ましろあなざー
はじめに
今回は、【あおぎりメモリアル】エピソード“大代真白”のアフターに見せかけた、アナザーストーリーです。
毎度のことながら解釈違いはご容赦を
では、お楽しみください。
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美大を卒業後、とある企業のデザイン部に採用され就職した。1年が経過し、仕事にも慣れてルーティン化してきたころ。新入社員として、大代が入社してきた。
あおぎり高校の後輩で、こんな自分を追って美大に進学し、ついには就職先まで同じところに来たという可愛い後輩だ。
「先輩、今日からお世話になります!」
「世話する分、こき使うからな。」
「えぇ~、少しくらい手加減してもらってもいいんですよ?」
こんな感じで、気心の知れた間柄だ。
まぁ、高校卒業した時からの彼女なんだが。
恋人同士であることは、一応内緒にしている。いずれは、将来を見越してカミングアウトする予定だが、大代が恥ずかしがるのと、周りに気を遣われたくないという理由が大きい。
「先輩!営業部から上がってきたデザインの案件こっちにまとめておきました!」
「先輩!取引先に出す、広告の提案資料はこっちの2案でよかったですか?」
「先輩!手が空いたんですけど手伝うことありますか?」
就職してからの大代も非常に優秀だ。もともと、気遣いができて、相手のことを考えて行動できる奴だったし、物覚えも良かったから後輩連中の中でも頭一つ分抜けてる印象だ。
しかも、彼氏の欲目かもしれないが、見た目も可愛いので、職場の男連中で大代のことを狙っている奴も多い。
彼氏としては鼻が高いんだか、事実を伝えてないから大代に変な虫がつかないか心配すればいいんだか、よくわからない状況だ。
まぁ大代もその辺はわかっているのか、うまくかわしてくれているみたいだ。
「え?私の手料理が食べたいですか?ヤダね!自分で米炊いて、お肉焼いておいしく食べな!」とか、
「膝枕で耳掃除とかしてくれそうですか?しょうがないですねぇ、そこの床で横になってください。掃除機で吸ってあげますから。」とか、
こんな感じで、うまく(?)かわしている。
一方で大代自身は、高校時代と比べ見た目からしてすっかり変わっている。
ツノ付きの赤いベレー帽を脱ぎ、髪型はツインのシニヨンにまとめていたのを降ろし、緩やかなウェーブを描いている。
服装も今は、OLらしい女性用のタイトスカートのスーツを着ている。(大代のスカート姿が好きだと言ったら、スカートをはくようになってくれた。)
体つきも女性らしくなり、たくましい肩幅が…。
おっと、一瞬不穏な空気が流れた気がする。
中身も、大学時代に家事全般をマスターし、今では週末に我が家に来ては、料理や洗濯、掃除をしてくれている。
休みの日はつい趣味の絵描きに没頭してしまい、食事も食べず、家事もほったらかしにしてしまってぶっ倒れてからはこんな調子だ。
そんな感じで、仲良く過ごしている。
ある日、職場の歓送迎会があった。もちろん大代も参加している。20歳を超えてからは、お酒を「ガソリン」と称して、よく飲んでいる。自分は下戸なので、大代が飲んでいるのを眺めていることのほうが多いけれども。
もちろん歓送迎会の場でも、大代はガソリンを飲んでいる。といっても飲んでいるのはかわいらしいチューハイだが。しかし、そんなものでも量を飲めばそれなりに酔ってくるようで
「せんぱい~、のんでますかぁ?」
と、こうして出来上がった大代が絡みに来るわけだ。
「そうだな。楽しく飲んでるよ。(ウーロン茶を)」
「むむむ、それはおちゃじゃないんですかぁ~?」
「そうだな。大代がお酌してくれたら、このお茶ももっとおいしくなると思うんだけどな。」
「えぇ~、せんぱいはそんなこと言って~。いっつも私のこと喜ばせようとしますよねぇ~。」
「こんなことで喜んでくれる大代は、ほんとにいい女だよ。」
そういって、ついいつもの癖で頭を撫でてしまった。
「あっ、せんぱい~自重するっていってたのに、あたまなでましたね~?なら、大代もかんがえがありますよ。」
そういって抱きついてくる大代。
普段なら照れて絶対しないのに、酔った勢いでこんなことをするあたり、案外我慢させてた部分も多いのかと反省。
しかし、ここは公衆の面前だし、なにより会社の面々が見ている。もはや手遅れな感じもあるが、ここでどうにかしないと、素面に戻った大代が悶絶する未来が確定してしまう。
「ちょ、おま、はーなーれーろー。」
そういって大代を引きはがしにかかるが、タコのように絡みついて離れてくれない。
「なんでですかせんぱーい。どうして大代のこと、いつもみたいに抱きしめてくれないんですか~。あれですか、もうあたしのことに飽きたんですか?伝説の鐘に祝福されたのは嘘だったんですかぁ~。」
ちょっと!酔った勢いで何言ってんのこの子は!
あー、もー、何とかごまかそうと思ってた自分が馬鹿みたいだ。
「まったく、後で後悔しても知らんからな!」
そういって、大代を抱きしめ返す。
ふと気づくと、案外周りがこちらを気にしていないことに気づく。
近くにいた課長のほうを見ると、
「お前ら、やっと白状したか。」
と言ってきた。
最初、課長が何言ってるのかわからなかったが、意味を理解した瞬間、顔が真っ赤になってしまった。
「え?課長待ってください。いつから…。」
「そんなの最初からに決まってるだろう。わかっててお前らをペアにしてやってるんだからな。お前らあれで隠してるつもりなら、もう少し演技の勉強してこい。」
そんなことを言われる。
「まぁ、職場の風紀を乱すほどじゃなければ、別に社内恋愛も禁止じゃない。もう少し大代のことも大事にしてやれ、優秀な後輩のメンタルケアは先輩の義務だからな。まぁその様子だと、普段から大事にはしているみたいだが。仕事に影響出ないようにしろよ、さもないとペア解消させるからな。」
「…うっす。」
課長とそんな会話をしている間、えらく大代が大人しい。疑問に思って腕の中の大代を見ると、気持ちよさそうに寝てしまっていた。
「もうすぐ会もお開きだから、お前らは2次会参加せずに帰れ。」
そう言われてしまえば、お言葉に甘えるしかない。
大代をおぶってタクシー乗り場まで歩く。途中で、目を覚ましたようで声をかけてきた。
「あれ~?先輩におんぶされてる~。」
「起きたか。歩けそうか?」
「ん~、歩けないのでもうしばらくこのままでお願いします。」
そういって首に回した腕に力が加わった。
そこからは黙って歩く。
しかし、目覚めた大代が黙っているはずもなく。
「そういえば先輩、私この間A先輩の結婚前夜祭に行ったじゃないですか~。」
「そうだったな、楽しかったみたいでえらく上機嫌で帰ってきたが、それがどうかしたのか?」
「実はですね~。その時に別のバスケ部の先輩から告白されまして。」
「…。もしかして例の声優の人か?」
「そうですよ~。それでですね~、周りも大盛り上がりしたわけなんですよ。」
「ふ~ん、そうだったのか。」
表向きは冷静に話を聞いてるフリをしているが、内心は動揺と嫉妬の炎でメラメラと焼き焦がされている。
「フフフ、妬けちゃいました?」
「…。まぁな。」
「心配しなくて大丈夫です。私は先輩一筋ですから。」
「普段は照れてそんなこと言えないくせに?」
さっきの仕返しで、少し意地悪なことを言ってやる。
「そりゃ、そうですよ…。好きな人に好きっていうのは恥ずかしいです。それに私に好きって言われて嬉しそうにしてる可愛い先輩を、他の人に見せたいわけないじゃないですか。」
まさかのカウンターでこっちが照れくさくなってしまった。大代に顔が見えなくて良かった。
「だから普段は言わないんですよ?そこのところ、ちゃんとわかってます?」
改めて大代が可愛く見えてしまった。まぁ、すでに好きすぎて二人きりの時は猫かわいがりしてしまうが、これはいよいよ限界を超えそうだ。
「なぁ大代。」
「何ですか先輩?」
「…結婚しようか。」
言って後悔した。なんの準備もしてない、ムードもへったくれもない、もっと色々サプライズの用意をして言おうと思っていたセリフを、大代の可愛さに負けて勢いで言ってしまった。
慌てて冗談でごまかそうとしたら、
「…グスッ。先輩いつその言葉を言ってくれるのかなって待ってたんですよ?」
大代が泣き出してしまった。こういうところは昔から変わらない。
「うれしいです。でも、私でいいんですか?」
「大代だからいいんだよ。」
「そうですか、そうですか。じゃあ先輩は、独身最後の夜は、大好きな熟女緊縛ものAVでヌかずに、大代でヌいてくださいね!」
「残念ながら、大代じゃヌけない。」
「何でですかー!ヌけるだろオラ!」
「ぐえぇぇぇ、首が絞まる絞まる!」
そんなこんなで、大代との幸せな生活は続いている。
高校生の頃に誓った、「最後まで付き合ってもらう」という言葉を守り、死ぬときまで一緒に楽しく生きていく。
「そういえば、結婚したらもう大代って呼ぶわけにはいかないな。」
「私も、先輩って呼べないですね。」
「そうだな。これからもよろしくな“真白”」
「そうですね。こちらこそよろしくお願いします。“あなた”」
真白となら、絶対大笑いして幸せな人生を歩めるはずだ。
それは家族になっても変わることはないと確信している。
あとがき
たまこあふたーに続き、ましろあなざーはいかがだったでしょうか。
こちらのお話は、とある三日徹夜したおにいちゃんのリクエストから書かせてもらいました。
本来の想定していたアフターとは別の設定になっちゃったので、あえてアナザーとタイトルをつけさせてもらってます。まぁ、想定していたアフターを書くかはわからないんですけどwww
設定には一部、ゲーキチ。さんの書いてる、【あおぎりメモリアル】ゲーキチサイドから引っ張らせてもらってます。いつもありがとうございます。
いろんな方の応援があってのこのましろあなざーが出来上がってます。
もちろんこれを読んでくれてる、あなたのお力も大きいです。
これからも、あおぎり高校のSSを書いて、応援していきたいと思うので、これを読んであおぎりを知ったという方がいましたら、ぜひ本物のあおぎり高校の配信を見てください。彼女らはスタッフの校長先生含めて推せます。
さて、あとがきが長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
また次の作品でお目にかかれるのを楽しみにしています。
2022年11月11日
づにあ