って終わるときはすぐに終わってしまう。自分の命もいつ終えるかわからないからこそ、常に納得いくようなかたちで歩き続けていきたいんです」
狩猟と人生は、通じるところがある
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「恥ずかしながら、人生計画みたいなものはまったくなくて。目の前にある、やるべきこと・やりたいことに全力で取り組んでいく。そうしたら、こうした道を歩いていました」
そう話す川端氏。今、その場で起きていることに対して、頭で考え、身体で感じ、素直に対応していく。そうした人生の踏み方は、狩猟と通ずるところがあるという。
「罠を仕掛けた翌朝、見回りに来て獲物がかかっていないとき、その場の足跡や気配をもとに『もう少しこっちに仕掛けるべきだったな』と判断しながら、都度仕掛け方を変えていくんですよ。なんだか僕自身の生き方と似ていますよね」
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山の中を歩きながら、さらに川端氏は話す。
「僕、旅行が嫌いなんですよ。わざわざ物理的に離れた場所に行って違う景色を見ようとしなくても、今いる場所で新しい発見なんていくらでもあるから。たとえば、山に分け入る中で先輩猟師から何気なく目に入っていた葉が、山椒の葉だったと気づかせてもらったことがありました。それだけで山の感じ方が変わるじゃないですか。季節や時間帯によって植生も変わるし、山の中はまさに『まだ踏んだことのない道』ばかりなんです」
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自分の好きなこと、おもしろいと感じることに素直に反応する。さらに、そうした「好きなこと、おもしろいと感じること」を自分だけの体験に閉じず、周囲に伝えていく。それが川端氏の生き方だ。
「自分が心震えるものに出会ったら、『こんな素晴らしいことがあるんだぞ』って伝えたくなる質なんですよね。罠のシェアリングコミュニティや狩猟体験ツアーの企画・運営をしたり、組織向けのワークショップや企業研修を実施したりしているのは、自分が狩猟を通じて得た感覚を伝えていきたいからなんだと思います」
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「かといって、『命の授業』みたいなかたちで画一的な価値観を押しつけることは絶対にしたくない。それぞれの感じ方で、それぞれに考えてもらえばいい。普通に生活していると、『生きる』とか『死ぬ』とか『命』といったものとの距離が遠くなるけれど、適切な距離感でそうしたものを感じたり、考えられたりできるような伝え方ができたらと思っています」
「いずれは狩猟生活を経て感じたことを本にして伝えられたら」とも話す川端氏。ブックデザイナーとして歩んできた足跡も、未来につながっている。
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最後に、川端氏にシューズに対するこだわり、そしてDUNLOP REFINEDのアイテムについて語ってもらった。
「山に分け入るときは、足元をしっかり保護するかたいマウンテンシューズを履いているから、普段履いているシューズは柔らかくてゆったりしたスニーカーが多いですね。あと、企業へのワークショップなどで都市部への出張も多いから歩きやすさも大切です」
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今回選んだのが、DA7005。軽いし、クッション性もあって、めちゃくちゃ歩きやすい。出張で履くときも、かなり重宝しそうです」
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狩猟の世界に出会い、山に分け入り、生き方を問い直し続ける。そんな日々の中で、川端氏は己の道を踏んでいく。
(Profile)
川端俊弘/ Toshihiro Kawabata
山学ギルド 代表
山学ギルドWebサイト:https://sangakuguild.com/
罠ブラザーズWebサイト:https://wana-bros.com/
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DUNLOP REFINED Webサイト:https://sports.dunlop.co.jp/sportscasual/
DUNLOP REFINED 公式Instagram:@dunloprefined_official
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